段々と冷え込んできましたね。創作整数問題は久々の更新です。
創作整数問題#56
《問題#56》
$\dfrac{8x+4y+2}{x^2+6y^2+8}$が整数となるような整数の組$(x,y)$をすべて求めよ。
(創作問題)
ありがちな分数式の問題ですが、2変数なのが少し厄介かもしれません。解の候補をうまく絞り込みましょう。
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答えは $(x,\,y)=\color{red}{(-6,\,-1),(-2,\,-1),(4,\,-1)}$ です。
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創作整数問題#55(解き方)
$55p+1$ が立方数となるような素数$p$が存在しないことを示せ。 |
3次方程式を作った後は因数分解で解を絞り込みます。
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解答例
$55p+1$ は明らかに正なので、正の整数$k$を用いて$$55p+1=k^3$$と置ける。これは$$\begin{align} 55p &= k^3-1 \\ &= (k-1)(k^2+k+1) \end{align}$$と式変形できる。
以下、$55p=5 \cdot 11 \cdot p$ の約数で場合分けする。
a) $(k-1,\,k^2+k+1)=(1,55p)$ のとき、$k=2$ となるが、$7=55p$ を満たす素数$p$は存在しない。よって不適。
b) $(k-1,\,k^2+k+1)=(5,11p)$ のとき、$k=6$ となるが、$43=11p$ を満たす素数$p$は存在しない。よって不適。
c) $(k-1,\,k^2+k+1)=(11,5p)$ のとき、$k=12$ となるが、$157=5p$ を満たす素数$p$は存在しない。よって不適。
d) $(k-1,\,k^2+k+1)=(55,p)$ のとき、$k=56$ となるが、$3193=31 \cdot 103$ と合成数なので不適。
e) $(k-1,\,k^2+k+1)=(p,55)$ のとき、$k=p+1$ であり、$$\begin{align} k^2+k+1 &= (p+1)^2+(p+1)+1 \\ &= p^2 + 3 p + 3 \end{align}$$より、$$p^2 + 3 p + 3 = 55$$となるが、これを素数$p$について解くと $p = -\dfrac{3 \pm \sqrt{217}}{2}$ となり不適。
f) $(k-1,\,k^2+k+1)=(5p,11)$ のとき、$k-1<k^2+k+1$ を満たすには $p=2$ であることが必要だが、このとき$$55p+1=111$$となり、これは立方数でないため不適。
g) $(k-1,\,k^2+k+1)=(11p,5)$ および $(55p,1)$ のとき、$k-1<k^2+k+1$ を満たさず不適。
以上ですべての場合を尽くしているが、いずれのときも $55p+1$ は立方数とならない。したがって $55p+1$ が立方数となるような素数$p$は存在しないことが示された。
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(コメント)
解き方は至って単純なので、解説は特に不要だと思います。「立方数」とあるので、
「(与式)=(文字)$^3$」
と置いて処理するのが一般的です。あるいは合同式を使って上手い法をとれば解決できるかもしれませんが、今回のケースでは上手くいかないような気がします。
今回、$p$は素数でしたが、より一般化して「整数$p$」としても $p=0$ の場合を除き、$55p+1$ は立方数にならなさそうです。
(2019/11/08 上記網掛け部分について追記)
HN たけちゃん さんからコメントを頂きました。
「(コメント)」の部分に関して、「素数」の条件を緩めて「整数$p$」として考えた場合、合同式 $n^3 \equiv 1 \pmod{55}$を解くことにより、$$55p+1=(55k+1)^3$$という等式を満たす整数$k$が存在することが分かるので、$k$を整数として$$p = 3025 k^3 + 165 k^2 + 3 k$$とすれば $55p+1$ は常に立方数となります。整数$k$は無数にとれるので、$55p+1$ が立方数になるような整数$p$は無数に存在することが言えます。
「(コメント)」についてです.
「整数pに対して55p+1を立方数n^3にする」には,
n^3≡1 (mod 55)にすればよいことになります.
この合同式方程式の解は「n≡1 (mod 55)」だけです.
とは言っても,pは0に限るわけではなく,
例えばp=(56^3-1)/55=3193とすればよいですね.
たけちゃん さん
コメントありがとうございます。
よく考えたら「$n^3 \equiv 1 \pmod{55}$ を解け」と同じことを言っていることになりますね。これにより $55p+1$ が立方数となるような整数$p$が無数に存在することが示されます。迂闊でした…。
ご教示頂きありがとうございます。
43=55p → 43=11p
157=55p → 157=5p
3193=55p → 3193=31×103=p 合成数なので不適
ではないかと思います。
また、k^2+k+1 > k-1 ですし、p>=2 なのでfとgは評価不要では?
さるのこしかけ さん
初めまして。コメントありがとうございます。
誤植部分を修正させて頂きました。
ご指摘ありがとうございます。
f)と g)の場合分けについては、$p \ne 2$ であることを先に示しておけば割愛できると思います。仰る通り、もっとシンプルに書く方法はあると思いますが、この辺りの書き方は好みかなと思っています(^_^;)。