ページを留める位置と材料が違う
中綴じは、重ねて二つ折りにした紙を中央の折り目で留める方法です。無線綴じは、主に背の接着剤でページを固定します。糸かがりは、折った紙のまとまりを糸でつなぎます。見た目の違いだけでなく、開き方、厚さ、丈夫さ、作りやすい部数などに関係するのが製本方法です。
ただし、「糸かがりなら絶対に壊れない」「無線綴じは必ず開きにくい」とは言えません。紙の厚さや繊維の向き、接着剤、表紙や背の構造によっても使い心地は変わります。綴じ方は、本の設計を決める一つの大きな要素です。
三つの構造を比べる
| 方式 | ページの留め方 | 向く用途の例 | 確認したい点 |
|---|---|---|---|
| 中綴じ | 二つ折りの紙を重ね、中央を針金などで留める | 薄い冊子、パンフレット、広報誌 | 厚くすると中央の紙が外へ張り出す |
| 無線綴じ | ページの背側を接着剤で固める | 雑誌、冊子、一般の書籍 | 紙と接着剤、背の加工の組合せ |
| 糸かがり | 折丁を折り目で縫い、まとまり同士をつなぐ | 繰り返し読む本、長期使用を考える本 | 折丁の構成、糸、背や表紙の設計 |
折丁とは、大きな紙を折って作る、数ページ分のまとまりです。本の厚みを上や下から見ると、小さなまとまりが重なっているように見える場合があります。ただし、無理に背を開いて構造を確かめると本を傷めるため、見える範囲で観察しましょう。
中綴じのページ数が4の倍数になりやすい理由
一枚の紙を二つ折りにすると、表裏を合わせて四つのページ面ができます。これを重ねる基本的な中綴じ冊子では、総ページ数を4の倍数で設計します。表紙を本文と別の紙で作る場合、印刷会社が「本文ページ数」に表紙の四面を含めるかどうかも確認が必要です。
厚くなるほど、内側の紙が外へ押し出されるように張り出します。仕上げで切り揃える際には、内側と外側で余白の条件が変わるため、面付けやレイアウトの調整が関係します。中綴じにできる最大ページ数は紙の厚さや設備によって違い、何ページまでと一律には決められません。
無線綴じの「無線」は、通信のことではない
無線綴じは、糸や針金を使わず、接着剤で背を固める考え方です。一般的には背を削って紙の端を露出させ、接着剤で固定します。折丁の背に切込みなどを入れて接着剤を浸透させる網代綴じも、接着による綴じの仲間として説明されることがあります。
国立国会図書館の資料保存研修テキストは、こうした無線綴じ資料の構造と修理を説明しています。接着剤のみで支えるため、強く押し開くと背が割れたり、経年変化でページが外れたりする場合があります。ただし、接着剤には種類があり、新旧の本をすべて同じ耐久性と見なすことはできません。
糸かがりと、硬い表紙は別の分類
糸かがりでは折丁の折り目に糸を通してつなぐため、個々のページの端を接着剤だけで留める方式と構造が異なります。繰り返し開く本の設計に役立ちますが、糸だけで完成するとは限らず、背の接着や補強材、表紙との接続も関わります。
「上製本」「並製本」は、主に表紙や仕立ての違いを示す分類です。硬い表紙だから必ず糸かがり、柔らかい表紙だから必ず無線綴じ、という対応ではありません。背の上下に見える飾りの布だけを見て、糸で本文を綴じていると判断するのも避けた方がよいでしょう。
本を作るとき、使うときの選び方
短い期間に配る薄い冊子なら中綴じが候補になり、厚い本や背に題名を入れたい本なら別の構造が必要になります。長く使う教材や何度も開く本では、紙、綴じ、表紙、修理のしやすさまで含めて考えます。価格やページ数だけでなく、誰がどんな姿勢で読むかも重要です。
制作を依頼する場合は、実物の見本を開いて、ノドの余白、ページの戻り、開くための力を確かめるとイメージが共有しやすくなります。手元の本を読む場合も、開きにくいからと背を強く押しつぶさず、必要なら本を支える台を使います。綴じ方を知ることは、本を傷めずに使うことにもつながります。
参考資料
資料確認日:2026年10月2日
