2018年2月23日現在、平昌オリンピックで日本が獲得したメダル数は11個と、前回のソチ五輪から躍進するだけでなく、これまで最多だった長野オリンピックの獲得メダル数である10個を上回りました。これを機に冬季スポーツが盛り上がると良いですね!
創作整数問題#37
《問題#37》
複素数 $\sqrt[3]{2+\sqrt{-121}}+\sqrt[3]{2-\sqrt{-121}}$ が整数値をとるとき、その整数値を求めよ。
(創作問題)
たまに入試で出題されるタイプの問題に見えますが、根号の中身が虚数なので計算の際は要注意です(複素関数 $f(z)=\sqrt[3]{z}$ は多価関数であり与式は9つの複素数値をとります)。まずはアタリを付けて計算していくのが吉でしょう。
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答えは $\color{red}{4}$ ですが、計算の過程も併せてお答え下さい!
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創作整数問題#36(解き方)
3次方程式$$2x^3-mx^2-(4m+1)x-12=0$$が整数解をもつような整数$m$をすべて求めよ。 |
このタイプの問題では$m$について解いたり、若しくは因数分解したりする方法が有効です。ここでは後者の方法により$x$の候補を絞り込みます。
《解答例》
与式を$$x\{2x^2-mx-(4m+1)\}=12$$と変形する。これが整数解 $x=k$ をもつならば、$k$は$12$の約数であることが必要である。ただし $k \ne 0,-4$ が必要である。
$k=12$ のとき、$m=\dfrac{143}{8}$ となり$m$が整数でないので不適。
$k=6$ のとき、$m=\dfrac{69}{10}$ となり同様に不適。
$k=4$ のとき、$m=\dfrac{7}{2}$ となり同様に不適。
$k=3$ のとき、$m=\dfrac{13}{7}$ となり同様に不適。
$k=2$ のとき、$m=\dfrac{1}{6}$ となり同様に不適。
$k=1$ のとき、$m=-\dfrac{11}{5}$ となり同様に不適。
$k=-1$ のとき、$m=\dfrac{13}{3}$ となり同様に不適。
$k=-2$ のとき、$m=\dfrac{13}{2}$ となり同様に不適。
$k=-3$ のとき、$m=21$ となる。このとき与式は$$(x+3)\left( x-\dfrac{27+\sqrt{761}}{4} \right)\left( x-\dfrac{27-\sqrt{761}}{4} \right)=0$$となり整数解を持つので適する。
$k=-6$ のとき、$m=-\dfrac{73}{2}$ となり$m$が整数でないので不適。
$k=-12$ のとき、$m=-36$ となる。このとき与式は$$(x+12)\left( x+3+\sqrt{\dfrac{19}{2}} \right)\left( x+3-\sqrt{\dfrac{19}{2}} \right)=0$$となり整数解を持つので適する。
以上より、求める整数$m$は$$m=\color{red}{21,\ -36}$$ となる。
(コメント)
特に変哲のない問題だったと思いますが、文字係数をもつ方程式が入試問題に出題されるケースは結構多いので、対策しておくに越したことはないでしょう。
[#37について]
複素関数 $f(z)=\sqrt[3]z$ は多価関数であり,
与えられた式は値が1つに定まらないのではないでしょうか.
もし,負の実数以外の $z$ について,$f(z)$ の偏角 $\theta$ を
$-\dfrac\pi3<\theta<\dfrac\pi3$ の範囲にとることにすれば,
確かに与式の値は $4$ になりますが,この定義も,
実関数としての $\sqrt[3]{-1}=-1$ とは不連続となり,少し苦しいと思います.
以下,仮の答案2つを例示します.
(答案1)
$\alpha^3=2+11i,\ \beta^3=2-11i$ として,
\[(\alpha+\beta)^3=\alpha^3+\beta^3+3\alpha\beta(\alpha+\beta).\]
ここで,$(\alpha\beta)^3=(2+11i)(2-11i)=125$ である.
$\alpha\beta=5$ のときを考える.($\ast1$)
$\alpha+\beta=t$ とすると,
\[t^3=(2+11i)+(2-11i)+3\cdot5t\]
すなわち
\[t^3-15t-4=0\]
となって,
\[(t-4)(t^2+4t+1)=0.\]
これより,
\[t=4,\ -2\pm\sqrt3.\quad (\ast2)\]
(答案2)
$(2+i)^3=2+11i$ だから,$\sqrt[3]{2+\sqrt{-121}}=2+i$ ($\ast3$)
と考えられる.
$\sqrt[3]{2-\sqrt{-121}}$ はこれと共役だから ($\ast4$)
$\sqrt[3]{2-\sqrt{-121}}=2-i$ となって,
\[(与式)=(2+i)+(2-i)=4.\]
(答案1)では ($\ast1$) で勝手にある場合に限定しましたが,
それでも ($\ast2$) のように,値は $4$ とは定まりません.
(答案2)では,($\ast3$) での値限定が妥当とは限らず,
($\ast4$) も怪しい決めつけに思えます.
[#36について]
ついでなので,一応コメントしておきます.
各 $k$ の値に対して $m$ は,
\[2k^3-mk^2-(4m+1)k-12=0\]
を満たすように定めたことになっています.
すると,$m$ の値が整数となったとき,
その $m$ をあらためて方程式に代入して解き直す必要はないですね.
(一方,解き直す方が安心感があるような気もします.)
たけちゃん さん
コメントありがとうございます。返信が遅くなりすみません。
ご指摘の通り、当該問題には完全なる不備がありましたので、申し訳程度ですが修正しておきました。なお、与式が取り得る値はすべて手計算で求められますので、答えとしている整数値には比較的辿り着きやすいかと思います(その他の8個の複素数値が有理整数でないことも確かめられます)。
元はと言えば、多価関数に対して取り得る値があたかも1つであるかのような表現をしていたことが問題で、「等しい」という表現はご指摘の通り、全くの誤りです・・・(修正後の表現も怪しいかもしれませんが、高校数学の範囲からの出題に拘ってはいないので、理解ある解答者には出題者の意図がそれなりに伝わるかと思います・・・)。
2通りの仮解答例を提示して頂きましたが、修正前の問題文に基づく限り、いずれにせよ解答不能ですね。注意が不足していました。ご指摘に感謝致します。
また、前問の#36についてですが、$m$が整数であれば十分なので、仰る通り、解答文中に方程式を改めて書くのは余計かもしれませんね。見た目が何となくあっさりしていたので書き添えてしまいました(^_^;)