創作整数問題#89解法&創作整数問題#90

随分とご無沙汰しておりました。かなり久しぶりの更新です。

創作整数問題も90題目になりました。


創作整数問題#90


《問題#90》

十進法表記された1桁でない正の整数$n$に対して、$n$の各位の数の和、各位の数の積を、それぞれ$s$、$p$とする。例えば $n=334$ のとき、$$s=3+3+4=10$$ $$p=3 \times 3 \times 4=36$$である。このとき、$s+p=n$ を満たす正の整数$n$をすべて求めよ。

(創作問題)


久し振りに記数法に関する出題としてみました。

 

 

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$\color{red}{n=19,29,39,49,59,69,79,89,99}$ です。

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創作整数問題#89(解き方)


正の整数$m$、$n$により$\dfrac{m^3+n^3}{89}$と表せるような最小の素数を求めよ。

$m^3+n^3$ が因数分解できることを利用します。

解答例

求める最小の素数を$p$とし、$$\dfrac{m^3+n^3}{89}=p \quad \cdots (*)$$と置く。$(*)$式の対称性より $m \leqq n$ と仮定しても一般性を損なわないから、以下 $m \leqq n$ とする。

 

$(*)$式は$$(m+n)\left(m^2-m n+n^2\right)=89 \times p \quad \cdots ①$$と書き直せる。$m=n=1$ は$①$を明らかに満たさないから少なくとも $n \geqq 2$ であり、$m+n \geqq 2$ および $m^2-m n+n^2 \geqq 2$ となる。これと、$89$と$p$が素数であることから、$$\left\{\begin{array}{l}m+n=p \\ m^2-m n+n^2=89\end{array}\right.$$または$$\left\{\begin{array}{l}m+n=89 \\ m^2-m n+n^2=p\end{array}\right.$$の2通りの場合が考えられる。

 

ここで $m^2-m n+n^2=89$ と仮定する。この式は$$(m+n)^2=3(29+m n) + 2 \quad \cdots ②$$と書き直せるが、$②$の左辺は平方数、右辺は$3$で割った余りが$2$の整数である。しかし一般に平方数を$3$で割った余りは$0$か$1$に限られるため、$②$を満たすような整数$m$、$n$の組は存在しない。よって、$$\left\{\begin{array}{l}m+n=89 \quad \cdots ③ \\ m^2-m n+n^2=p \quad \cdots ④ \end{array}\right.$$の場合に限られる。

 

$③$より $n=89-m$ を$④$に代入して$$m^2-m(89-m)+(89-m)^2=p$$ $$\therefore 3 m^2-267 m+7921=p$$を得る。この左辺を$f(m)$と置いて$$f(m)=3\left(m-\dfrac{89}{2}\right)^2+\dfrac{7921}{4}$$とする。いま、$m \leqq n \ (=89-m)$ と仮定しているから $m \leqq \dfrac{89}{2}$ であり、$m \leqq 44$ の範囲で$f(m)$が素数となるような最大の正の整数$m$を求めればよい。$$\begin{aligned} f(44)&=1981=7 \cdot 283 \\ f(43)&=1987 \ (\leftarrow\text{素数}) \end{aligned}$$よって $(m,n)=(43,46)$ のとき$p$は素数となり、求める最小の素数は$$\color{red}{1987}$$である。

 


 

与式は3次式ですが、$m^3+n^3$ の因数分解に注目し、可能なパターンを考えれば2次方程式に落とし込むことができます。$m+n=89$ となることは$3$の平方剰余で示しましたが、ここは別解も考えられるでしょう。最後は$n$を消去して素数$p$を小さい方から1個ずつ調べていけば答えに到達します。

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