物理化学:結合の極性から水素結合・分子間力を考える

高校化学から大学初年級/内容確認:2026年10月14日

C–O結合は極性を持ちますが、CO₂分子全体の双極子モーメントはゼロです。結合一本の偏りと、分子全体の偏りを区別すると、沸点や溶けやすさを考える準備ができます。

電気陰性度、双極子、分極しやすさ

電気陰性度は、結合中の電子を原子が引き付ける傾向を表す尺度です。異なる原子が結合すると、電子分布は均等とは限りません。O–Hでは酸素側に偏り、酸素にδ−、水素にδ+を付けます。δは、整数のイオン電荷とは異なる部分的な電荷の印です。(OpenStax:2.1 結合の極性と電気陰性度)

分子全体の偏りには向きがあります。直線形のCO₂では、二つのC–O結合の偏りが反対方向に打ち消し合います。折れ線形の水では打ち消し切れません。さらに、外から電場を受けたときに電子分布が変形する容易さを「分極率」といいます。電気陰性度が大きいことと、分極率が大きいことは別の性質です。

二つの結合のなす角度θ(度)θ = 104° / 合成した大きさ = 1.23

同じ大きさ1の矢印2本を足す模型です。合成は2cos(θ/2)。実在分子の双極子モーメントの計算値ではありません。

分子どうしを引き付けるもの

相互作用 見方 身近なつながり
分散力 一時的な電子の偏りが周囲の分布と相関する 無極性の分子にも働く
双極子間相互作用 永久的な偏りの向きが関係する 分子の形が沸点などに影響する
水素結合 O–HなどのHと、相手の電子豊富な部位が相互作用する 水、アルコール、タンパク質など

同じ分子式C₂H₆Oでも、エタノールはO–Hを持ち、分子どうしで水素結合を作れます。ジメチルエーテルにはO–Hがないため、純物質で同じ網目を作れません。一方、エーテルの酸素は水から水素結合を受け取れます。「水素結合を作る」という言い方では、与える側と受ける側を分けると整理しやすくなります。

大きい分子ほど沸点が高いのはなぜ?

似た形の分子を同じ系列で比べると、電子数や分極率が大きくなるほど分散力が強くなる傾向があります。分岐による接触の仕方の違いも効きます。融点には結晶内の詰まり方が強く関係するため、沸点と同じ順序になるとは限りません。

分子間力の表は考え方の分類です。実際の相互作用は複数の成分を含み、「水素結合がある分子は必ず他より高沸点」といった一律の順位にはなりません。

考えてみよう:水に溶かしたエーテルは、水素結合に参加できる?

できます。エーテルの酸素の孤立電子対が、水のO–Hから水素結合を受け取ります。エーテル自身がO–Hを持つ必要はありません。