この記事では日本の天気記号と風力階級についてまとめています。
天気記号
日本式天気図記号では21種類の記号で天候を表現します。
以下、列挙していきます。
「快晴」は雲が全天の1割以下を占めるとき、「晴れ」は雲が全天の2割以上8割以下を占めるとき、「曇り」は雲が全天の9割以上を占めるとき、と定められています。空全体の8割が雲に覆われていても「晴れ」なんですね。意外と知られていない気がします。
「霧」は微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態を指します。因みに「濃霧」の場合は「視程が陸上でおよそ100m、海上では500m以下の霧」を指します。
「霧雨」は微小な雨滴(直径0.5mm未満)による弱い雨です。
「雨強し」は気象学的には一時間に15ミリ以上の雨が降る状態を指しており、気象庁の定める「強い雨」とは雨量が異なります。
気象庁によると、1時間あたりの雨量が10mm~20mm未満の雨は「やや強い雨」、20mm~30mm未満の雨は「強い雨」(土砂降り)とされています。
さらに、30mm~50mm未満の雨は「激しい雨」(バケツをひっくり返したような雨)、50mm~80mm未満の雨は「非常に激しい雨」(滝のように降る雨)とされ、それ以上の降雨は「猛烈な雨」と表現されます。最近では日本で線状降水帯が多く発生しており、大規模な土砂災害や水害が毎年のように発生しています。特に「猛烈な雨」の場合は音が凄まじく、命の危険を感じるレベル、と表現されることも多いです。
「にわか雨」は、積雲や積乱雲など対流性の雲が急激に発達することで数十分程度の短時間に大雨が降る状態を指します。このような雨は「驟雨」(しゅうう) とも呼ばれます。
雷が発生している場合に使います。「雷強し」は気象学的には「過去10分以内に地上への落雷を伴う強い雷電があった状態」を指します。
なお、「雷」または「雷強し」の2種類が雷雨を表す記号を兼ねています。雷を伴うにわか雨の場合もこちらの記号が優先されます。
霙 (みぞれ) は雨と雪が混ざって降っている状態のことです。下半分が黒塗りになっていますが、雷を伴う訳ではありません。
雪の結晶を象った記号です。「雪強し」降水量換算で3mm/h以上の降雪を指します。「にわか雪」はにわか雨と同様に一時的な降雪を指します。「驟雪」(しゅうせつ) とも呼ばれます。
なお、霙 (みぞれ) は雨と雪が混ざっている状態なので「雪」の上半分と「雨」の下半分が組み合わせられたマークになっています。そう考えると覚えやすいですね。
「煙霧」は乾いた微粒子により視程が10km未満になっている状態、「塵(ちり)煙霧」は煙霧のうち視程が2km未満になっている状態を指します。
「砂塵嵐」は塵または砂が強風により舞い上がり視程が1km未満になっている状態とされます。単に「砂嵐」と呼ばれることも多いです。砂漠などの乾燥地域で多発する気象現象です。
「地吹雪」は雪が風で舞い上がって視程が1km未満になっている状態です。
「霰」(あられ) は氷粒が直径5mm未満、「雹」(ひょう) 氷粒が直径5mm以上の場合を表します。黒い方が天気が悪い、と覚えておきましょう。
「天気不明」は何らかの理由で天気が分からない状態を表します。
「気象庁が天気予報等で用いる予報用語」(外部リンク) のページに記号や用語の説明が詳しく載っていますので、もっと深く知りたい方は覗いてみて下さい。
風力階級
日本では以下の風力階級が用いられています。
階級 | 名称 | 風速(m/s) | 状況 |
0 | 静穏 (せいおん) |
0.0~0.2 | 煙がまっすぐに昇る |
1 | 至軽風 (しけいふう) |
0.3~1.5 | 煙がたなびくが風向計での計測はできない |
2 | 軽風 (けいふう) |
1.6~3.3 | 顔に風を感じる、木の葉が動き風向計での計測が可能になる |
3 | 軟風 (なんぷう) |
3.4~5.4 | 葉っぱが絶えず動いている、軽い旗がはためく |
4 | 和風 (わふう) |
5.5~7.9 | ホコリが舞い上がり、木の枝が動く |
5 | 疾風 (しっぷう) |
8.0~10.7 | 小さな木がゆり動く、水面にさざ波が立つ |
6 | 雄風 (ゆうふう) |
10.8~13.8 | 大きな枝が動き、電線がうなり、傘をさすのが困難になる |
7 | 強風 (きょうふう) |
13.9~17.1 | 木全体がゆれ、風に向かって歩くのが困難になる |
8 | 疾強風 (しっきょうふう) |
17.2~20.7 | 木の枝が折れ、立っているのが困難になる |
9 | 大強風 (だいきょうふう) |
20.8~24.4 | 簡単な構造物が倒壊する |
10 | 暴風 (ぼうふう) |
24.5~28.4 | 立木が倒れ、かなりの被害が生じる |
11 | 烈風 (れっぷう) |
28.5~32.6 | 被害が甚大 |
12 | 颶風 (ぐふう) |
32.7~ | 被害が甚大 |
この他に、シカゴ大学の藤田哲也博士により1971年に考案された「藤田スケール」という風速の尺度も用いられています。これは「Fスケール」とも呼ばれ、世界的に使われています。風の強さをF0~F5(時々F6まで)に分類するもので、竜巻の規模の分類にも用いられているので聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。(竜巻映画と言えば「ツイスター」(“Twister”:1996年公開) でしょうか。主人公がF5クラスの巨大竜巻を追いかけて観測を試みるというストーリーで、作中ではFスケールに関する用語が使われています。)
なお、ハリケーンの強さはFスケールではなく「Saffir-Simpsonスケール」という尺度で分類されます。「カテゴリー」という等級はニュースなどで時々耳にしたことがあるのではないでしょうか。ここ最近で最も被害の出たハリケーンと言えば、2005年にアメリカ合衆国南東部を襲ったカテゴリー5の「カトリーナ」でしょう。上陸時にはカテゴリー3に格下げされたとはいえニューオーリンズ市街のほとんどが水没し、多数の犠牲者が出ました。8月中旬~10月下旬にかけてはハリケーンの最盛期ですので、ハリケーン出現のニュースを見掛けたときはカテゴリーなどを確認してみて下さい。
風向・風力を表す矢羽根の書き方
気象観測では16方位または36方位が用いられます。16方位の場合は以下の図のようになります。
風力の強さは、以下のように矢羽根を用いて表されます。
下の数字は風力等級に対応しており、等級が大きくなるほど羽の数も増えていきます。
天気図ではこの羽の先端に天気記号を付けて、天気・風向・風力をセットで表現します。例えば、晴天で北寄りの風が風力3で吹いている場合は以下のように描き表します。
曇りで東北東寄りの風が風力7で吹いている場合は以下のように描き表します。
また以下のように、天気記号の左側に「気温」、右側に「気圧」を併記する場合もあります。
これは、雨で南東寄りの風が風力2で吹いていて、気温が24℃、気圧が1013(hPa)の場合を表しています。
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