タンジェントtan(x)を導関数の定義を用いて微分する方法

タンジェントを導関数の定義を用いて微分する方法を紹介します。意外と詰まる人が多いかもしれないと思い、取り上げてみます。


まずは導関数の定義を確認しておきましょう。「導関数」の概念は数Ⅱの範囲であり、昔のセンター試験の数ⅡBに出題されたこともあります。

導関数の定義

f(x)=limh0f(x+h)f(x)h

この式を出発点として、関数の「微分」という操作が定義されます。tanx を微分するにはもう一つ、limx0tanxx=1という関係式を証明する必要がありますが、これはsinの極限limx0sinxx=1から証明できます。この証明は「【数Ⅲ】三角関数の極限公式の証明」の記事に記載しているので、参考にして下さい。


tanの加法定理より、tan(x+h)=tanx+tanh1tanxtanhが成立します。これより、tan(x+h)tanx=tanx+tanhtanx+tan2xtanh1tanxtanh=tanh(1+tan2x)1tanxtanhとなるので、(tanx)=limh0tan(x+h)tanxh=limh0tanhh1+tan2x1tanxtanh=11+tan2x1tanx0=1+tan2x=1+sin2xcos2x=cos2x+sin2xcos2x=1cos2xを得ます。これにより、(tanx)=1cos2xが導かれます。


また、tanの加法定理を使わずに示すこともできます。tan(x+h)tanx=sin(x+h)cos(x+h)sinxcosx=sin(x+h)cosxcos(x+h)sinxcos(x+h)cosx=sin(x+hx)cos(x+h)cosx(sinの加法定理)=sinhcos(x+h)cosxより、(tanx)=limh0tan(x+h)tanxh=limh0sinhh1cos(x+h)cosx=11cos(x+0)cosx=1cos2xを得ます。

式変形の途中でsinの加法定理を用いました。この方法によればtanの加法定理を覚えていなくても導出できます。


よくtanの加法定理を忘れてしまったから導けない、という人を見掛けますが、この証明にはtanの加法定理が必須という訳ではありません。このことは覚えておいて良いでしょう。

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