2017年度高校入試の整数問題②


今回も引き続き、今年度の高校入試数学の整数問題を見ていきます。前回が基本レベルだとすると今回は発展的な問題が多めです。


《問題》

 $2$けたの自然数があり、十の位の数と一の位の数の和は$16$である。この数の十の位の数と一の位の数を入れ替えた数をつくると、もとの数より$18$大きくなる。このとき、もとの数を求めなさい。

(新潟県公立高等学校2017 大問2(1))


まずは易しめの問題から。

《解答例》

もとの数を$N$とし、$0<a \leqq 9$、$0 \leqq b \leqq 9$ を満たす自然数$a、b$を用いて$$N=10a+b$$と表すことにする。問題文の条件より、$$a+b=16 \tag{1}$$および、$10b+a=10a+b+18$、すなわち$$a=b-2\tag{2}$$が成り立つ。

$(1)、(2)$を連立して解くと $a=7$、$b=9$ を得るが、これは条件を満たす。よって$$\color{red}{(N=) \ 79} \ \ \ \text{・・・(答)}$$


基本的な問題ですね。本問ではあまり問題になりませんが、入れ替えた数がもとの数より大きいことから、$0<b$ と設定しても良いでしょう。

 

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続いては整数の性質に関する基本的な問題です。



《問題》

連続する$3$つの偶数の和が、どんな数になるのか調べてみた。

 $2$、$4$、$6$のとき、$2+4+6=12$
 $10$、$12$、$14$のとき、$10+12+14=36$
 $12$、$14$、$16$のとき、$12+14+16=42$
       $\vdots$

これらの結果から、その和は$6$の倍数になっていることに気がついた。
そこで、次のような予想を立てた。

【予想】
 連続する$3$つの偶数の和は、いつも$6$の倍数となる。

この【予想】が正しいことを次のように説明した。

【説明】
 整数$n$を使って、連続する$3$つの偶数の最小の数を$2n$とすると、
 連続する$3$つの偶数は、$2n$、$\boxed{ ア }$、$\boxed{ イ }$ と表される。
 このとき、連続する$3$つの偶数の和は
  $\begin{align} & \ \ \ \ \ 2n+\boxed{ ア }+\boxed{ イ } \\ &=\boxed{ ウ } \\ &=6(n+1) \end{align}$
となる。
 $n$は整数だから、$n+1$ も整数となる。
 よって、$\boxed{ エ } \ \times $(整数)の形で表されるので、予想は正しいといえる。

次の1、2に答えなさい。

  1.  上の【説明】の $\boxed{ ア }$ ~ $\boxed{ エ }$ にあてはまる数または式を答えなさい。
  2.  整数の性質について、次の形式に合う事柄を$1$つ見つけて答えなさい。ただし、上の【予想】以外で、【説明】のようにいつも正しいといえるものを答えること。
      なお、「連続する$3$つの整数の和は整数となる。」「連続する$3$つの整数の積は整数となる。」という解答は除くこと。

連続する$3$つの「              」となる。

 (島根県公立高等学校2017 大問2問2)


題材はありがちなものですが、2の問い方が斬新な問題です。

《解答例》

(1は解答のみ列挙します)

ア:$\color{red}{2n+2}$、イ:$\color{red}{2n+4}$、ウ:$\color{red}{6n+6}$、エ:$\color{red}{6}$

2の解答は「(連続する$3$つの)偶数の和はいつも偶数(となる。)」などでも良いでしょうが、やや創意工夫に欠けます(「奇数」の場合も同様にもう一声欲しいですね)。ここは

奇数の和はいつも$3$の倍数

整数の和はいつも$3$の倍数

などを模範解答としましょう。「$3$の倍数の和はいつも$9$の倍数」とかでも良いですね。


「連続する◇個の〇〇」系の問題は毎年どこかの入試で必ずと言って良いほど出題されています。今年度はこのタイプの証明問題が島根県の他に秋田県や長崎県、沖縄県の公立高校入試でも出題されています。

 

