山口大学2019年前期(教/農/経/国総/獣医)数学第2問

今年の山口大では不定方程式が出題されました。整数分野では基本的なレベルの問題なので確実に得点したい問題です。


《問題》

(1)不定方程式 $9x + 5y = 1$ の整数解をすべて求めなさい。

(2)2つの自然数$a$と$b$が互いに素であるとき、$3a+b$ と $5a+2b$ も互いに素であることを証明しなさい。

(山口大学2019年 前期(教/農/経/国総/獣医)第2問)


《考え方》

(1)も(2)も基本的な問題ではありますが、考え方をおさらいしておきましょう。

一次不定方程式$$ax+by=n$$を解く際は、まず解となるような組$(x,y)=(X,Y)$を見つけておきます。これより$$aX+bY=n$$という式を得るので、元の方程式との差をとり、$$a(x-X)+b(y-Y)=0$$を得ます。$a$と$b$が互いに素であれば $x-X$ は$b$の倍数、$y-Y$ は$a$の倍数となることが必要なので、ある整数$k$を用いて$$\begin{cases} x=X+kb \\ y=Y-ka \end{cases}$$という一般解を導くことができます。

また(2)のように複数の数式が互いに素、または公約数をもつことを示すときはそれぞれの差を調べていきます(ユークリッドの互除法を利用)。本問の場合は一次式なのでそれほど複雑ではないですね。

●   ●   ●

解答例

 

(1)

 

$(x,y)=(4,-7)$ は与式の解の一つであるから、$$9 \cdot 4 + 5 \cdot (-7) = 1$$が成り立つ。これと与式の差をとることで、$$9 \cdot (x-4) + 5 \cdot (y+7) = 0$$を得る。

 

いま、$9$と$5$は互いに素であるから、$x-4$ は$5$の倍数、$y+7$ は$9$の倍数となることが必要である。したがって、ある整数$k$を用いて$$\begin{cases} x-4=5k \\ y+7=-9k \end{cases}$$と表される。

 

以上より、求める整数解は$$\color{red}{\begin{cases} x=4+5k \\ y=-7-9k \end{cases}\ \ \ (k \in \mathbb{Z})}$$となる。

 

 

(2)

 

$3a+b$ と $5a+2b$ の最大公約数を$d$とし、ある整数$p$、$q$を用いて$$\begin{cases} 3a+b=dp & \cdots ① \\ 5a+2b=dq & \cdots ② \end{cases}$$と置く。$2 \times ①-②$ より、$$a=d(2p-q)$$となるため、$a$は$d$の倍数となる。よって$①$より、$$b=dp-3a\ (=d(-5p+3q))$$となるから、$b$も$d$の倍数となる。これより、$a$、$b$はともに$d$の倍数となる。

 

一方で仮定より、自然数$a$と$b$は互いに素であるから、$d$は$1$であることが必要である。したがって $3a+b$ と $5a+2b$ の最大公約数は$1$、即ち互いに素である。

 

よって題意は示された。

 


(コメント)

あっさり解いてしまいたい問題です。本問のような不定方程式に関する問題は整数分野で頻出なのでしっかり対策しておきましょう!


 

 

“山口大学2019年前期(教/農/経/国総/獣医)数学第2問” への2件の返信

  1. お久しぶりです.

    a(x-X)+b(y-Y)=0 (X,Yは整数,a,bは互いに素)
    の一般解は,x=X+kb,y=Y-ka (kは整数)ですね.

    山口大の問題(1)では,「x=4+5k,y=-7-9k (kは整数)」が結論だと思います.

    1. たけちゃん さん
      毎度ながら、ご指摘ありがとうございます。

      (1)は注意が散漫でした(^_^;)。
      コメントの通り、修正させて頂きました。

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