千葉大学2019年前期数学大問3

しつこい花粉に悩まされる日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか・・・?

今回は千葉大の整数問題を取り上げます。


《問題》

正の約数の個数がちょうどm個であるような、1900以上の自然数の中で最小のものをdmとする。

(1)d5求めよ。

(2)d15を求めよ。

(千葉大学2019年 大問3)


《考え方》

本問はそれほど難しいわけではありませんが、約数の個数と素因数の個数や累乗の数の関係を把握しているとやや有利になる問題です。

ある整数Nが素因数p1p2piを用いてN=p1α1p2α2piαi(ただし各αの値はいずれも正の整数値)と表せるとき、この整数Nの約数の個数は(α1+1)(α2+1)(αi+1)と表せます。このことはほとんど自明なので断りなく利用して良いと思いますが、心配であれば一文で良いので断り書きをしておきましょう。この性質を知っていると本問のような約数の個数に関する問題に遭遇したとき、見通し良く解答できます。

また、(2)では素因数の選び方について場合分けが必要になります。

●   ●   ●

解答例

 

(1)

 

d5は約数の個数が5個なので素因数pを用いてd5=p4と表せる。このうちで1900以上の自然数となるのは p=7 のときで、d5=2401

 

 

 

(2)

 

d15は異なる素数pqを用いてd15=p14もしくはd15=p4q2と表せる。

 

のとき、p2 より、d15214=16384となる。

 

のとき、p=2 とすると、d15=16q2となる。16q21900以上の自然数となるのは q=11 のときで、1936である。

 

p=3 とすると、d15=81q2となる。81q21900以上の自然数となるのは q=5 のときで、2025である。

 

p5 とすると、d15625q2となり、q2 より、d152500となる。

 

以上より、求めるd15の値はd15=1936となる。

 


(コメント)

冒頭で説明した通り、素因数の冪と約数の個数は密接に関係しています。この関係から、「約数の個数が奇数ならば平方数である」という命題が真であることが分かります。実際、d5d15は平方数になっています。

(2)については、このことを活かした別解も考えられます。

別解

 

(2)

 

d15は異なる素数pqを用いてd15=p14もしくはd15=p4q2と表せる。

 

のとき、p2 より、d15214=16384となる。

 

のとき、p=2 とすると、d15=16q2となる。16q21900以上の自然数となるのは q=11 のときで、1936である。

(ここまでは同じ)

 

d15=p4q21936より小さい値をとるとして、その値と1936との差をa(ただし 0<a36)と置き、(p2q)2=1936a   ()とすると、882(p2q)2=a (88+p2q)(88p2q)=aと整理できる。aは正であるから88p2q>0であり、88+p2q>88である。これより(88+p2q)(88p2q)>36となるから等式()を満たすような素数pqの組は存在しない。

 

以上より、求めるd15の値はd15=1936となる。

 

この方法は例えば、「正の約数の個数がちょうどm個であるような、190000以上の自然数の中で最小のものをdmとする。」というような場合に使えそうです(この設定の下では d15=190096 となります)。

ただ、1900という下限の値は比較的小さいので、本解のように場合分けして素直に計算した方が速そうですね。



 

 

“千葉大学2019年前期数学大問3” への3件の返信

      1. Luna さん

        はじめまして。
        いつも当サイトをご覧頂きありがとうございます。

        ご指摘の部分以外についても再度確認しましたが、誤植等は特に見当たりませんでした。
        その他のページでも誤記・誤植と思われる部分があれば、些細なものでも構いませんので、お知らせ下さい。

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