創作整数問題#42解法&創作整数問題#43

最近は台風が来たかと思えば一転して猛暑、そしたらまたも台風、と穏やかでない日が続きますね・・・。今までの暑さで身を潜めていた蚊が一斉に活発化するとの観測もあり、平成最後の夏はなかなか手強いようです(笑)。


創作整数問題#43


《問題#43》

$A=2019^{2019}+1$ とするとき、$A^7+2$ と $A^2+2$ の最大公約数を求めよ。

(創作問題)


特にヒントは不要でしょうか。$A$が非常に大きな数なので少し気押されるかもしれませんが、整式におけるユークリッドの互除法で最大公約数の候補が絞り込めれば後は簡単ですね!

 

 

 

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答えは $\color{red}{66}$ です。

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創作整数問題#42(解き方)


自然数$k$、$n$を用いて $\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}$ と表せるような有理数は存在しないことを示せ。


有理数の判定は背理法で片付きます。お決まりのパターンですね。


《解答例》

$\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}$ が有理数であると仮定すると、互いに素な正の整数$p$、$q$を用いて$$\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}=\dfrac{p}{q}\tag{A}$$と表すことができます。この両辺を二乗して$$(n^k+1)+2\sqrt{\smash[b]{n^{2k}-1}}+(n^k-1)=\dfrac{p^2}{q^2}$$ $$\therefore \sqrt{\smash[b]{n^{2k}-1}}=\dfrac{p^2}{2 q^2}-n^k$$を得ますが、右辺は有理数なので左辺も有理数となることが必要です。よって矛盾を導くためには $n^{2k}-1$ が有理数の平方にならないことを示せばよいことになります。そこで以下の補題を示します。

(補題)
「正の整数$N$に対して、$\sqrt{\smash[b]{N}}$が有理数となるのは$N$が平方数のときに限る。」

《証明》

$\sqrt{\smash[b]{N}}$が有理数であるとき、互いに素な正の整数$a$、$b$を用いて$$\sqrt{\smash[b]{N}}=\dfrac{a}{b}$$と表せる。両辺を二乗して分母を払うと$$Nb^2=a^2$$となり、$a$は$b$の倍数となるが、$a$、$b$は互いに素なので $b=1$ がしたがい、$$N=a^2$$を得る。逆にこのとき$\sqrt{\smash[b]{N}}$は有理数となるので必要十分である。

この補題より、$\sqrt{\smash[b]{n^{2k}-1}}$ が有理数となるためには $n^{2k}-1$ が平方数となることが必要となります。ここで $n^{2k}$ は平方数であり、2つの異なる平方数の差が$1$となるものは$1$と$0$の組み合わせしかありませんので、有理数となるとしたら $n=1$ のときに限ります。そこで $n=1$ とすると$(\mathrm{A})$式より、$$\sqrt{\smash[b]{2}}=\dfrac{p}{q}\tag{Aa}$$となります。$2$は平方数ではないので、補題より$\sqrt{\smash[b]{2}}$は有理数ではない数、即ち無理数となります。したがって$(\mathrm{Aa})$式は不合理なので、$\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}$ は有理数ではない数、即ち無理数です。

以上より、題意を示すことができました。


他にも上記のような補題を必要としない比較的ストレートな証明も考えられます。

《別解》

$\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}$ が有理数であると仮定すると、互いに素な正の整数$p$、$q$を用いて$$\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}=\dfrac{p}{q}\tag{A}$$と表すことができます。ここで逆数をとると$$\dfrac{1}{\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}}=\dfrac{q}{p}$$ $$\therefore \dfrac{\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}-\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}}{(n^k+1)-(n^k-1)}=\dfrac{q}{p}$$ $$\therefore \sqrt{\smash[b]{n^k+1}}-\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}=\dfrac{2q}{p}\tag{B}$$を得ますので、$(\mathrm{A})$式、$(\mathrm{B})$式より、$$\begin{cases} \sqrt{\smash[b]{n^k+1}}=\dfrac{p^2+2q^2}{2pq} \\ \sqrt{\smash[b]{n^k-1}}=\dfrac{p^2-2q^2}{2pq} \end{cases}$$と表すことができます。それぞれ辺々を二乗すると$$\begin{cases} n^k+1=\dfrac{p^4+4p^2q^2+4q^4}{4p^2q^2} \\ n^k-1=\dfrac{p^4-4p^2q^2+4q^4}{4p^2q^2} \end{cases}$$となります。左辺は整数なので右辺も整数となる必要があります。故に $p^4 \pm 4p^2q^2+4q^4$ が$p$および$q$の倍数となることが必要ですが、$p$と$q$は互いに素なので、これは不可能です。

(例えば、分母は$4$の倍数なので$p$は偶数となる必要がありますが、今度は分母が$16$の倍数となるので$q$も偶数となる必要があり、$p$と$q$は互いに素なので不合理)

したがって $\sqrt{\smash[b]{n^k+1}}+\sqrt{\smash[b]{n^k-1}}$ は無理数であることが示されます。


(コメント)

他にも別解があると思いますが、いずれにせよ定石通りに背理法で片付けることができます。


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“創作整数問題#42解法&創作整数問題#43” への2件の返信

  1. お久しぶりです.

    #42は,$k$ の役割がほとんどないのが気になっていました.

    $k$ は自然数 ($1$ も許容される)なので,
    「$\sqrt{n^k+1}+\sqrt{n^k-1}$ と表せる有理数の有無」

    「$\sqrt{n+1}+\sqrt{n-1}$ と表せる有理数の有無」
    は同じであることがすぐにわかりますね.

    1. たけちゃん さん
      お久しぶりです。早速のコメントありがとうございます。

      仰る通り、$n$は任意の正の整数値をとれるので、実質的には $\sqrt{n+1}+\sqrt{n-1}$ の場合を証明するだけで事足ります。
      本問の$k$は単なる飾りと思って下さい(笑)。

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