創作整数問題#12解法&創作整数問題#13

多忙のため更新ができない日が続いています。まとまった休みができれば作りかけの固定ページの方も製作が捗るのですが・・・。


《問題#13》

等式 $p + q = (p − q)^3$を満たす素数 $p$、$q$ の組をすべて求めよ。

(創作問題)


ディオファントス方程式の良い練習問題だと思います。今回はノーヒントで!

 

 

» 答えはこちら

答えは $\color{red}{(p,q)=(5,3)}$ です。

» 閉じる


創作整数問題#12(解き方)


問題#12は剰余の話題でした。

$N=7^a+5b+1$ が$8$の倍数となるような正の整数$a$、$b$の組は $1 \leqq a \leqq 8$、 $1 \leqq b \leqq 8$ の範囲に何組存在するか。

まず $7^a+1$ が偶数であることに気が付きましょう。これにより$b$は偶数でなければなりません。以下、$7^a \equiv (-1)^a \pmod{8}$ であることに注意しつつ $7^a+1$ がどのような偶数になるのかで場合分けします。

ⅰ)$a$が奇数のとき $7^a \equiv -1 \pmod{8}$ ですから$$\begin{align} 7^a+1 &\equiv -1+1 \pmod{8} \\ &\equiv 0 \pmod{8} \end{align}$$となるので、$b$は$8$の倍数であることが必要です。よって

$(a,b)=(1,8)$、$(3,8)$、$(5,8)$、$(7,8)$

は求める組です。

ⅱ)$a$が偶数のとき $7^a \equiv 1 \pmod{8}$ ですから$$\begin{align} 7^a+1 &\equiv 1+1 \pmod{8} \\ &\equiv 2 \pmod{8} \end{align}$$となるので、$5b$を$8$で割った余りが$6$であることが必要です。$1 \leqq b \leqq 8$ の範囲でこの条件を満たす$b$は$6$のみです。よって

$(a,b)=(2,6)$、$(4,6)$、$(6,6)$、$(8,6)$

は求める組です。

以上ⅰ)、ⅱ)より題意を満たす組の数は$8$個となります。


(コメント)

等差数列、等比数列の剰余は循環します。このことは是非覚えておきたいですね。解答では「$5b$」の方ではなく「$7^a$」に着目していますが、これは割る数である$8$に近いため、$8$で割ったときの余りが考えやすいからです。

1997年の一橋大学(前期)第1問に本問の類題がありますが、一橋大の問題は今回の問題#12より文字が1個増えるのでやや複雑になります。問題#12が簡単に解けてしまった方は挑戦してみてください。


(2017/07/06追記:たけちゃん 様より、コメントを頂きました)

$5$と$8$が互いに素であることを利用すれば、

①$a$を固定すると$7^a+1$を$8$で割った余り$r_1$が取り敢えず定まる。
②$5$と$8$は互いに素であるから、$1 \leqq b \leqq 8$を満たす整数$b$に対して、$5b$を$8$で割った余り$r_2$は$8$個の$b$の値に1対1で対応する。
③よって$r_1$の値に対して、$1$~$8$の中から適切な$b$の値を選べば、$r_1+r_2$の$8$で割った余りを$0$にすることができる。つまり$N$を$8$の倍数にすることができる。
④故に、ある$a$の値に対して$N$が$8$の倍数になるような$b$の値を1対1で対応させることができるから、求める正の整数$a$、$b$の組は「$8$個」となる。

という手順によって細かい計算をすることなく求められます。たけちゃん 様に感謝致します。

 

“創作整数問題#12解法&創作整数問題#13” への2件の返信

  1. #12では,7^aについての考察は不必要ではないでしょうか.

    α,βは1以上8以下の整数とします.
    5と8が互いに素であることに注意すると,
    5(α-β)が8の倍数となるのはα-βが8の倍数のときに限り
    -7≦α-β≦7から,α-β=0のときに限ります.

    すると,aを固定するとき,
    b=1,2,3,4,…,8に対して,Nを8で割った余りはすべて異なり,
    このうちの1つだけが8の倍数となります.

    以上より,求める個数は8ですね.

    1. たけちゃん さんコメントありがとうございます!
      たけちゃん さんの説明に少し冗長な日本語を付け足してみますと、

      ①$a$を固定すると$7^a+1$を$8$で割った余り$r_1$が取り敢えず定まる。
      ②$5$と$8$は互いに素であるから、$1 \leqq b \leqq 8$を満たす整数$b$に対して、$5b$を$8$で割った余り$r_2$は$8$個の$b$の値に1対1で対応する。
      ③よって$r_1$の値に対して、$1$~$8$の中から適切な$b$の値を選べば、$r_1+r_2$の$8$で割った余りを$0$にすることができる。つまり$N$を$8$の倍数にすることができる。
      ④故に、ある$a$の値に対して$N$が$8$の倍数になるような$b$の値を1対1で対応させることができるから、求める正の整数$a$、$b$の組は「$8$個」となる。

      という寸法になりましょうか。
      この理屈によれば、明らかに合同式を持ち出すまでもありませんでしたね。
      エレガントな解答に感謝致します!(・・・寧ろこの解法の方が普通なのかも?)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です