今年の茨城大では単位分数の方程式に関する整数問題が出題されました。
《問題》
以下の各問に答えよ。
(1)$xy−x−11y+11$ を因数分解せよ。
(2)$x$、$y$ を$0$でない整数とする。$\dfrac{11}{x}+\dfrac{1}{y}=1$ を満たす $x、y$ の組をすべて求めよ。
(3)$x、z、w$ を$0$でない整数とする。$2z−3w=1$ と $\dfrac{11}{x}−\dfrac{1}{2z}+\dfrac{1}{3w}=1$ を同時に満たす $x、z、w$ の組をすべて求めよ。
(茨城大学2017 前期工学部第3問)
《考え方》
(1)は問題無いでしょう。$$xy−x−11y+11=\color{red}{(x-11)(y-1)}$$と因数分解できます。
(2)は両辺に $xy$ を乗じて(1)の因数分解が使える形に持っていきます。$$\begin{align} \dfrac{11}{x}+\dfrac{1}{y}&=1 \\ x+11y&=xy \\ xy-x-11y&=0 \\ xy-x-11y+11&=11 \\ (x-11)(y-1)&=11 \end{align}$$これより、$(x-11,y-1)$の組として$(1,11)$、$(11,1)$、$(-1,-11)$、$(-11,-1)$を得ますが、$x$、$y$ は$0$ではないので$$(1,11)、(11,1)、(-1,-11)$$に限られます。よって$$(x,y)=\color{red}{(12,12)、(22,2)、(10,-10)}$$が求める組です。
(3)は文字が増えていますが分数の方程式に加えて、$z$、$w$ に関する条件式が1本存在するので実質的に2文字の方程式となります。まずは式変形してみましょう。$$\begin{align} \dfrac{11}{x}−\dfrac{1}{2z}+\dfrac{1}{3w}&=1 \\ \dfrac{11}{x}−\dfrac{1}{3w+1}+\dfrac{1}{3w}&=1 \\ \dfrac{11}{x}+\dfrac{1}{3w(3w+1)}&=1 \end{align}$$これより、$3w(3w+1)=y$ と置けば(2)の結果を利用できることが分かります。(2)の解となる $y$ のうち $w$ を用いてこのように表せるものは$12$に限るので$$w=1$$となり、$$(x,z,w)=\color{red}{(12,2,1)}$$が得られ、確かにこの組は与方程式を満たします。
(コメント)
難関大を目指す受験生であれば(3)が単体で出題されても解ける力を身に付けておきたいですね。