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さて、次からが本番です。



《問題》

 $n$は$1$以上$2017$以下の自然数で、$n$と$30$の最大公約数は$1$です。このような$n$は何個ありますか。また、それらすべての和を求めなさい。

(筑波大学附属駒場高等学校2017 大問2(3)のみ抜粋)


大学入試でも通用しそうな問題です。

《解答例》

条件を満たす自然数$n$は$30$と互いに素であるから、$2$、$3$、$5$を素因数に持たない。これは$30$で割ったときの余りが$2$、$3$、$5$を素因数に持たないことに等しい。

そこで$n$を$30$で割ったときの余り$r$とすると、可能な$r$は$1$、$7$、$11$、$13$、$17$、$19$、$23$、$29$の$8$個に限られる。$n$は$0$以上の整数$k$を用いて$$n=30k+r$$と表せる$2017$以下の自然数であり、$2017=30 \times 67 +7$であるから、$0 \leqq k \leqq 67$ となる。

よって$n$の個数は($2011$、$2017$の$2$個分を加えて)$$67 \times 8 +2=538$$より、$$\color{red}{538}個 \ \text{・・・(答)}$$である。

$1$、$7$、$11$、$13$、$17$、$19$、$23$、$29$のすべての和は$120$であり、$30$ごとにまとめて考えると、$30(k-1)$から$30k$までに存在する$n$の和は$$120+30(k-1) \times 8=240k-120$$と表せる。

よってすべての和は$$\begin{align} 240 \times (1+2+3 &+\cdots+67) \\ &-120 \times 67+2011+2017 \end{align}$$となる。ここで $1+2+3 +\cdots+67$ は、逆から$67+66+65+\cdots+1$ を足して $68+68+68+\cdots+68$ ($68$が$67$個ある)を作ることにより、$$(68 \times 67) \div 2=2278$$と計算できる。これより求めるすべての和を計算すると$$\color{red}{542708} \ \ \ \text{・・・(答)}$$となる。


(和の公式って中学の範囲でしたっけ?)

 

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次は根号を含む不等式の問題です。



《問題》

 自然数$m$、$n$は不等式 $\sqrt{n} \leqq m \leqq \sqrt{n+100}$ を満たしている。

(3)与えられた不等式を満たす$m$がちょうど$2$個である最小の$n$は $\boxed{ オ }$ である。

(東海高等学校2017 大問2(3)のみ抜粋)


必要条件を考えます。

《解答例》

与不等式より、$$n \leqq m^2 \leqq n+100$$が言える。ここで $k$ と $k+1$ の$2$個がこれを満たすとすると、$$\color{blue}{(k-1)^2<n} \leqq k^2 < (k+1)^2 \leqq \color{blue}{n+100 < (k+2)^2} \tag*{・・・①}$$が成立する必要がある。これより、少なくとも$(k+2)^2$と$(k-1)^2$の差が$100$以上であることが必要である。すなわち、$$(k+2)^2-(k-1)^2 \geqq 100 \tag*{・・・②}$$でなければならない。これより $k \geqq \dfrac{97}{6} \approx 16.16…$ を得るから、り条件を満たす$n$が存在するためには、少なくとも$k$が$17$以上でなければならない。そこで $k=17$ とすると、$(k-1)^2<n \leqq k^2$ より、$$(17-1)^2+1 \leqq n$$となるから、この不等式を満たす最小の$n$として $n=257$ が得られる。

$k=17$、$n=257$ の組は確かに不等式$①$を満たし、$m$として$17$、$18$のちょうど$2$つの値を得るので、求める$n$の最小値は$$\color{red}{257} \ \ \ \text{・・・(答)}$$である。


別解も考えられそうですが、解答例のように、必要となる条件から攻めていく方法を覚えておけば類題にも対応できると思います。なお、$②$の不等式は青色で示した部分の不等式から導かれます。

 

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今度は各位の数に関する問題です。



《問題》

 一の位が$0$でない$2$桁以上の自然数を$x$とする。$x$の一の位の数を最も上の位の数とし、他の位の数を$1$桁ずつ下の位にずらして作った数を$y$とする。例えば、$x=35$ のとき $y=53$、$x=236$ のとき $y=623$ である。このとき、次の各問いに答えよ。

