センター試験が一段落し、いよいよ2次試験に向けてスパートが掛かる時期となりました。受験生の皆さん頑張って下さい!
創作整数問題#51
《問題#51》
$2^{n}-1$ と $2^{2019}-1$ が互いに素となるような$2019$未満の自然数$n$はいくつ存在するか。
(創作問題)
自然数$n$を用いて $2^{n}-1$ と表される整数は「メルセンヌ数」と呼ばれます。先月には51個目のメルセンヌ素数(=$2^{n}-1$ という形で表すことができる素数)が発見されるというニュースがありましたので、問題#51としてメルセンヌ数を取り上げてみました!(笑)
数十万桁を超えるような大きなメルセンヌ素数の探索ではGIMPS(Great Internet Mersenne Prime Search)と呼ばれるプロジェクトが大きく貢献してきました。この計画は世界中のコンピュータを並列してメルセンヌ素数の探索を行うというコンセプトで1996年に発足し、インターネットを介して大規模計算を並列処理するというものでは最も古いと言われています。
GIMPSはコンピュータを持つ人であれば誰でも参加することができます。現在のところ日本人は発見者のリストにいないようです。皆さんも遊ばせているパソコンがあれば参加してみてはいかがでしょうか?
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答えは $\color{red}{1344}$ 個です。
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創作整数問題#50(解き方)
方程式 $a^2 b=a^3+2b^2$ を満たす整数の組$(a,\,b)$をすべて求めよ。 |
整数問題には色々な種類が存在しますが、方程式タイプは多くの場合、
・ $x^2+y^2=z^2$(多項式型)
・ $3^x+4^y=5^z$(指数型)
・ $\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}=1$(分数型)
・ $\begin{cases} a+bc=2 \\ b+ca=2 \\ c+ab=2 \end{cases}$(連立方程式型)
などに大別できます。ただし分数型の方程式の分母を払ったり、連立方程式型を代入法で解こうとすれば結局は多項式型に帰着しますので、この分け方は厳密なものではありません。
この区分けの中で言うと本問は多項式型の問題と言えますが、多項式型の問題の中にも色々な種類があり、1次不定方程式や因数分解のできる2次式または2元1次式などの「軽め」の問題から、素数の絡んだ高次方程式や、(「整数である」という条件以外は)特に仮定の無い多元高次方程式などの「重たい」問題まで様々です。
本問は数学コンテストなどでよく出題される「特に仮定の無い2元高次方程式」に分類できます。初手で因数分解を考えた方がいるかもしれませんが、ここではあまり役に立たなさそうです。こういう時に重宝するのが
「文字の最大公約数を置く」
という方法です。シンプルではありますがなかなか強力な武器です。
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解答まず $(a,\,b)=(0,\,0)$ は求める解であり、整数$a$、$b$の一方を$0$とすると他方も$0$となるから、$a$、$b$はいずれも$0$でないとする。
整数$a$、$b$の最大公約数を$g$とし、$$\begin{cases}a=Ag \\ b=Bg\end{cases}$$(ただし$A$、$B$は互いに素な整数)と置き、方程式$$a^2 b=a^3+2b^2\tag*{・・・(★)}$$にそれぞれ代入して整理すると、$$A^2 Bg=A^3 g+2B^2$$ $$\therefore A^2(B-A)g=2B^2$$を得る。これより$A^2$は$2B^2$を割り切るが、整数$A$、$B$は互いに素であるから$A^2$は$2$を割り切る。したがって$$A^2=1 \ \ \ \therefore A=\pm1$$となる。よって$b$は$a$で割り切れるから、$0$でない整数$c$を用いて$$b=ac$$と置ける。これを$(★)$に代入すると、$$a^3 c=a^3+2a^2 c^2$$ $$\therefore a(c-1)=2c^2$$ $$\therefore a=\dfrac{2c^2}{c-1} \ \ (\because c \ne 1)$$ $$\therefore a=2c+2+\dfrac{2}{c-1}$$を得る。これより$a$が整数となるためには $c-1$ が$2$の約数となることが必要であるから、$$c=-1,\,2,\,3$$に限られる($c \ne 0$ に注意)。それぞれの場合について$(a,\,b)$を求めると、$$(a,\,b)=(-1,\,1),(8,\,16),(9,\,27)$$を得る。
これらは$(★)$を満たすから、自明な解である $(a,\,b)=(0,\,0)$ と合わせて求める解は$$\color{red}{(a,\,b)=(-1,\,1),(0,\,0),(8,\,16),(9,\,27)}$$となる。
(コメント)
本文のように定数項を含まない多項式タイプの問題は最大公約数を置く方法が特に有効です。「互いに素」な$A$、$B$による議論に持ち込むことで絞り込みが可能となるのです。カラクリさえ理解できればこうした問題はほとんどワンパターンで処理できるようになります。せっかくなのでおまけ問題を掲載しましょう。
《おまけ問題》
方程式 $a^2 b^2=a^4+3b^3$ を満たす整数の組$(a,\,b)$をすべて求めよ。
このおまけ問題でも最大公約数を設定する解法が有効です。最終的には最大公約数について「分母≦分子」の関係から2次不等式によって解の候補を絞り込むことができます。
» おまけ問題の答えはこちら
答えは $\color{red}{(a,\,b)=(0,\,0),(\pm8,\,16)}$ です。
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2007年に行われた第17回日本数学オリンピックの予選(第9問)において、等式$$a^2 b^2=4a^5+b^3$$を満たす整数の組をすべて求めさせる問題が出題されています。この数オリの問題は場合分けもあるので今回の問題#50よりも難しいと思いますが、ここでも最大公約数を設定する解法が威力を発揮します。腕試しに解いてみて下さい!
前回の#49は証明問題だったので[証明]という表題でよかったのですが,
今回は[証明]とあるのは変であり,[解答]とかであるべきですね.
内容については納得しました.
一応,私の解も提示します.
2b^2-(a^2)b+a^3=0より,
b=(a^2±√(a^4-8a^3))/4 …[*]
であり,a^4-8a^3は平方数,したがってa^2-8aは平方数である.
a^2-8a=n^2 (nは負でない整数)とおくと,
(a-4)^2-16=n^2から(a-4+n)(a-4-n)=16
となり,a-4±nの偶奇が一致すること,a-4+n≧a-4-nに注意して,
(a-4-n,a-4+n)=(8,2),(4,4),(-2,-8),(-4,-4)となる.
これからaを求めると,
a=9,8,-1,0.
それぞれ[*]からbを求め,整数であるものを選んで,
(a,b)=(9,27),(8,16),(-1,1),(0,0).
たけちゃん さん
コメントありがとうございます。
「証明」となっていた部分は直させて頂きました。
また、別解をお寄せ頂きありがとうございます。
本問の場合は$b$について2次方程式になっているので判別式部分から絞り込むのが有効(というより正攻法?)ですね。
この方法であればおまけ問題で$a^2$の2次方程式を考えれば同様に処理できますね!