今日は東北大学2017年理系後期第5問を見ていきます。これは整数問題というより完全に組み合わせの数え上げの問題ですが・・・。
《問題》
$n$ を負でない整数とする。以下の問いに答えよ。
(1)$2x+2y+z=n$ を満たす負でない整数 $x、y、z$ の組の総数を、$n=4$ と $n=5$ のそれぞれの場合に求めよ。
(2)$2x+2y+z=n$ を満たす負でない整数 $x、y、z$ の組の総数を、$n$ を用いて表せ。
(3)$2x+2y+z \leqq n$ を満たす負でない整数 $x、y、z$ の組の総数を、$n$ を用いて表せ。
(東北大学2017 後期理系第5問)
《考え方》
係数が付くと場合分けが発生するというのは整数の特性です。$n$ の偶奇で分けるというのは式を見てちょっと考えれば分かりますが、親切に誘導を付けてくれています。$n$ が奇数なら $z$ も奇数、$n$ が偶数なら $z$ も偶数です。「負でない」とあるので、$0$も含まれることに注意しましょう。
以下、整数 $n$ に対して$$2x+2y+z=n \tag{1.1}$$を満たす負でない整数 $x、y、z$ の組の総数を$f(n)$と置いて(1)を解いてみます。
$n=4$ のとき、与式は$$2x+2y=4-z$$となるので、$4-z \geqq 0$ より、$z$は$4$以下の偶数となります。$z=0$ のとき$$x+y=2$$ですから $(x,y)=(0,2)$、$(1,1)$、$(2,0)$ となり、$z=2$ のとき$$x+y=1$$ですから $(x,y)=(0,1)$、$(1,0)$ となり、$z=4$ のとき$$x+y=0$$ですから $(x,y)=(0,0)$ となります。よって $f(4)=\color{red}{6}$ です。
$n=5$ のとき、与式は$$2x+2y=5-z$$となるので、$5-z \geqq 0$ より、$z$は$5$以下の奇数となります。$z=1$ のとき$$x+y=2$$ですから $(x,y)=(0,2)$、$(1,1)$、$(2,0)$ となり、$z=3$ のとき$$x+y=1$$ですから $(x,y)=(0,1)$、$(1,0)$ となり、$z=5$ のとき$$x+y=0$$ですから $(x,y)=(0,0)$ となります。よって $f(5)=\color{red}{6}$ です。
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さて(2)ですが、$(1.1)$式を満たす組の個数$f(n)$を一般的に求めれば良いようです。$n=2m+1$ と $n=2m$ のときで場合分けしていきます。
$n$が奇数のとき、負でない整数$m$を用いて $n=2m+1$ と表すことができ、このとき $z=2k+1$ でなければなりません。ここで$k$は $0 \leqq k \leqq m$ を満たす整数です。 よって与式は$$x+y=m-k$$となります。これを満たす$(x,y)$の組は $m-k+1$ 通り考えられるので、このとき求める組の個数$f(n)$は$$\begin{align} f(n) &=\displaystyle \sum^m_{k=0} m-k+1 \\ &=m(m+1)-\dfrac{1}{2}m(m+1)+(m+1) \\ &=\dfrac{1}{2}(m+1)(m+2) \\ &=\dfrac{1}{8}(n+1)(n+3) \end{align}$$となります。
同様に$n$が偶数のとき、負でない整数$m$を用いて $n=2m$ と表すことができ、このとき $z=2k$ となります。ここで$k$は $0 \leqq k \leqq m$ を満たす整数です。 よって与式は$$x+y=m-k$$となり、先程と全く同様にして$$\begin{align} f(n) &=\displaystyle \sum^m_{k=0} m-k+1 \\ &=m(m+1)-\dfrac{1}{2}m(m+1)+(m+1) \\ &=\dfrac{1}{2}(m+1)(m+2) \\ &=\dfrac{1}{8}(n+2)(n+4) \end{align}$$となります。
したがって、$n$が奇数のとき $\dfrac{1}{8}(n+1)(n+3)$、$n$が偶数のとき $\dfrac{1}{8}(n+2)(n+4)$ となります。
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(3)はオマケと言いたいところですが・・・。この問題のように偶奇で場合が異なるときは $f(0)+f(1)$、$f(2)+f(3)$、$f(4)+f(5)$、$\cdots$、というように隣り合う偶数と奇数をペアにすると良いです。$$\begin{align}& \ \ \ \ \ f(2j)+f(2j+1) \\ &=\dfrac{1}{2}(j+1)(j+2)+\dfrac{1}{2}(j+1)(j+2) \\ &=(j+1)(j+2) \end{align}$$ですから、$n=2m+1$ のとき、求める組の総数は$$\begin{align}& \ \ \ \ \ \displaystyle \sum^{m}_{j=0} f(2j)+f(2j+1) \\ &=\dfrac{1}{3}(m+1)(m+2)(m+3) \\ &=\dfrac{1}{24}(n+1)(n+3)(n+5) \tag{1.2} \end{align}$$となります。
$n=2m$ のときは奇数の場合から$f(2m+1)$を引けばいいのですが、今の$n$は偶数なので$(1.2)$式は$$\begin{align}& \ \ \ \ \ \dfrac{1}{24}((n+1)+1)((n+1)+3)((n+1)+5) \\ &=\dfrac{1}{24}(n+2)(n+4)(n+6) \end{align}$$であり、$$\begin{align} & \ \ \ \ \ f(2m+1) \\ &=f(n+1) \\ &=\dfrac{1}{8}((n+1)+1)((n+1)+3) \\ &=\dfrac{1}{8}(n+2)(n+4) \end{align}$$となることに注意します。これより$n=2m$ のとき、$$\begin{align}& \ \ \ \ \ \dfrac{1}{24}(n+2)(n+4)(n+6)-\dfrac{1}{8}(n+2)(n+4) \\ &=\dfrac{1}{24}(n+2)(n+3)(n+4)\end{align}$$と求められます。
したがって、$n$が奇数のとき $\dfrac{1}{24}(n+1)(n+3)(n+5)$、$n$が偶数のとき $\dfrac{1}{24}(n+2)(n+3)(n+4)$ となります。
(コメント)
(3)では偶数と奇数をペアにするのではなく、別々に和を取った方が簡単かもしれません。つまり、
$n$が偶数:
$\begin{align}& \ \ \ \ \ \sum^{\frac{n}{2}}_{j=0} f(2j)+\sum^{\frac{n}{2}-1}_{j=0} f(2j+1) \\ &=\dfrac{1}{24}(n+2)(n+3)(n+4) \end{align}$
$n$が奇数:
$\begin{align}& \ \ \ \ \ \sum^{\frac{n-1}{2}}_{j=0} f(2j)+\sum^{\frac{n-1}{2}}_{j=0} f(2j+1) \\ &=\dfrac{1}{24}(n+1)(n+3)(n+5) \end{align}$
とした方がかえってスッキリするかもしれませんね。