対称軸をもつ立体の求積①(2002年千葉大学前期理系数学大問5)

回転対称軸が存在する立体図形の求積は、実質的には回転体の問題です。難関大を中心に時折出題されることがあるので対策は必須です。今回は千葉大学の過去問を取り上げます。出題年は20年ほど前とやや古いですが最近の入試でも十分通用する良問です。


 

座標空間内に2点A(1,0,0)B(1,0,0)がある。不等式APB135をみたす空間内の点Pの全体の集合に、2点ABをつけ加えてできる立体の体積を求めよ。

(2002年千葉大学前期理系 大問5)

 

 考え方

まず平面上の場合を考えてみましょう。点Pから線分ABを見込む角が一定であれば点Pはある円周上に存在します。また、点Pが動きうる領域は線分ABに関して線対称になります。これを立体的に考えるのが本問です。

回転体の積分の計算がやや難しいかもしれません。図形的に処理するのが一般的ですが、置換積分を用いて計算することもできます。求積計算自体は教科書レベルなので落とせません。


解答例

 

長さ2の線分ABに対して APB135 となる点Pの集合は、下図の斜線部分をABの周りに回転していられる回転体である。

 

 

円の半径は2であり、円の方程式は x2+y2=2 となる。これは y0 において y=2x2 と表されるから、求める体積 VV=2π01(2x21)2dx=2π01(3x222x2)dxとなる。

 

ここで012x2dx は下図の斜線部の面積に等しくなる。

 

 

これは中心角が45の扇形と夾辺が1の直角二等辺三角形に分割できるから、012x2dx=π(2)218+12=π4+12と求められる。したがって、V=2π{[3xx33]012(π4+12)}=103ππ2を得る。

 


 

本問のような回転対称性のある立体図形では、まず回転軸を含む断面を考察しましょう。なお、012x2dx は以下のように置換積分を用いて計算することもできます。 012x2dx=0π422sin2θ2cosθdθ=0π42cos2θdθ=0π4(1+cos2θ)dθ=[θ+12sin2θ]0π4=π4+12

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