平成最後の大晦日を迎えますが、毎年恒例の渋谷駅前のカウントダウンは一段と盛り上がりそうです。ハロウィンでの騒動の件もありましたので、今回はいつも以上に穏やかに行われて欲しいものですね・・・。
創作整数問題#49
《問題#49》
は以上の任意の整数に対して整数にならないことを示せ。
(創作問題)
創作問題としてはいますが、かなり有名な問題だと思います。
証明問題につき、解答は次回掲載します!
» 《おまけ問題》
《おまけ問題》
を正の整数とするとき、 は以上の任意の整数に対して整数にならないことを示せ。
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創作整数問題#48(解き方)
「下2桁」というのが意外に曲者だったのではないでしょうか。題意を数式で表現すると、を満たすような最小の自然数を求めよ、ということになります。進法の場合だと下2桁がとなるのはとなるときなので、をに変えれば進法の場合になります。
さて、あるについてをで割ったときの余りがになるには、まずを、即ちで割ったときの余りがとなる必要があります(必要条件による絞り込み)。
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(1) を考える
となるのはが偶数のときです。これは であることから分かります。次に を考えますが、が偶数のときのみを考えればよく、 より、がすぐに分かりますので、を満たすような自然数はの倍数であることが分かりました。
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(2) を考える
次に を考えますが、(1)の考察よりがの倍数のときのみを考えればよく、 であることはすぐ計算できます。ただ、このまま で始めても良いのですが、というのは法としてはやや大きい数なので上手く絞り込まなければ解の候補の数が膨れ上がってしまいます。
そこでまず で考えてみます。するとがすぐに分かりますので、自然数は少なくともの倍数でなければなりません。もう少し絞り込んでみましょう。
次に を考えますが、先ほどの計算から、はの倍数でなければならないので、少し計算して を得ます(このとき となってにならないことを確認しています)。
全く同様にして を得ます(このとき となってにならないことを確認しています)。
・・・そろそろ計算も面倒になって来るので、次の補題を示しておきましょう。
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《補題》
以上の整数に対してが成り立つ
(証明)
のとき、 となり成り立っている。
をある自然数とし、 のとき、関係式が成り立っていると仮定すると、をある整数としてと計算できる。これより のときも成り立つから、以上の任意の整数に対してが成り立つことが示された。
□
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この補題を利用することで、
、、
、
がそれぞれ簡単に得られます。
したがって、を満たすような自然数はの倍数であることが分かりました。
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以上(1)と(2)の考察より、方程式を満たすような自然数について、の倍数かつの倍数、即ちの倍数であることが必要十分なので、最小の自然数はと求めることができます。
(コメント)
進法ということで少し身構えてしまうかもしれませんが、要はmodの計算だけですね。
また、補題ということでわざわざという関係式を示しましたが、これは、
→ はの倍数
→ はの倍数
→ はの倍数
→ はの倍数
という仕組みになっているためです。もちろんという関係式も帰納法で簡単に証明できますし、補題なんぞ示さずにひたすら計算してゴリ押すこともできます。
また、冪の合同式について次の定理が知られています。
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《定理》
(証明)
より、のとき、1つ目の括弧内はで割り切れる。また、2つ目の括弧内には個の項が存在しており、であるから、となる。故に2つ目の括弧内もで割り切れるから、 はで割り切れる。
□
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これより、実は が分かった時点でが分かってしまいます(上記の定理で とした場合に相当します)。
ところがこの定理は必要性しか保証しないので、十分性、つまりを満たすが(の倍数)しか存在しない、ということまでは保証していません。
本問のケースでは偶然にも最小解が得られましたが、例えばを満たすを求める際には利用できません。実際、を満たす最小のはなので、倍するととなりますが、を満たす最小のは、その倍のであることが確かめられます。
なお、解答例で証明した補題は管理人が問題を解いているときに見つけたものなので、広く知られているものではないと思います・・・。良い別解もありそうな気がします。