矩形数(Pronic number)について

矩形数(Pronic number)に関する雑談です。

今日の日付は11/22ですが、$1122$ は $$1122= 33 \times 34$$と連続する2つの整数の積に分解できます。このような連続する2つの整数の積として表せる数は「矩形数」(くけいすう) と呼ばれます。


矩形数(Pronic number)とは、連続する2つの整数の積 $n(n + 1)$ の形で表現できる数を指します。「長方形数」や「heteromecic数」などと呼ばれることもあるようです。矩形数が$n$番目の「三角数」の$2$倍に等しくなることは一般項の式から明らかです。

矩形数はオンライン整数列辞典「OEIS」にA002378として登録されています。

2, 6, 12, 20, 30, 42, 56, 72, 90, 110, 132, 156,

数列を眺めていると、1の位は$0$、$2$、$6$のいずれかに限られていることが分かります。矩形数の1の位に$4$と$8$が現れないことは次のように示されます。

矩形数は定義の通り、連続する2つの整数の積なので必ず偶数であり、したがって1の位の数は偶数に限られます。ここで$5$を法とする剰余類を考えると、$$\begin{array}{c||ccccc}
n & 0 & 1 & 2 & 3 & 4 \\
\hline n(n+1) & 0 & 2 & 1 & 2 & 0
\end{array}$$となるので、$n(n+1)$ を$5$で割った余りは$0$、$1$、$2$のいずれかに限られます。矩形数の1の位の数は偶数なので、結局1の位には$0$、$2$、$6$しか現れないことが示されます。


また、矩形数はある数$n$多重根号で表したときに出現するという性質を持っています。例えば、$n=6$ とすると、$$6={\sqrt {30+{\sqrt {30+{\sqrt {30+{\sqrt {30+\cdots }}}}}}}}$$および$$6={\sqrt {42-{\sqrt {42-{\sqrt {42-{\sqrt {42-\cdots }}}}}}}}$$と2通りの方法で表現できますが、ここに現れる$30$と$42$はいずれも矩形数です。

これは $n=\sqrt {x\pm n}$ と入れ子にして表現したときに、$x$が$$x=n^2 \mp n=n(n \mp 1)$$で与えられることが理由です。


日付になる矩形数は13個存在します(スラッシュを除くと矩形数になる日付)。

1/2
4/2
5/6
7/2
1/10
2/10
3/06
4/20
5/06
7/02
8/12
9/30
11/22

因みに西暦年号も含めると2020年代では以下の3つしか存在しません。

2020/05/30
2023/5/06
2029/05/20


「連続する2つの整数の積」に「矩形数」という名前が付いていることはあまり知られていないように思います。そもそも「矩形」が「長方形」を指していることを知らない人も多そうですが…。

このような図形に因んだ名称を持つ整数のことを「図形数」と呼びます。いわゆるグノモンなど、その周辺に関連する数です。実は中学入試や高校入試の数学にも「数と規則性」の分野から図形数が登場していたりします。

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