対象:化学基礎/前提:物質量、割合、mLとLの換算
食塩水を薄めると、食塩の量まで減るのでしょうか。水だけを加え、食塩がこぼれたり反応したりしなければ、食塩の量は変わりません。変わるのは、一定の溶液量に含まれる食塩の割合です。
✎分母に置く量を確かめる
溶かした成分を溶質、溶かす側を溶媒、できた全体を溶液と呼びます。質量パーセント濃度は「溶質の質量÷溶液の質量×100」です。食塩10gと水90gなら、全体100gに対して10gなので10%です。水100gに食塩10gを加えた場合は、10÷110×100≒9.1%となります。
モル濃度cは、溶液の体積Vに対する溶質の物質量nの比です。c=n/Vで、よく使う単位はmol/Lです。分母は加えた水の体積ではありません。物質を溶かすと、溶液の体積が溶媒の体積と一致するとは限らないからです。
この内容を詳しく確かめる:OpenStax Chemistry 2e, 3.3:Molarity。
✎例題:溶液250mLに含まれる量
0.200mol/Lのグルコース水溶液が250mLあるとします。250mL=0.250Lなので、n=cV=0.200×0.250=0.0500molです。グルコースのモル質量を180g/molとすれば、含まれるグルコースは9.00gになります。
0.200に250をそのまま掛けると、LとmLを混ぜることになります。数値の大小だけでなく、単位が消えてmolになるかを確認しましょう。なお、9.00gを水250mLへ加える操作と、溶かした後の全体を250mLに合わせる操作は違います。
✎希釈の式は、物質量の保存から出る
濃度c₁、体積V₁の溶液に溶媒を加え、濃度c₂、体積V₂になったとします。溶質の物質量が保たれれば、希釈前後でnが同じなので、c₁V₁=c₂V₂です。
例えば0.500mol/Lの溶液20.0mLを、全体で100.0mLにすれば、c₂=0.500×20.0/100.0=0.100mol/Lです。体積の比を取るこの式では、両方をmLでそろえても計算できます。濃度を5分の1にしたので、最終体積は5倍です。
この式は、溶質が反応・沈殿・揮発などで増減しない条件で使います。加えた溶媒の体積ではなく、最終的な溶液の体積をV₂に入れます。
✎二つの溶液を混ぜる場合
同じ溶質を含み、混合による反応がないとき、全物質量はc₁V₁+c₂V₂です。混合後の濃度は、この値を混合後の実際の体積で割ります。単純平均できるのは、二つの溶液の体積が等しく、体積を加算できる近似が使える場合です。
0.10mol/Lを100mLと0.30mol/Lを200mL混ぜ、体積が300mLになるなら、濃度は(0.10×0.100+0.30×0.200)/0.300≒0.23mol/Lです。単純平均の0.20mol/Lとは一致しません。
✎確認問題
溶液200g中に溶質が8.0gある。質量パーセント濃度は?
8.0/200×100=4.0%です。溶媒の質量192gを分母にしません。
0.40mol/Lの溶液25mLを全体200mLにした。濃度は?
0.40×25/200=0.050mol/Lです。溶質の量は希釈前後とも0.010molです。
この内容を詳しく確かめる:OpenStax Chemistry 2e, 3.4:Other Units for Solution Concentrations。
✎発展:質量モル濃度が必要になる理由
質量モル濃度は、溶質の物質量を溶媒の質量kgで割った量です。モル濃度の分母は溶液の体積、質量モル濃度の分母は溶媒の質量という違いがあります。温度変化で体積は変わっても、密閉して物質の出入りがなければ質量は保たれます。凝固点降下などで質量モル濃度を使うときは、この定義の違いへ戻って考えます。
数値例と確認問題は学習用に作成しています。本文の近似条件を確認して利用してください。
