剰余の定理は整式同士の除算において活躍する重要な定理です。今回は剰余の定理の上手い使い方について複数の例題で確認していきます。
まず、剰余の定理とは以下のようなものでした。
整式
剰余の定理は計算を適度にサボりたい人に積極的に使って欲しい定理です。以下、例題で確認していきましょう!
整式同士の割り算
整式同士の割り算では剰余の定理が使えます。ただし、次のように次数が比較的低いものであれば筆算で求めた方が早いことが多いです。
例題①
整式
単純な解法はそのまま割り算を実行する方法でしょう。
これより、余りは
この問題を剰余の定理を使って解くと次のようになります。
整式を2次式で割った余りは1次以下の整式となるから、これを
ここで、方程式
例題①のようなケースでは筆算でも余りが求められますが、それは数回の手続きで計算が済む場合に限られます。
これがもし「整式
例題②
整式
整式を2次式で割った余りは1次以下の整式となるから、これを
ここで、方程式
余りのみが欲しい場合はこのように剰余の定理が非常に有効です。
また、次数が文字で表されている場合は筆算が使えません。こういうタイプの問題には剰余の定理が威力を発揮します。
例題③
整式を2次式で割った余りは1次以下の整式となるから、これを
ここで、方程式
例題④
整式を2次式で割った余りは1次以下の整式となるから、これを
ここで、方程式
(ア)
割る式が重解を持つ場合
次のようなケースでは剰余の定理をどのように使えば良いでしょうか?
例題⑤
整式
今まで、剰余の定理を使うときは割る式の根(解)を代入して求めていました。しかしこの場合は
こういうときは微分を使います。
整式を2次式で割った余りは1次以下の整式となるから、これを
そこで
先ほどは導関数を考えることによって条件式の情報を増やすことができました。
もし微分を習っていないのであれば、二項定理や置き換えを用いて余りの部分を取り出すことになります。
例題⑥
整数
まず
代入計算への応用
時々、次のような計算をしなければならない問題に遭遇します。
例題⑦
整式
そのまま
実際、
これにより、ほとんど手間を掛けずに
冒頭の方でも述べましたが、剰余の定理は計算を適度にサボりたい人に積極的に使って欲しい定理です。急所を把握して省エネ計算術を磨きましょう!
ここに掲載した他にも剰余の定理の上手い使いどころをご存知の方はコメント欄にてご紹介頂けると幸いです。
(2022/01/11追記)記事中の問題設定・解答例の誤りを修正。表現を一部変更。
(x-1)^2で割った剰余を二項定理を使って求めるところで
(n-1)で展開するところが(n-2)で展開しています。
むつ さん
コメントありがとうございます。
ご指摘の箇所について確認したところ、確かに誤りでしたので内容を修正しました。
ご協力に感謝いたします。