今年の京大理系数学の整数問題を扱います。今回はやや難化した印象です。
《問題》
正の整数に対して、
(は整数ではで割り切れない)
の形に書いたとき、 と定める。例えば、 である。
は整数で、次の条件を満たすとする。
(ⅰ)
(ⅱ)
(ⅲ) はで割り切れない
このようなについてとするとき、の最大値を求めよ。また、の最大値を与えるようなをすべて求めよ。
(京都大学2020年 理系第4問)
《考え方》
は「関数 がで最大何回割り切れるか」を表す関数になっています。これを最大化するような以下の正の整数の組を求める、というのが本問の趣旨です。
二変数関数という点が厄介ですが、まずはがの倍数となる条件を考えるところから始めましょう。その際、「がの倍数でない」という条件を忘れてはいけません。をで割った余りについて分類してからの候補を絞り込む、というアプローチが第一選択です。
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解答例
のとき、となる。これがの倍数となるにはが必要であり、 がこれを満たす。
また、 のとき、となる。よって、 がこれを満たす。
以上より、となることが必要である。
(ア) のとき、ある整数 を用いてと表せる。ただし整数 は 、 を満たすものとする。
これをに代入して整理するとを得る。よって となるためにはが必要であるから、少なくとも が必要となる。このときとして可能なものは 、、、 の4つであり、このときとなるから、これらのについての下線部はの倍数となる。そこで整数を用いて と置くと、となる。したがってがの倍数のとき となるが、そのようなは のみである。 とすると となるからとなる。さらに がの倍数となるためには が必要となる。このときとして可能なものは 、、、 の4つであり、このときとなるから、これらのの値はすべて を満たす。
(イ) のとき、ある整数 を用いてと表せる。ただし整数 は 、 を満たすものとする。
これをに代入して整理するとを得る。ここで下線部はの倍数でないから、このとき となる。
以上 (ア)、(イ) より、 の最大値はであり、そのときのの組はである。
(コメント)
京大では多項式が素数になる条件に関する出題は過去に複数見られますが、素因数の個数に関する出題はそれほど多くない気がします。素因数の個数がテーマの問題としては京大の2010年理系(乙)第5問などに類題がありますので、一度さらっておくと良いでしょう。来年も整数問題が出題されると想定してしっかり対策しておくべきですね!
なお、「(ⅲ) はで割り切れない」という条件が無ければ、のときに となります。