2017年度高校入試の整数問題①


今回は「2017年度高校入試の整数問題」と題し、今年の高校入試の数学から整数問題をピックアップしていきます。
因みに高校入試数学で個人的にお気に入りの単元は(整数ではなく)図形分野です(笑)


《問題》

$999975$を素因数分解せよ。

(慶應義塾高等学校2017 大問1(4))


初手が重要です。

《解答例》

$\begin{align} 999975 &=1000000-25 \\ &=(1000-5)(1000+5) \\ &=995 \times 1005 \end{align}$

と変形できる。ここで、$995=5 \times 199$、$1005=3 \times 5 \times 67$ であるから、$$\color{red}{999975=3 \times 5^2 \times 67 \times 199} \ \ \ \text{・・・(答)}$$(これらは手計算で素因数分解できる範囲ですよね?)


下二桁が$75$だから$25$の倍数だ!と突っ走るとやや見通しが悪くなってしまいます。実際、$25$で割ると$39999$となり$3$の倍数であることは分かりますが、$13333$の素因数分解はそれほど容易ではありません。大学受験生に解かせたらどうなるのか気になるところです。

 

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続いても素因数分解の関わる問題です。



《問題》

$\sqrt{\dfrac{2520n}{11}}$の値が自然数になる最小の自然数$n$の値を求めなさい。

(函館ラ・サール高等学校2017 大問1(5))


大学入試でもありがちなタイプの整数問題ですね。

《解答例》

$2520=2^3 \times 3^2 \times 5 \times 7$ より、$$\sqrt{\dfrac{2520n}{11}}=6\sqrt{\dfrac{70n}{11}}$$となる。$70$と$11$は互いに素であるから$n$は$11$の倍数であり、$n=11N$($N$は自然数)と置ける。さらに$70N(=2 \times 5 \times 7 \times N)$が平方数であることが必要であるから、そのような最小の自然数$N$は$70$となる。よって$$\color{red}{n=770} \ \ \ \text{・・・(答)}$$


因みに本問と類似の問題で言えば、今年の公立高校入試で

「$n$を正の整数とする。$\sqrt{45n}$が整数となる$n$の値のうち、最も小さいの$n$の値を求めなさい」(栃木県)

「$\sqrt{\dfrac{180}{n}}$が整数となる自然数$n$をすべて求めよ」(奈良県)

といった問題が出題されています。

 

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さて、次の問題です。



《問題》

$n$を自然数とするとき、$\dfrac{n+110}{13}$と$\dfrac{240-n}{7}$の値がともに自然数となる$n$の値をすべて求めなさい。求め方も書くこと。

(大阪府公立高等学校2017 C問題 大問2(8))


高校入試ですが、大学入試でも通用しそうな問題です。

《解答例1》(ひたすら数え上げる原始的な方法)

まず、$240-n>0$ より、$n$は$239$以下の自然数でなければならない。

いま、$\dfrac{n+110}{13}=\dfrac{n+6}{13}+8$、$\dfrac{240-n}{7}=34-\dfrac{n-2}{7}$ と式変形でき、それぞれの値が自然数となるためには、

①「$n+6$が$13$の倍数である」

②「$n-2$が$7$の倍数である」

という二つの条件が同時に成立する必要がある。そこで$1$から$239$の間で条件①、②を満たすような整数を探す。

$k$を自然数とすると、①より$$n+6=13k$$となるので、②が成り立つためには $13k-8$ が$7$の倍数であればよい。

$1$から$239$までに存在する$13$の倍数は$13$、$26$、$39$、$52$、$65$、$78$、$91$、$104$、$117$、$130$、$143$、$156$、$169$、$182$、$195$、$208$、$221$、$234$の$18$個であり、そのうち$8$を引くと$7$の倍数となるのは$78$、$169$の$2$つのみ。よって$$\color{red}{n=72、163} \ \ \ \text{・・・(答)}$$

《解答例2》(よりスマートな方法)

条件より$A、B$を自然数として、$$\begin{cases} \dfrac{n+110}{13}=A \\ \dfrac{240-n}{7}=B \end{cases}$$と置けるから、$$\begin{cases} n=13A-110 \\ n=240-7B \end{cases}$$となる。これらから$n$を消去すると、$$\begin{align} 13A-110 &=240-7B \\ 13A &=350-7B \\ 13A &=7(50-B) \end{align}$$となる。$13$、$7$は互いに素であるから、$A$が$7$の倍数、$50-B$ が$13$の倍数となる。$50-B$ は正であり$B$も正なので、$50-B$ は$13$、$26$、$39$のいずれかに一致する。それぞれの場合について$B$は$37$、$24$、$11$となり、$n$の値はそれぞれ$-19$、$72$、$163$と対応するが、$n$は自然数なので $n=-19$ は適さない。

以上より、$$\color{red}{n=72、163} \ \ \ \text{・・・(答)}$$


文字があり抽象度の高い問題であるため、整数分野の苦手な生徒と得意な生徒で差が付く問題だったのではないでしょうか?

