最近の創作整数問題は分野が入り乱れてきています・・・(笑)
今回は指数の冪を含むディオファントス方程式がテーマです。
《問題#17》
等式 $m^2+15=2^n$ を満たす自然数の組$(m,n)$をすべて求めよ。
(創作問題)
因数分解に持ち込めるように式変形できないか、考えてみましょう。
» 答えはこちら 答えは $\color{red}{(m,n)=(1,4)、(7,6)}$ です。 » 閉じる
創作整数問題#16(解き方)
$a_1=1$、$a_2=1$、$a_{n+2}=a_{n+1}+a_{n} \ (n=1,2,3,\cdots)$ で定められる数列$\{a_n\}$が$12$の倍数となるような自然数$n$の条件を求めよ。 |
本問のように、漸化式で与えられる数列の剰余(特に今回のように合成数$(12=3 \times 4)$を法としたときの剰余)の問題ではいきなり$12$の倍数になる場合を考え始めるのではなく、$3$の倍数になる$n$の条件と$4$の倍数になる$n$の条件を別々に考えるのが鉄則です。
また、「漸化式で与えられる数列の剰余は周期性を持つ」ことにも注意しましょう。今回の漸化式は3項間漸化式なので、連続する2項に同じ数列が現れた時点で周期が確定します(具体的に言うと、$a_{n}$と$a_{n+1}$がそれぞれ$a_{1}$と$a_{2}$に等しくなるような$n$を見つければ周期は「$n-1$」と求められます)。
早速$a_{n}$が$3$の倍数になる$n$の条件を調べます。$a_{n}$を書き出していくと
$a_{1}=1$、$a_{2}=1$、$a_{3}=2$、$a_{4}=3$、$a_{5}=5$、$a_{6}=8$、$a_{7}=13$、$a_{8}=21$、$a_{9}=34$、$a_{10}=55$、$\cdots$
となるので、$a_{n}$を$3$で割ったときの余りを$b_{n}$とおくと、
$b_{1}=1$、$b_{2}=1$、$b_{3}=2$、$b_{4}=0$、$b_{5}=2$、$b_{6}=2$、$b_{7}=1$、$b_{8}=0$、$b_{9}=1$、$b_{10}=1$、$\cdots$
となるので、$b_{n}$は周期$8$で繰り返すことが分かります。よって$a_{n}$が$3$の倍数になるような$n$の条件は
(★)$n$が$4$の倍数であること
となります。同様に$a_{n}$を$4$で割ったときの余りを$c_{n}$とおくと、
$c_{1}=1$、$c_{2}=1$、$c_{3}=2$、$c_{4}=3$、$c_{5}=1$、$c_{6}=0$、$c_{7}=1$、$c_{8}=1$、$c_{9}=2$、$c_{10}=3$、$\cdots$
となるので、$c_{n}$は周期$6$で繰り返すことが分かります。よって$a_{n}$が$4$の倍数になるような$n$の条件は
(☆)$n$が$6$の倍数であること
となります。2つの条件(★)と(☆)により、$a_{n}$が$12$の倍数になるような$n$の条件は
$n$が$12$の倍数であること
となります。
合成数(今回は$12$)を法としたときの余りを考える際はその因数($4$、$3$)で割った余りを考えればよい、という発想は創作整数問題#1や整数第3章第1節の問題#B012にも共通しています。また、(★)と(☆)の条件の形から、答えを「$n$が$24$の倍数であること」だと早合点しないように注意しましょう。ありがちなケアレスミスです。
フィボナッチ数列に関する入試問題はこれまでに様々な大学で出題されています。今回解説した問題#16は数あるフィボナッチ数列の問題の中でも割と簡単な部類の問題だったと思います。当ホームページの「雑題ログ」に実際の入試で出題された過去問を色々とまとめているので、是非ご覧になって下さい!