今年の千葉大の整数問題はいわゆる「西暦問題」でした。
《問題》
$n^{2018}+2$ が$6$の倍数となるような、$n \geqq 2017$ を満たす自然数$n$のうち、$3$番目に小さいものを求めよ。
(千葉大学2018年 第3問)
《考え方》
$n^{2018}+2$ が$6$の倍数となることと、$n^{2018}$を$6$で割った余りが$4$であることは必要十分の関係にあります。そこで、$6$を法としたときの剰余類で場合を分けて$n^{2018}$の余りを求めることにします。
$n$を $n=6N+r$(ただし、$N$は正の整数、$r$は$0$以上$5$の整数である)と表すと、$n^{2018}$を$6$で割ったときの余りは、$r^{2018}$を$6$で割ったときの余りに一致します。このことは二項展開から容易に示すことができます。
以下では、すべての合同式を$\bmod 6$ とします。
ア)$n \equiv 1$ のとき、$n^{2018} \equiv 1^{2018}=1$ となるので、このとき $n^{2018}+2$ は$6$の倍数になりません。
イ)$n \equiv 2$ のとき、$$2^{10} \equiv 4 = 2^2$$ であることを利用すると、$$\begin{align}n^{2018} &\equiv 2^{2018} \\ &=(2^{10})^{201} \cdot 2^{8} \\ &\equiv 2^{410} \\ &=(2^{10})^{41} \\ &\equiv 2^{82} \\ &=(2^{10})^{8} \cdot 2^{2} \\ &\equiv 2^{18} \\ &=2^{10} \cdot 2^{8} \\ &\equiv 2^{10} \\ &\equiv 2^{2} \\ &=4 \end{align}$$となるので、このとき $n^{2018}+2$ は$6$の倍数となります。
ウ)$n \equiv 3$ のとき、$3^2 \equiv 3$ より、$$n^{2018} \equiv 3^{2018}=3$$となるので、このとき $n^{2018}+2$ は$6$の倍数になりません。
エ)$n \equiv 4$ のとき、イ)より $2^{2018} \equiv 4$ なので、$$\begin{align} n^{2018} &=4^{2018} \\ &=(2^{2018})^{2} \\ &\equiv 4^{2} \\ &\equiv 4 \end{align}$$となるので、このとき $n^{2018}+2$ は$6$の倍数となります。
オ)$n \equiv 5$ のとき、$5 \equiv -1$ より、$$n^{2018} \equiv (-1)^{2018}=1$$となるので、このとき $n^{2018}+2$ は$6$の倍数になりません。
カ)$n \equiv 0$ のとき、$$n^{2018} \equiv 0$$となるので、このとき $n^{2018}+2$ は$6$の倍数になりません。
以上、ア)~オ)より、題意を満たす$n$は $6N \pm 2$ 型の整数であることが分かります。よってこのような$n$で、$2017$以上のもののうち、$3$番目に小さいものは$$\color{red}{2024}$$と求められます。
(コメント)
見かけがやや取っつきにくい問題ですが、要求される作業は単純です。
また、$6$を法とせず、$2$、$3$を別々に法として考えると計算量をかなり削減できます。
《略別解》
$6 \mid n^{2018}+2$ $\iff$ $2 \mid n^{2018}+2$ かつ $3 \mid n^{2018}+2$
より、$n \equiv 0 \pmod{2}$ かつ $n \equiv 1 \pmod{3}$ が必要。故に題意を満たす$n$は $6N \pm 2$ 型の整数に限る。これより$$\color{red}{2024}$$と求められる。
別解のように$2$、$3$を別々に法とすれば、ものの数分で答案を書き上げられますね。なお、$2024^{2018}+2$ は$6672$桁の整数です。