高校数学風に考えれば、$$\begin{cases} A=7k \\ 50-B=13l \end{cases}$$という連立一次不定方程式になるのですが、解の候補が少ないのでこんな回り道をする必要はありません。

 

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更にレベルアップします。(3)はやや難しいです。



《問題》

$2017$のように
(ⅰ)$4$桁の自然数である。
(ⅱ)各桁の数の和が$10$である。
(ⅲ)各桁の数の積が$0$である。
(ⅳ)各桁の数がすべて異なる。
という$4$つをすべて満たす数を考える。以下の問に答えよ。

(1)このような数のうち各位の数の中に$6$を含むものは何個あるか。

(2)このような数は何個あるか。

(3)このような数すべての和を求めよ。

(ラ・サール高等学校2017 大問5)


場合の数からの出題なので正確には整数問題ではありませんが取り上げてみます。

《解答例》

(1)

各位の数の組み合わせは$0$、$1$、$3$、$6$に限られる。($6$、$0$は既に決定しているため、条件(ⅱ)より、残りの数の和は$4$でなければなりませんが、$2$、$2$の組は条件(ⅳ)に反するので不適です。)

また、$0$は千の位にはならないので、組み合わせは$$\begin{align} &\ \ \ \ \ 3 \times (4-1) \times (4-2) \times (4-3) \\ &=3 \times 3 \times 2 \times 1 \\ &=18\end{align}$$となり、計$\color{red}{18}$個ある。

(2)

各位の数の組み合わせは$$\begin{cases} (\text{A})(0、1、2、7) \\ (\text{B})(0、1、3、6)\\(\text{C})(0、1、4、5)\\(\text{D})(0、2、3、5) \end{cases}$$

の4パターンのみである。それぞれについて(1)同様に$18$通りの数が考えられるので、求める個数は計$\color{red}{72}$個。

(3)

各位の数の出現回数について場合を分けて考える。

まず、($\text{A}$)パターン($0$、$1$、$2$、$7$)の組が作る$4$桁の自然数を考える。このうち、一の位が$0$であるような数は$6$個(十、百、千の位で$1$、$2$、$7$の順列を考えると$6$通りとなる)である。

また、一の位が$0$以外であるような数はそれぞれ$4$個(例えば十、百、千の位で$0$、$2$、$7$の順列を考えると、$0$は千の位にはならないので$4$通りとなる)である。

よって($\text{A}$)パターンの数について、一の位の和は$$\begin{align} &\ \ \ \ \  6 \times 0+4 \times 1+4 \times 2+4 \times 7 \\ &=40 \end{align}$$となる。十、百の位の和も同様なので和はそれぞれ$400$、$4000$となる。

千の位は$0$以外なので、($\text{A}$)パターンに該当する$18$個の数のうち、そのような数はそれぞれ$6$個ずつある。よって千の位の和は$$\begin{align} &\ \ \ \ \  1000(6 \times 1+6 \times 2+6 \times 7) \\ &=60000 \end{align}$$となる。

以上より、($\text{A}$)パターンの数の総和は$64440$と求められる。これは他の各パターンについても同様なので、これを$4$倍して答えは$\color{red}{257760}$となる。


こういった数え上げるタイプの問題は高校生でも意外に苦戦するのではないでしょうか。$2017$年に因んだユニークな問題ですね。

 

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最後に、高校数学級の整数問題です。



《問題》

$\dfrac{1}{m}+\dfrac{1}{n}=\dfrac{1}{7}$ を満たす自然数$m、n$($m<n$)を求めよ。

(慶應義塾志木高等学校2017 大問1(3))


大学入試に出題されてもおかしくない本格的な整数問題です。

《解答例》

通分して整理すると$$mn=7m+7n$$となり、これを因数分解して$$(m-7)(n-7)=49$$を得る。$m<n$ より、

$\begin{cases} m-7=-49 \\ n-7=-1 \end{cases}$ または $\begin{cases} m-7=1 \\ n-7=49 \end{cases}$

となるが、前者は$m$が負になるので不適。よって$$\color{red}{(m,n)=(8,56)} \ \ \ \text{・・・(答)}$$


$7$が素数なので解の候補は多くありませんが、解き方を知らないとなかなか手が出ない問題だったと思います。

 

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次回は更に手強い問題を見ていきましょう!

