先日、COVID-19のワクチンを接種しました(1回目)。個人的な内容にはなりますが、ワクチン接種未了の方がまだまだ多い中で、1次情報を発信することにはそれなりに社会的な意義があると考え、ここに管理人個人の経過の記録を公開します。
ワクチンの基本情報
まず日本国内で流通しているワクチンの基本情報について簡単に触れておきます。
日本で薬事承認されたワクチンは現在3種類で、それぞれファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の製造するものに限られています。これらのワクチンはいずれも、治験が完全に終了して製品化される前から、日本政府が各社と個別に交渉して提供の契約を取り付けたものです。
ファイザー社のワクチンはmRNA型で、日本において優先的に接種が開始された医療従事者や、65歳以上の高齢者向けに接種が進められています(接種対象は12歳以上)。世界で最も早く医療現場に投入されたのがこのファイザー社のワクチンです。
モデルナ社のワクチンはmRNA型で、武田製薬工業が日本における流通・販売を委託されており、職域接種など大規模な接種会場での使用が主です(接種対象は18歳以上)。ファイザー製に次いで、米国で2番目に早く承認されたワクチンです。今回管理人が接種したのはこのモデルナ社のワクチンです。
アストラゼネカ社のワクチンはウイルスベクター型で、職域接種など大規模な接種会場での使用が主です(接種対象は40歳以上を検討中)。若年層の副反応が重い傾向があるなどの理由から、現在日本では積極的には接種が進められていません。
それから現在、ジョンソン&ジョンソン社の製造するウイルスベクター型のワクチンが日本で薬事承認申請中です。これから承認されれば、国内のワクチンの流通量はさらに増加することが期待されます。
COVID-19のワクチンの開発状況や基本情報については、厚生労働省の「新型コロナワクチンについて」というページに分かりやすくまとめられています。是非参考にしてください。
接種後の経過
以下、管理人自身のワクチン接種後の経過について述べます。
1回目の接種ということで特に目立った副反応は無く、注射部位の鈍い疼痛のほか、接種翌日の夕方に37.5℃の微熱が発生した程度で済みました。接種翌日の夜は体がだるかったので早く寝たところ、翌日(接種の翌々日)には体調は治っていました。体のだるさは数日間続きましたが、普通に歩けて自転車にも乗れますし、寝込んでしまうほどではありませんでした。私の場合、体のだるさは接種翌日の夜にピークが来ました。
ただ、注射部位の痛みは3日ほど続き、寝返りを打てる状況ではありませんでした。注射部位を圧迫するとかなり痛むため、注射部位を下にして寝ることはできませんでした。注射部位である肩の周りがやや突っ張り、腕を上げようとしても100°くらいの角度まで上腕を上げるのが限界でした。私の場合、肩の筋肉の張りは接種の翌日~翌々日にピークが来ました。
その他、特に体の見た目や機能に目立った変化は無く、筋肉注射であるいう以外は普通の注射と大差ありませんでした。ただし人によっては、体がだるくて先日の4連休の間ずっと寝込んでいたというケースもあったようです(後日、寝込んでいた同僚から直接聞きました)。
あくまでも私の身の回りに限りますが、副反応の重さの程度はあまり年齢によらない印象を受けました。注射部位の痛みはほぼ100%、体のだるさも程度の差こそあれ、ほぼ100%発生します。軽い発熱は多い印象ですが、38℃以上の高熱が出るとか吐き気などの症状が出た人は私の周りでは確認できませんでした。
国内における臨床試験の情報を見ても、やはり2回目の接種後の方が副反応がしっかり出るようです。厚生労働省の「新型コロナワクチンの有効性・安全性について」のページから取得できる日本国内の臨床試験結果を下に示します。これらは各回接種後7日間における主な有害事象の発現割合をまとめた表です。
ワクチン国内臨床試験結果(ファイザー)
ワクチン国内臨床試験結果(モデルナ)
この表を見ても分かる通り、やはり2回目の接種後に高熱が発生するケースが統計的に有意なようです。2回目の接種日の翌日と翌々日は可能な限り休日にしておくことが望ましいと言えます。ワクチン休暇を導入している企業に勤めている方は、ありがたく使わせてもらいましょう。それ以外の方は残念ながら有給を取るしかないでしょう。
ワクチン接種の意義
予防接種には大きく2つの意義があると思います。
まず、自身がウイルスに感染したときに症状の重篤化を軽減するという個々人の命を守るという意義。さらに、これにより医療機関の負担を少しでも軽減するという社会的な意義です。
COVID-19に対する根本的な治療薬が完成していない現状では、重傷者数・死亡者数の抑制の切り札となるのはワクチンの予防接種以外にありません。これは日本だけの話ではなく、世界的にも同様です。今のところ、社会をできるだけ正常化するために私達が貢献できることは、個々人が積極的にワクチンを接種することによって重症患者を可能な限り減らすことくらいしかないのです。
重症患者の増加による医療崩壊で最も懸念されるのが、COVID-19の重症患者が増えれば増えるほど、それ以外の疾病による重症患者の治療が滞ってしまうことです。病床数が逼迫してCOVID-19患者への対応に多くの人員が割かれることになれば、救える命が救えなくなってしまいます。
製薬会社はちゃんと効く特効薬をさっさと作ること。そして、国民一人一人は今あるCOVID-19ワクチンをきちんと接種して、感染対策を徹底しながら大人しく生活すること。最善手はこれしかないのです。どこかの製薬会社が特効薬を作るのが先か、ウイルスが弱毒化するのが先かはわかりませんが、新型肺炎禍を早く収束させるにはこうした認識を国民全員が持っておくことが必要です。
そして日本政府は必要分のワクチンをしっかり確保すること。管理人はオリンピック自体にはそこまで反対ではありませんが、万全を期すためにやはりもう一年延期すべきだったと考えています。政府お抱えの分科会の提言ももはや空虚なものになっており、ブレーキ役としての務めが果たせていません。政府の施政方針も五輪を優先するあまりアンバランスになっていると言わざるを得ません。国民の努力にしっかり報いなければ、ただでさえ法外な額の税金が投じられているオリンピックがただただ悪者扱いされるだけで終わる、ということになりかねません。
ワクチンに関するデマの拡散も問題です。
「ワクチンの中に何か有害なものが入っている」などのデマに惑わされて予防接種を怠るということがあってはなりません。「磁石が入っていてスプーンがくっつくようになる」だの「接種すると5G回線に接続されて政府に操られる」だの「遺伝子が組変わって子供を作れなくなる」などといった、誰が信じるのか全く謎の流言がネットの一部で拡散されており、ワクチン接種の阻害を助長してしまっています。嘆かわしいことです。
拡散されやすいデマの条件として「ショッキングな内容である」という点があります。目にして(耳にして)びっくりしてしまうような言説を鵜呑みにするのではなく、その根拠や情報のソースは何なのかをしっかり見極めてください。自分の信頼している有名人が言っているからとか、影の政府の陰謀だからといったナンセンスを信じる人がこの世からいなくなるとは思いませんが、COVID-19がただの風邪とは異なるという現実は正しく認識して欲しいものです。
ワクチンに対して不安を覚えること自体は悪いことではありませんが、現実的な問題として、少しでも早くこの新型肺炎禍を社会的収束に導くためにはワクチンの接種が急務なのです。ここには信教の別や政治的信条の左右など関係ありません。ワクチン広域接種の社会的な意義を蔑ろにしてはならないと思います。
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