こんにちは。管理人のpencilです。今回は雑談回です。「雑題ログ」に新しいページを追加したのでご報告。
この度、「雑題ログ」の新コーナーとして、「オールジャンル一行問題」と題した入試数学における一行問題をリストアップしたページを作ってみました。正直言ってまだまだ問題を集めきれていませんし、意図的に省いた問題もあるので、全ての一行問題が網羅されているわけではありませんが、世の中に出回っている一行問題の奥ゆかしさに皆さんが少しでも触れて頂ければと思っております(笑)。
極限計算の問題文は短文化しやすいので、極限分野にジャンルが偏ってしまうかとも危惧していたのですが、いざ蒐集してみると案外そんなこともなさそうです(極限計算の問題数は依然多いですが・・・)。出題校はやはり難関大学が多数を占めています。これは個人的な意見ですが、一行問題は典型題の対極にあるために、それなりに数学の応用力が身に付いている受験層が相手でないと、得点に全く差が付かなくなってしまうのでしょう。そのため、一行問題の質は大学のレベルを多分に反映しているとも言えます。一行問題が難関大学に多いのは必然、ということですね。
残念なことに一行問題は受験生に嫌われがちではありますが、カテゴライズの難しい一行問題は数学の力を伸ばすのに最適な演習問題となります。ある程度数学が得意な方は、演習がてら少し覗いていってもらえればと思います!
色々な一行問題がありますが、やはり個人的にベストなのは業界最短、最小文字数の2006年京大後期の問題ですかね。
$\tan 1^{\circ}$は有理数か。
(2006年京都大学後期/文系第5問/理系第6問)
余談になりますが、この問題、当時の受験生のほとんどは散々な出来だったそうです。実は加法定理と背理法の合わせ技であっさり解決してしまうのですが、試験場ではなかなか気付けないのが実情ですね・・・(^_^;)。
(2017/07/06追記)
スマートフォンで閲覧すると一部の問題が2行で表示されてしまうようです。このサイトの仕様なのですが、不満に思われた方はPCでの閲覧を推奨致します・・・(笑)。
面白いコレクションですね。
昨年度の愛媛大学(医)の第5問も一行問題に入るのではないでしょうか?
コレクションに加えて頂けると幸いです。
酪農家 さん、コメントありがとうございます。
情報提供に感謝致します。愛媛大学(医)の第5問ですが、実際の問題冊子では1行に収まっていなかったようですが、折角ですのでリストに加えておきました。演習向きの良問だと思います。
一辺1の立方体を、√3の距離を持つ2頂点を含む直線を軸として回転させてできる回転体の 体積を求めよ。(答 ((√3)π)/3) という問題を出した大学が、あるのではないでしょうか。(ちょっと問題文が長過ぎるでしょうか。)
森 朋之 さん
初めまして。コメントを寄せて頂きありがとうございます。
マークシート方式なども含めれば、該当する問題を出したことのある大学は結構ありそうですね…。
例えば、1993年の東京工業大学の後期第1問に次のような出題があります。
「一辺の長さが1の立方体を,中心を通る対角線のうちの一本を軸として回転させたとき,この立方体が通過する部分の体積を求めよ.」
まさに同じ趣旨の問題ですが、森さんにご提示頂いた問題文の方が短文ですね!
大学によって問題冊子のフォントサイズが違うこともあり「一行問題」では定義が曖昧なので、寧ろ「一文問題」とした方が良かったかもしれません…(笑)
それはそれとして、この問題も類題多数ということで一覧に追加しておきます。
今後とも当サイトをよろしくお願いします!
早速、ご返答下さりありがとうございます。一流の数学者も、アマチュア数学愛好家も、考えることは同じですね。奥が深い一行問題を、またこの場で投稿しようと思います。(思いつくだけでもたいへんなことですが…、)
Wikipediaの「二項係数」の項でも紹介されていることですが、
i
Σ (-1)(i!)(k!)((i-k)!)=((-1)^i)i! (i≧0)を証明せよ。
k=0
を出題した大学を知っているという方は、是非お知らせ下さい。(少なからず、いるのですね。二項係数をいじって遊んでいるうちにこのことを発見し、腰を抜かす受験生が。)
問題文を訂正します。
i
Σ (-1)(i!)(k!)((i-k)!)=((-1)^i)i!! (i≧0)を示せ。
k=0
問題文を訂正します。
i
Σ (-1)(i!)(k!)((i-k)!)=((-1)^i)i! (i≧0)を示せ。
k=0
問題
「eのπ乗 と πのe乗 の大小関係を示せ。」
解答
f(x)=x log x
とし、平均値の定理を用いて,
π > e ⇒ eのπ乗 > πのe乗。(A)
円周とその内接正6角形の辺の長さの合計とを比較して、
π > 3。(B)
eの定義より、
a→e かつ h→0 ⇒ (a^h – 1) / h →1
上の式より、
a→e かつ h→0 ⇒ log((1+h)^(1/h)) → 1
(1+h)^(1/h) → e
これより、
n→+∞ ⇒
(1+ 1/n)^n → e。(C)
上の式の左辺を二項展開し、
(1+ 1/n)^n
n
= 1+Σ (nCk) / (n^k)
k=1
n
= 1+Σ n(n-1)・・・(n-k+1) / (k!) / (n^k)
k=1
n
= 1+Σ 1・(1- 1/n)・・・(1-(k-1)/n) / (k!)
k=1
n
< 1+Σ 1/(k!)
k=1
e。(E)
(A)(E)より、
eのπ乗 と πのe乗。⬛️
(A)だけでは0点答案だと思うのです。皆さんの意見をお待ちします。また「eとπの評価って、こうするのか。なるほど!」と感じた方がいれば幸いです。
先ほどの(D)の式のΣ演算子が見にくいので、書き直します。
上の式の左辺を二項展開し、
(1+ 1/n)^n
= 1+Σ(k=1 to n) (nCk) / (n^k)
= 1+Σ(k=1 to n) n(n-1)・・・(n-k+1) / (k!) / (n^k)
= 1+Σ(k=1 to n) 1・(1- 1/n)・・・(1-(k-1)/n) / (k!)
< 1+Σ(k=1 to n) 1/(k!)
< 1+ 1/(1-1/2)
=3。(D)
結論:eのπ乗 > πのe乗。