「2+2=5」の証明

イギリスの作家ジョージ・オーウェルは小説「1984年」の中で「2 + 2 = 5」という表現を不合理の象徴として効果的に用いています。そこで本稿ではこの「等式」の証明を試みます。

 

 2 + 2 = 5

この「2+2=5」という不可解な「等式」ですが、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説「1984年」に登場するケースが恐らく最も有名なものでしょう。

「1984年」は管理主義が極度に推し進められた架空の世界を舞台とする小説で、厳しい言論統制が敷かれて思想教育が徹底されている一種のディストピアを描いています。密告により思想警察に捕らえられた主人公は、全体主義的な政府の体制と思想を信奉するよう拷問を受ける中で「2+2=5」という誤謬を無理やり認めることになります。この「2+2=5」というフレーズは「1984年」の中で象徴的な役割を果たしています。小説自体はH.Tsubota氏による日本語訳版(外部リンク)がクリエイティブ・コモンズになっており、誰でも自由に閲覧できるようになっています。因みに、村上春樹氏の「1Q84」はこの小説に影響を受けて執筆されたものです。

実は、この「2+2=5」に類する不合理な表現はかなり以前から用いられています。例えば、ドストエフスキーの「地下室の手記」(英:Notes from Underground、露:Записки изъ подполья)に主人公が 2×2=4 という事実に不満を示す件があります。この日本語訳は青空文庫(外部リンク)で閲覧できます。また、フランスの作家であるアルフォンス・アレーの1895年に出版された短編小説集に「Deux et deux font cinq」と題されたものがあります。この題名はフランス語で「2+2=5」を意味しています。

オーウェルが影響を受けたとされるのは、ソ連が第一次五カ年計画の早期達成を目指して掲げた「2+2=5」というスローガンだそうです。ポスターにはしっかり「2+2=5」と書かれており、4年で5年分の進捗を生み出すように国民を扇動する意図が読み取れます。

第一次五カ年計画のポスター

それから、事実かどうかは定かではありませんが、旧ドイツ軍のヘルマン・ゲーリング元帥がアドルフ・ヒトラーへの忠誠示すために言ったとされる「総統が欲するなら、2+2=5になります」という言葉も、後にオーウェルに何かしら影響を与えたのではないかと言われています。


さて、何かと口を開けば「党」に目を付けられてしまいますからね! 思想警察に捕まらないように何とか「2+2=5」の証明をでっち上げることにしましょう。

 

 証明

※「二重思考」をしないと以下の証明は機能しません!ご注意を!

目標

無理やり$$2+2=5$$を示す。

如何にごまかしつつ上手く式変形できるかが腕の見せ所です。幾つかの証明を示します。

【証明①:ゼロを利用】

$$20-20 = 25-25$$ $$\therefore 5 \cdot 4-5 \cdot 4 = 5 \cdot 5-5 \cdot 5$$共通因数で両辺を括ると、$$4 (5-5) = 5 (5-5)$$となるから、両辺の$(5-5)$が消去できて、$$4 = 5$$を得る。$4$は $2+2$ と表せるので、$$2+2 = 5$$を得る。


【証明②:平方根を利用】

$$\small \begin{align}
& \ \quad 2+2 \\
& = 4-\dfrac{9}{2}+\dfrac{9}{2}\\
& = \sqrt{\left(4- \dfrac {9}{2}\right)^2} + \dfrac{9}{2}\\
& = \sqrt{16-2 \times 4 \times \dfrac{9}{2}+\left(\dfrac{9}{2}\right)^2}+\dfrac{9}{2}\\
& = \sqrt{-20+\left(\dfrac{9}{2}\right)^2} + \dfrac{9}{2}\\
& = \sqrt{(25-45) + \left(\dfrac{9}{2}\right)^2} + \dfrac{9}{2}\\
& = \sqrt{5-2 \times 5 \times \left(\dfrac{9}{2}\right) + \left(\dfrac{9}{2}\right)^2} + \dfrac{9}{2}\\
& = \sqrt{\left(5- \dfrac{9}{2}\right)^2} + \dfrac{9}{2}\\
& = 5- \dfrac{9}{2} + \dfrac{9}{2}\\
& = 5
\end{align}$$


【証明③:四捨五入を利用】

$2.49$を2つ足し合わせると$$2.49+2.49 = 4.98$$となる。ここで$2.49$を四捨五入すると$2$であり、$4.98$を四捨五入すると$5$であるから、$$2 + 2 = 5$$を得る。


【証明④:絶対値を利用】

$$\begin{align}
|2-2.5|&=|2.5-2| \\ \\
\therefore 2-2.5&=2.5-2 \\ \\
\therefore 2+2&=5
\end{align}$$


【証明⑤:微分を利用】

$$\underbrace{x+x+x+\cdots+x+x}_{x\text{個}}=x^2$$より、両辺を微分すると$$\underbrace{1+1+1+\cdots+1+1}_{x\text{個}}=2x$$となり左辺は$x$となるから$$x=2x$$が成り立つ。よって両辺を$x$で割ると$$1=2$$となり、両辺に$3$を加えて$$2+2=5$$を得る。



【コメント】

いかがでしょうか? 上記の「証明」はいずれも大なり小なり誤謬が隠れていますので、それぞれ指摘してみるのも面白いかもしれません。因みに、アンサイクロペディアの「1=2」のページ(外部リンク)にデタラメな「二重思考」を要する証明法が山ほど掲載されています。管理人は「カレンダーを利用した証明」が個人的にお気に入りです(笑)。

 

上記の証明で用いられているのは一般に「数学的誤謬」と呼ばれるトリックで、これは当サイトの「明日起きられる確率は50%?」の記事でも取り上げています。もしよければこちらもご覧になって下さい。

 

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