(1)$x$が$2$桁の自然数であるとき、$y=\dfrac{4}{7}x$ となる$x$をすべて求めよ。

(2)$x$が$3$桁の自然数であるとき、$y=\dfrac{4}{3}x$ となる$500$以上の$x$をすべて求めよ。

(明治大学付属明治高等学校2017 大問3)


まずは各桁の数を設定しましょう。

《解答例》

(1)

$0<a \leqq 9$、$0 < b \leqq 9$ を満たす整数$a、b$を用いて $x=10a+b$ と表すことにすると、$y=10b+a$ と表される。条件より、$$a+10b=\dfrac{4}{7}(10a+b)$$整理して、$$a=2b$$となる。よって求める$2$桁の自然数$x$は$$\color{red}{x=21、42、63、84} \ \ \ \text{・・・(答)}$$である。

(2)

$5 \leqq A \leqq 9$、$0 \leqq  B\leqq 9$、$0 < C \leqq 9$ を満たす整数$A$、$B$、$C$を用いて $x=100A+10B+C$ と表すことにすると、$y=100C+10A+B$ と表される。条件より、$$100C+10A+B=\dfrac{4}{3}(100A+10B+C)$$となる。$296$が$37$の倍数であることに注意しながらこれを整理して、$$8C=10A+B \tag*{・・・(★)}$$となる。これより$B$は偶数であることが必要だから$$B=2B’ \ (0 \leqq B’ \leqq 4)$$と置ける。これより$(★)$は$$4C=5A+B’$$と書き直せる。ここで $5 \leqq A$ より、$5A+B’ \geqq 5A \geqq 25$ であるから、$4C \geqq 25$、つまり$$C \geqq 7$$が必要である。

ア)$C=7$ のとき $28=5A+B’$ となるが、$0 \leqq B’ \leqq 4$ よりこれを満たすのは $A=5$ かつ $B’=3$($B=6$)に限る。よって $x=567$ を得る。

イ)$C=8$ のとき $32=5A+B’$ となり、同様に考えるとこれを満たすのは $A=6$ かつ $B’=2$($B=4$)に限る。よって $x=648$ を得る。

ウ)$C=9$ のとき $36=5A+B’$ となり、同様に考えるとこれを満たすのは $A=7$ かつ $B’=1$($B=2$)に限る。よって $x=729$ を得る。

以上より、求める$3$桁の自然数$x$は$$\color{red}{x=567、648、729} \ \ \ \text{・・・(答)}$$である。


各桁の数を題材にした問題を扱う際は、不等関係から候補を絞る方法が有効です。是非とも覚えておきましょう。因みに(2)は$500$以上と限定しなければ$486$、$405$、$324$、$243$、$162$も該当します。

 

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最後はガウス記号に関する問題です。



《問題》

 数$x$に対し、$x$を越えない最大の整数を$[x]$で表す。$$x-(x-[x])^2=\dfrac{20}{9}$$を満たす数$x$をすべて求めよ。

(灘高等学校2017 大問1(3)一部文章を改変)


$x-[x]$ が$x$の小数部分であることに着目しましょう。

《解答例》

与式より、$$x=2+\dfrac{2}{9}+(x-[x])^2$$と式変形できる。右辺は正なので$x$は正の数である。また$$0 \leqq (x-[x])^2 < 1$$より、$$2+\dfrac{2}{9} \leqq x <3+\dfrac{2}{9}$$を得る。これより、$x$の整数部分、すなわち$[x]$は$2$か$3$の場合に限られる。

ア)$[x]=2$ のとき、与式より、$$x-(x-2)^2=\dfrac{20}{9}$$となる。これを整理して因数分解すると$$(3x-7)(3x-8)=0$$となるから、この二次方程式の解は$$x=\dfrac{7}{3}、\dfrac{8}{3}$$である。いずれの値でも $[x]=2$ となるから適する。

イ)$[x]=3$ のとき、与式より、$$x-(x-3)^2=\dfrac{20}{9}$$となる。これを整理すると$$9x^2-63x+101=0$$となるから、この二次方程式の解は$$x=\dfrac{21 \pm \sqrt{37}}{6}$$であるが、いずれの値でも $[x] \ne 3$ となるから不適。

