今年の夏はイマイチ盛り上がりに欠けますが、暑さだけは立派なものですね…。
創作整数問題#67
《問題#67》
$x+y$、$x+2y$、$2x+y$ がいずれも平方数となるような整数の組$(x,y)$をすべて求めよ。
(創作問題)
久々の求値問題です。無限降下法のちょうどよい練習台になりそうな問題です。
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答えは $(x,y)=\color{red}{(0,\,0)}$ です。
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創作整数問題#66(解き方)
$\sqrt[3]{1.6+0.64\sqrt{5}}+\sqrt[3]{1.6-0.64\sqrt{5}}$ が整数であることを示せ。 |
整数問題というよりは代数の問題でしたね。解法は色々と考えられるでしょうが、以下では対称式による解答例を示しておきます。
解答例
$\small \alpha=\sqrt[3]{1.6+0.64\sqrt{5}}$、$\small \beta=\sqrt[3]{1.6-0.64\sqrt{5}}$ と置くと、$$\small \begin{align}
\alpha^{3}+\beta^{3} &=(1.6+0.64\sqrt{5})+(1.6-0.64\sqrt{5}) \\
&=\dfrac{16}{5} \quad \cdots ①\\
\alpha^{3}-\beta^{3} &=(1.6+0.64\sqrt{5})-(1.6-0.64\sqrt{5}) \\
&=\dfrac{32\sqrt{5}}{25} \quad \cdots ②\\
\alpha \beta &=\sqrt[3]{(1.6)^{2}-(0.64\sqrt{5})^{2}} \\
&=\sqrt[3]{\dfrac{64}{125}} \\
&=\dfrac{4}{5} \quad \cdots ③
\end{align}$$となる。また、$$\small \left\{\begin{array}{l}
\alpha^{3}+\beta^{3}=(\alpha+\beta)^{3}-3 \alpha \beta(\alpha+\beta) \quad \cdots ④ \\
\alpha^{3}-\beta^{3}=(\alpha-\beta)^{3}+3 \alpha \beta(\alpha-\beta) \quad \cdots ⑤
\end{array}\right.$$と変形できるから、$t=\alpha+\beta$ と置けば、①と③より④は$$\small \dfrac{16}{5}=t^{3}-\dfrac{12}{5}t$$ $$\small \therefore 5 t^3-12 t-16 = 0$$ $$\small \therefore (t-2) (5 t^2 + 10 t + 8) = 0 \quad \cdots ⑥$$と書き換えられる。ここで$$\small \begin{align} & \quad \, 5 t^2 + 10 t + 8 \\ &=5 (t + 1)^2 + 3>0 \end{align}$$より、⑥の実数解は $t=2$ のみであるから、$\alpha+\beta=2$ である。よって、$$\small \sqrt[3]{1.6+0.64\sqrt{5}}+\sqrt[3]{1.6-0.64\sqrt{5}}=2$$となり、整数であることが示された。
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(コメント)
共役な形の多重根号の和や差が整数値などの簡単な値として表せることがあるというのは、しばしば入試問題の題材になります。二重根号については「二重根号を外す色々な方法」の記事で詳しく解説しているので併せてご覧下さい!