ここ十年くらいの筑波大学では整数分野からの出題はほぼありません。整数が少し絡むとしても数列との融合問題であることがほとんどで、今年の問題もそのパターンですが、解けない漸化式を出題してくる様子を見ると、今年以降、整数分野からの出題が増えるかもしれません。
《問題》
数列$\{a_n\}$が$a_1=1$、$a_2=3$、$$\begin{align} a_{n+2}=3a_{n+1}^2-6a_{n+1}a_{n}&+3a_{n}^2+a_{n+1} \\&(n=1,2,\cdots) \end{align}$$を満たすとする。また、$b_n=a_{n+1}-a_{n} \ (n=1,2,\cdots)$と置く。以下の問いに答えよ。
(1)$b_n \geqq 0 \ (n=1,2,\cdots)$を示せ。
(2)$b_n \ (n=1,2,\cdots)$の一の位が$2$であることを数学的帰納法を用いて証明せよ。
(3)$a_{2017}$の一の位の数を求めよ。
(筑波大学2017 前期第3問)
《考え方》
(2)は帰納法の指定がありますが、(1)も帰納法で良いでしょう。
与式は$$a_{n+2}-a_{n+1}=3(a_{n+1}-a_{n})^2$$と変形できますから、$$b_{n+1}=3b_{n}^2$$が成立します。$b_1=2$ですから、帰納的にすべての自然数$n$について$b_n \geqq 0$が言えます。
さて、以下では $\text{mod} \ 10$ で考えます。$b_1=2$なので$n=1$のときはOKです。$b_{n}$の一の位が$2$であると仮定すると、$$b_{n} \equiv 2 \pmod{10}$$と書けます。したがって$$\begin{align} b_{n+1} &=3b_{n}^2 \\ &\equiv 3 \cdot 2^2 \pmod{10} \\ &=12 \\ &\equiv 2 \pmod{10} \end{align}$$となるので、数学的帰納法によりすべての自然数$n$について$b_n$の一の位が$2$であることが示されます。
(3)はオマケです。$b_n$の一の位が$2$ということは$a_n$の一の位が$2$ずつ増えていくということです。つまり、$a_{2017}$の一の位は$a_1$の一の位に$2$を$2016$回加えた数字になります。$2$を$2016$回加えるということは$403\underline{2}$を足すのと同じことなので、一の位は$2$を足されたものになります。故に$a_{2017}$の一の位は$3$ということになります。
(コメント)
この問題は今年の筑波大で一番易しい問題でした。(※個人の感想です)