有機化学:pKaと共役塩基から酸性度を比べる

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

酢酸は酸なのに、エタノールは普通は酸として扱いません。同じO–Hを持っていても、H⁺を渡した後の状態が違います。共役塩基と溶媒を手掛かりに比べます。

pKaは、解離の速さではなく平衡の指標

HA + H₂O ⇌ H₃O⁺ + A⁻
pKa = −log₁₀ Ka

同じ溶媒・温度で比べれば、pKaが小さいほど強い酸です。pKaが1違うとKaは10倍違います。これは平衡の偏りであり、結合が切れる速度の順位ではありません。酸を比べるときは、共役塩基A⁻の安定化に加え、元の酸や溶媒和も含めて考えます。(OpenStax:2.8 酸と塩基の強さ)

水中での目安 pKa 考える手掛かり
酢酸 約4.76 カルボキシラートの二つのOへ電荷が分散
フェノール 約10 フェノキシドで芳香環との共役が可能
エタノール 約16 アルコキシドの負電荷が主にOに局在

数値は室温付近の代表的な目安です。水溶液中で非常に弱い酸の値は扱いに注意が必要です。異なる溶媒のpKa表を混ぜて単純比較しないようにします。

pHを変えると、どちらの形が多くなる?

[A⁻]/[HA] ≈ 10pH−pKa
酢酸のpHを変えるpH 4.80 / 酢酸イオンの割合 52.30%

pKa=4.76とし、活量係数の違いを無視した割合です。指定したpHが保たれている条件を想定し、純粋な酢酸水溶液のpHを濃度から計算する教材ではありません。

カルボン酸、フェノール、アルコール

酢酸イオンでは二つの酸素に関する等価な寄与構造を描けます。フェノキシドでは環へ電荷が広がる寄与構造も描けますが、どの共鳴構造も同じ重みで寄与するわけではありません。寄与構造の個数を数えるだけで酸性度を決めず、電荷がどの原子に置かれるかも見ます。

炭素や硫黄に付いたHも比べられる

末端アルキンからH⁺を取り去ると、sp炭素に電子対を持つ共役塩基ができます。同じ炭素上の負電荷を比べると、s性が大きい軌道では電子が核に近く分布し、安定化しやすくなります。また、チオールは対応するアルコールより強い酸であることが多く、S–H結合と共役塩基の電荷分布・溶媒和の違いが関係します。

この説明は比較の手掛かりです。酸性度を一つの結合エネルギーや電気陰性度だけで決めることはできません。

考えてみよう:pH=pKaのとき、酸はすべて解離している?

いいえ。上の近似では[A⁻]=[HA]となり、両方の形が半分ずつです。