対称軸をもつ立体の求積③(1991年一橋大学後期数学第4問)

立体図形の体積を求める問題で、問題文中では回転体とは明示されていなくても、実は回転体だったというものは時々出題されることがあります。今回は今から30年前の一橋大学後期で出題されたベクトル絡みの求積問題を取り上げます。


 

空間内に定点ABがあり、|AB|=4 である。3つの条件

(ⅰ) |AP|4
(ⅱ) 4APAB8
(ⅲ) APAB22|AP|

を同時に満たす点Pの存在する範囲の体積を求めよ。

ただし、|AB||AP|はベクトルの長さを表し、APAB はベクトルの内積を表す。

(1991年一橋大学後期 第4問)

 

 考え方

Pの存在する範囲は線分ABのまわりの回転体です。点Aを原点として回転軸をx軸に乗せれば、問題文の条件が考えやすくなります。ベクトルのまま立体図形の体積を求めることはできないので、3次元空間内に上手く点を取って考察しましょう。


解答例

 

Pの存在する範囲は線分ABを回転軸とする回転体である。そこで、点Aを原点、点B(4,0,0)として平面 z=0 上の y0 で点Pの存在する範囲を考える。点P(x,y,0)と置くと、条件(ⅰ)~(ⅲ)はそれぞれ{x2+y2444x84x22x2+y2すなわち{x2+y241x22xx2+y2となる。より x>0 だから2x2x2+y2 x2y2であり、y0 より、xyに一致する。より、平面 z=0 上の y0 の部分で点Pの存在する領域は以下の図の赤色斜線部となる。これをx軸のまわりに1回転してできる立体が点Pの存在する範囲である。

 

 

よって、求める立体の体積をVとすると、V=12π{(16x2)x2}dx=2π12(8x2)dx=2π[8x13x3]12=2π(873)=343πとなる。

 


 

P(x,y,z)と置いて3変数のまま考えることも可能です。その場合、点Pの存在範囲である立体を平面 x=t1t2)で切ったときの断面はt2y2+z216t2と表すことができます。これはyz平面内においてドーナツ状の領域を表すので、結局体積は2つの円の面積の差を積分してV=π12{(16t2)t2}dtと計算できます。これは解答例の積分と全く同じ式です。

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