久々の更新となりました。最近は記事を書けるような時間的余裕が無く大変残念ですが、この創作整数問題シリーズも着実に歩を進め、今回で26回になりました。ところで余談ですが、26という数字は平方数と立方数に挟まれた唯一の自然数であることが知られています。これを示すには $y^3=x^2+2$ という方程式を解かなければなりません(楕円曲線の格子点の導出は高校数学レベルでは難しい(解けない?)問題です)。
《問題#26》
$n$を$2$以上の整数とする。$\sqrt{{}_{n}\mathrm{C}^{\ }_{2}\ }$ が整数となるような$n$を$5$つ求めよ。
(創作問題)
初見であればやや難しいと思いますが、背景を良く知った人なら易しいと感じるかもしれません。入試問題であれば誘導設問が付くでしょうが、ここでは「スッピン」のまま出題してみます。
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答えは $\color{red}{n=2,9,50,289,1682}$ です。もしや当てずっぽうでも求められる・・・?
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創作整数問題#25(解き方)
有理数 $p$ を用いて $\dfrac{p^2+1}{p(p-1)}$ と表せる整数をすべて求めよ。 |
《解答例》
$n$を整数として $n=\dfrac{p^2+1}{p(p-1)}$ と置くと、$$(n-1)p^2-np-1=0$$と$p$の二次方程式に変形できます。
$n=1$ のときは $p=-1$ となり題意を満たしますので、以下では $n \ne 1$ とします。このとき二次方程式を$p$について解くと$$p=\dfrac{n \pm \sqrt{n^2+4(n-1)}}{2(n-1)}$$となります。$p$が有理数となるためには少なくとも $n^2+4(n-1)$ が完全平方数となることが必要です。そこで$k$を非負整数として$$n^2+4n-4=k^2$$と置きます。両辺に$8$を加えると$$\therefore (n+2)^2-8=k^2$$ $$\therefore (n+2)^2-k^2=8$$ $$\therefore (n+2-k)(n+2+k)=8$$と因数分解できます。$n+2-k$ と $n+2+k$ の差は偶数なので両者の偶奇は一致します。したがって解の候補は$$(n+2-k,n+2+k)=(2,4)、(-4,-2)$$の2つに絞られます。
$(n+2-k,n+2+k)=(2,4)$ のとき、差を取ると $2k=2$ より、$k=1$ となるので $n=1$ を得ますが、これは $n \ne 1$ とした仮定に反します。よって不適。
$(n+2-k,n+2+k)=(-4,-2)$ のとき、差を取ると $2k=2$ より、$k=1$ となるので $n=-5$ を得ます。このとき$$p=\dfrac{1}{3}、\dfrac{1}{2}$$となり、逆に $p=\dfrac{1}{3}、\dfrac{1}{2}$ のとき、ともに与式は $-5$ となるので適します。
以上より、求める整数$n$は$$\color{red}{n=1,-5}$$となります。
互いに素な整数$a$、$b$を用いて $p=\dfrac{a}{b}$ と置いて解く素朴な方法もあります。
《別解》
互いに素な整数$a\ (\ne 0)$、$b$を用いて $p=\dfrac{b}{a}$ と置くと、与式は$$\dfrac{b^2+a^2}{b(b-a)}$$と整理されます。これが整数値をとるためには少なくとも $b^2+a^2$ が $b$ で割り切れることが必要で、これより$a^2$が$b$の倍数であることが必要です。しかし$a$、$b$は互いに素なので、ここから $b=\pm 1$ が従います。
$b=1$ のとき、$p \ne 1$ より $a \ne 1$ であることに注意します。このとき与式は$$\dfrac{1+a^2}{1-a}=\dfrac{2}{1-a}-a-1$$となり、これより $1-a$ は$2$の約数で、$a \ne 0、1$ より $a=2、3$ となります。故に$$p=\dfrac{1}{3}、\dfrac{1}{2}$$を得るので、与式は整数値 $-5$ をとります。
$b=-1$ のとき、$p \ne 1$ より $a \ne -1$ です。このとき与式は$$\dfrac{1+a^2}{1+a}=\dfrac{2}{1+a}+a-1$$となります。これより $1+a$ は$2$の約数となり、$a \ne 0$ より $a=-3、-2、1$ とります。故に$$p=\dfrac{1}{3}、\dfrac{1}{2}、-1$$を得るので、与式は整数値 $-5$ または $1$ をとります。
以上より求める整数値は $\color{red}{-5}$ および $\color{red}{1}$ と求められます。
(コメント)
素直に解ける問題だったのではないでしょうか。どうでもいい話ですが、かつて平方数と完全平方数を別物だと思っていた時期があったのを、解答例を書きながら思い出しました(笑)。