こんにちは。すっかり春らしくなってきましたね。各地で合格発表が行われ、受験生の皆様におかれては悲喜交々という感じでしょうが、この後にもまだ後期試験が控えていますので、受験生には最後の最後まで諦めずに頑張って欲しいと思います。
知り合いで、後期試験の合格発表から漏れたのに追加合格で受かったという人を何人か知っています。何が起こるか分からないのが入試です。諦めは肝心という言葉もある一方で、人生の中には粘り強さの見せ所もあるのです。そんな中で私は後期試験の問題を楽しみにしています・・・。
さて、本日は関西大学の整数問題を見てみます。理系の第2問でやや大きめの論証問題が出題されていたのが目に付きましたが、文系は例年通りといったところです。
《問題》
次の問いに答えよ。
(1)$17x+23y=1$を満たす整数の組$(x,y)$を1つ求めよ。
(2)$17x+23y=800$を満たす整数の組$(x,y)$で、$x$と$y$がともに正であるものをすべて求めよ。
(関西大学2017 前期文系第3問)
《考え方》
1次不定方程式の典型題です。互除法によって整理していきます。$$17x+23y=1 \tag{1}$$ $$\therefore 17(x+y)+6y=1$$と変形でき、$x+y=s \ (s \in \mathbb{Z})$と置くと$17s+6y=1$と書くことができて、$$\therefore 5s+6(2s+y)=1$$となります。さらに $2s+y=t \ (t \in \mathbb{Z})$と置くと $5s+6t=1$ と書くことができます。ここで$(s,t)=(-1,1)$はこの方程式の解の一つであり、これに対応する整数の組$(x,y)$は$(-4,3)$です。これは確かに等式$(1)$を満たすので、求める整数の組は$$(x,y)=(-4,3)$$です。
ここまでは問題ありませんね。(2)ですが(1)の利用を考えて右辺が$1$になるように何とか変形します。そこで取り敢えず$800$を$17$と$23$で割ってみて、$$800=17 \cdot 47 +1、800=23 \cdot 34 +18$$であることに着目します。前者の方が使いやすそうなので$800=17 \cdot 47 +1$として変形します。$$17x+23y=800$$ $$\therefore 17(x-47)+23y=1$$と変形でき、$x-47=u \ (u \in \mathbb{Z})$と置くと$$17u+23y=1 \tag{2}$$と書くことができるので等式$(1)$と全く同じ形になりました!
「正の整数」という制約がありますが、まずは一般の整数について解きましょう。(1)より、$(u,y)=(-4,3)$は等式$(2)$の解の一つであり$$17 \cdot (-4)+23 \cdot 3 =1 \tag{3}$$が成立します。$(2)-(3)$より、$$17(u+4)+23(y-3)=0 \tag{4}$$を得ます。$17$と$23$は互いに素であり$u+4$、$y-3$は(今のところ)任意の整数値をとりますので、ある整数$m$、$n$を用いて$$u+4=23m、y-3=17n$$と表せます。よって$(4)$より$17 \cdot 23 m=-23 \cdot 17 n$となりますから、$n=-m$です。よって$$\begin{cases} u=23m-4 \\ y=-17m+3 \end{cases} \ (m \in \mathbb{Z})$$が求めるすべての整数解となります。ここから$x$と$y$がともに正であるものを絞り込んでいきます。
これより$$\begin{cases} x=23m+43 \\ y=-17m+3 \end{cases} \ (m \in \mathbb{Z})$$となりますから、$x$と$y$がともに正であるためには
$23m+43>0$ かつ $-17m+3>0$
が必要となります。この連立不等式を解くと $-\dfrac{43}{23}<m<\dfrac{3}{17}$ となるので $m=-1、0$ に限られます。これを代入して$$(x,y)=(20,20)、(43,3)$$の2組を得ます。
(コメント)
今年の首都大でも1次不定方程式が出題されました。来年以降も様々な大学で出題される可能性があるので対策は怠れません。