以上より、求める数$x$は$$\color{red}{x=\dfrac{7}{3}、\dfrac{8}{3}} \ \ \ \text{・・・(答)}$$である。


今年度の灘高校の数学は全体的に落ち着いた感じになりました。ガウス記号の問題はしっかり場合分けできれば難なく解答できますが、本問は昨年の小問集合で出題されていた類題よりやや複雑です。大小関係に持ち込めないと苦戦してしまうでしょう。

 

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(コメント)

ここでは扱っていませんが、今年度は全体的に、昨年に比べて確率や統計などと絡めた整数問題が増えたような気がします。応用的な問題が解けるに越したことはありませんが、まずは基本問題を確実に解けるようにしたいですね。

 

2 Replies to “2017年度高校入試の整数問題②”

  1. [東海高等学校大問2(3)について]
    m,nを含む不等式について,(mの不等式とみているのでしょうが,)
    「mとm+1の2個がこれを満たす」はちょっといかがなものかと思います.
    「m=k,k+1の2個がこれを満たす」とでもした方がよさそうな気がします.
    また,提示された解答では,必要条件を提示し,十分性を確かめないまま
    結論としているような印象を受けました.
    実際,「mが17以上のときに,条件を満たすnが存在する」は,
    文字通りに解釈すれば誤りで,例えばm=100のときは存在しません.
    また,√(n+100)に替えて√(n+104)とした問題では,最小のnは290ですが,
    示された解答だと,そのまま通用して257となりそうにみえます.

    mが2個となる最小のnをNとおく.
    自然数nが1だけ増えるとき,mの下限,上限ともに,
    「1だけ増加するか不変であるかのいずれか」
    であり,mの個数は「1だけ増える,不変,1だけ減る」のいずれか.
    また,n=1のとき,1≦m≦√101であり,自然数mの個数は10であり2より多い.
    以上より,mの個数がはじめて2になるとき,1だけ減って2になったはずで,
    n=N-1のとき,mの個数は3であり,
    mの下限はn=Nのときの方がn=N-1のときよりも1だけ大きく,
    mの上限はn=Nのときとn=N-1のときで不変.
    これより,N-1は平方数であり,N+100は平方数ではない.N-1=k^2とおく.
    n=Nのときの不等式は√(k^2+1)≦m≦√(k^2+101)となり,
    mの下限はk+1であるから,上限はk+2.
    したがって,k+2≦√(k^2+101)<k+3であり,k^2+4k+4≦k^2+101<k^2+6k+9.
    46/3<k≦97/4となって,これを満たす最小の自然数kはk=16であり,
    k^2+101=357は平方数でないから条件を満たす.
    以上より,N=16^2+1=257.

    いやあ,これは難しいですね.下手な大学入試より手強そうです.

    [明治大学付属明治高等学校大問3について]
    (2) 上2桁はセットにして扱う方が楽だと思います.

    50≦U≦99,0<D≦9を満たす整数U,Dを用いてx=10U+Dとする.
    y=100D+Uであり,条件より100D+U=(4/3)(10U+D).
    これより,296D=37U,すなわちU=8Dを得る.
    50≦8D≦99,0<D≦9から,D=7,8,9であり,(U,D)=(56,7),(64,8),(72,9).
    したがって,x=567,648,729.

    1. たけちゃん 様
      コメントありがとうございます。

      東海高の問題ですが、確かに「$m$と$m+1$が~」では雑ですね(^^;)
      略解の気分で書いてしまいました。現在は訂正済みです。

      また解答に関しても十分性の確認にはほとんど言及しておりませんでしたので、こちらも修正致しました。ご指摘頂いた$\sqrt{n+104}$の場合ですと、そのまま $k=17$ としたのでは不等式$①$で言うところの最右辺に当たる$$n+104 < (k+2)^2$$の部分がクリアできないので $k=18$ として探し直すことになりますね。 明大明治高の(2)は、仰る通り上2桁をまとめて処理した方が、場合分けも簡単になって良いですね! 別解のご提供に感謝致します。

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