【数Ⅲ】1/sin x の微分と5通りの不定積分の導出法

本稿では関数 1/sin x の導関数と不定積分の様々な導出法を紹介します。1/sin^2 x についても触れます。

 

1cosx の導関数と不定積分の導出法についてはこちら


 1sinxの導関数の導出

微分すれば良いだけなので、導関数の導出は簡単です。中身の微分を忘れずに。

ddx[1sinx]=(sinx)sin2x=cosxsin2x

 

 1sinxの不定積分の導出

数学Ⅲでよく取り上げられる計算ですが、複数の導き方が知られており実は奥深いのです。

 

① 部分分数分解を利用

dxsinx=sinxsin2xdx=sinx1cos2xdx=sinx(1cosx)(1+cosx)dx=12(sinx1cosx+sinx1+cosx)dx=12((1cosx)1cosx(1+cosx)1+cosx)dx=12(log|1cosx|log|1+cosx|)+C=12log|1cosx1+cosx|+C絶対値は外しても外さなくてもOKです。これが最もオーソドックスな方法でしょうか。

 

② 2倍角の公式を利用

dxsinx=dx2sinx2cosx2=dx2cos2x2tanx2一般に (tanx2)=12cos2x2 が成り立つのでdx2cos2x2tanx2=(tanx2)tanx2dx=log|tanx2|+C①の結果と形が異なりますが、同じ値を表しています。これは知らないと難しいかもしれません。

 

cscx+cotx を利用

dxsinx=1sinx(1sinx+1tanx1sinx+1tanx)dx=1sin2x+1sinxtanx1sinx+1tanxdx=(1sinx+1tanx)1sinx+1tanxdx=log|1sinx+1tanx|+Cこれは知らないとまず思い付かない式変形だと思います。観賞用の証明法だと思って結構です。

またまた形の異なる結果が得られましたが、これまでと同じ値を表しています。確かめてみて下さい。

※ ここで、cscx=1sinx であり、cotx=1tanx です。因みに secx=1cosx です。

 

x=2u と置換する

x=2uと置くと、1sinxdx=1sin2u(2du)=22sinucosudu=1sinucosudu=sin2u+cos2usinucosudu=(sinucosu+cosusinu)du=((cosu)cosu+(sinu)sinu)du=log|cosu|+log|sinu|+C=log|sinucosu|+C=log|tanu|+C=log|tanx2|+Cを得ます。sin2u+cos2u=1 の関係式を上手く用いています。上記ではx=2u と置換することで式をシンプルにして見やすくしていますが、この方法は置き換えをせずとも計算可能です。案外分かりやすい証明法かもしれません。

 

t=tanx2 と置換する

いわゆる「ワイエルシュトラス置換」(Weierstrass substitution) または「半角正接置換」(tangent half-angle substitution) と呼ばれる置換積分による方法も有名です。

t=tanx2 と置換すると、{sinx2=t1+t2cosx2=11+t2と表せるので、sinx=2t1+t2, cosx=1t21+t2と表せます。また、dx=21+t2dtとなるので、dxsinx=1+t22t21+t2dt=1tdt=log|t|+C=log|tanx2|+Cを得ます。参考書などによく載っているタイプの証明法ですね。t=tanx2 と置けば大抵の被積分関数は有理関数化できるので、積分計算をゴリ押しできます。

 


 

“【数Ⅲ】1/sin x の微分と5通りの不定積分の導出法” への4件の返信

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