今回は青山学院大学の整数問題をピックアップします!
《問題》
素数$p$、$q$および自然数$n$に対し、$$\frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{p q}=\frac{1}{n}$$が成り立つような$(p,\,q,\,n)$の組をすべて求めよ。
(青山学院大学2019年(法,国際政経) 第2問)
分数と素数の絡んだ基本的な整数問題です。「素数」というポイントに注目して解答していきましょう。
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解答例
与式を整理すると$$n(p+q+1)=pq$$となる。右辺の約数は$1$、$p$、$q$、$pq$のみであるから$n$は$1$、$p$、$q$、$pq$のいずれかに絞られる。
ⅰ)$n=1$ のとき与式は$$p+q+1=pq$$となるので、これは$$(p-1)(q-1)=2$$と積の形に変形できる。これより、$$(p-1,q-1)=(1,2),(2,1)$$ $$\therefore (p,q)=(2,3),(3,2)$$を得る。よって$$(p,q,n)=(2,3,1),(3,2,1)$$は求める解である。
ⅱ)$n=p$ のとき与式は$$p+q+1=q$$となるので、$p=-1$ を得るがこれは不適。
ⅲ)$n=q$ のときもⅱ)と同様に不適である。
ⅳ)$n=pq$ のとき与式は$$p+q=0$$となるが、これを満たすような素数$p$、$q$は存在しない。故に不適である。
以上ⅰ)~ⅳ)より、$(p,\,q,\,n)$の組は$$(p,q,n)=\color{red}{(2,3,1),(3,2,1)}$$である。
(コメント)
与式は分数による表示になっていますが整理して多項式の形に直すのが良いでしょう。式変形により、よくある1次式型の整数問題になることが分かるので、積の形に因数分解して解決します。分母を払ってから議論する方法は、分数の和を含む不定方程式を解くときの定石ですね。