 

5 Replies to “2017年度高校入試の整数問題①”

  1. [1題目について]
    39999を作ってから200^2-1とする方が私には見通しがよいですが,
    人によるのでしょうね.
    まあ,39999=3*13333としてしまうと悲劇ですが...

    [2題目について]
    つまらないことですが,「70nが平方数である」とあるのは誤りですね.
    「nは11の倍数であり,n=11mとするとき,70mが平方数」とでもしましょうか.

    [3題目について]
    13の倍数ではなく,そこから6を引いたものがnであり,結論は72,163ですね.

    (n+110)/13が整数となるので,nは13で割って7余る.…[1]
    (240-n)/7が整数となるので,nは7で割って2余る.…[2]
    [1],[2]をともに満たすnは,91ごとに1つ登場する.

    [1]を満たす自然数は小さい順に7,20,33,46,59,72,…であり,
    [2]も満たす初出は72.
    以下91ずつ加えると,163,254(≧240)となるから,
    求めるものは,72,163.

    [4題目について]
    (3) 4桁の数72個は,数字0を72個含み,
    それらは一,十,百の位に24個ずつ割り振られる.
    残りの数字の平均は10/3であり,
    「0以外」の条件を満たすどの位置にも均等に配置されるので,
    求める数は,
    (10/3)*(1000*72+100*48+10*48+1*48)=257760.

    中学生には厳しいでしょうか.

    [5題目について]
    中学生なら,次のようにやる方が自然かもしれません.
    1/m+1/n=1/7,m<nより,7<m<14.
    1/7-1/8=1/56,
    1/7-1/9=2/63,
    1/7-1/10=3/70,
    1/7-1/11=4/77,
    1/7-1/12=5/84,
    1/7-1/13=6/91
    から,m=8だけが適し,n=56.

    1. たけちゃん さん
      いつもコメントありがとうございます。m(__)m

      1問目は確かに $200^2-1$ から解く方法もありますね!(というより恐らくこちらの方が自然な解法かもしれません)

      2、3問目に関しては完全に私のケアレスミスです・・・。修正させて頂きました。ご指摘ありがとうございます。

      たけちゃん さんの4問目の解答例は数に相当慣れ親しんでいる中学生でないとなかなか発想できなさそうです。

      5問目は仰る通り、中学数学の範囲であれば条件を利用して候補を絞ってから地道に調べていくのが普通かもしれませんね。一つ疑問なのですが、
      $\dfrac{1}{7}=\dfrac{1}{m}+\dfrac{1}{n}<\dfrac{1}{m}+\dfrac{1}{m}$ という不等関係を利用した絞り込みは中学校でも教わるものなのでしょうか?

  2. 「1/7=1/m+1/n<1/m+1/mという不等関係を利用した絞り込み」
    手法としては,中学校では教わらない可能性が高いと思います.
    (もっとも,教科書を見る限り,高校でも教わるとは限らないかもしれません)
    それでも,(手法としては未知であっても,)
    「異なる2数の和が1/7」から「大きい方は1/14より大きい」は,
    気付ける可能性があると思います.

    また,推奨はしにくいですが,はじめに範囲を絞らなくても,
    1/7-1/13=6/91
    の次に
    1/7-1/14=1/14,
    (またはもう1つ「1/7-1/15=8/105」)
    あたりまでやると,大小の逆転が起こることに気付ける可能性もありますね.

    1. たけちゃん さん
      返信ありがとうございます。

      絞り込みについては、やはり教わっていない生徒がほとんどでしょうが、一方が1/14より大きくなければならないことは試行錯誤していれば気付けそうですね。出題サイドとしては、それくらいのことは気付いて欲しい、ということなのかもしれませんが・・・。
      因みに今年度の慶應志木は座標計算(大問5)が難問だったようです。

  3. 通分して整理してを視ると 明らかに 易しい双曲線であり
     其の上の格子点は 記載の通り 有限個であります。

    此処に 参集される 皆様への お願い

    では 双曲線であることまでは 易しい;56 x^2+68 x y-8 x-33 y^2-6 y-1==0
    上の 格子点を全て求めて下さるよう 是非 お願い致します;

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