今年の一橋大の整数問題を取り上げます。2020という数字が目に付く年号問題でした。
《問題》
以下の問いに答えよ.
(1)$10^{10}$を$2020$で割った余りを求めよ.
(2)$100$桁の正の整数で各位の数の和が$2$となるもののうち,$2020$で割り切れるものの個数を求めよ.
(2020年一橋大学 前期第1問)
《考え方》
(1)は何も考えなくても解けます。(2)が頭の使いどころです。「各位の数の和が$2$」という条件から、最高位の数字が$2$もしくは$1$のときで場合分けが発生します。次に「$2020$で割り切れる」という条件を考えることになりますが、ここで(1)が効いてきます。
解答例
以下では特に断らない限り、合同式の法を$2020$とする。
(1)
$$10^{1} \equiv 10$$ $$10^{2} \equiv \color{red}{\underline{100}}$$ $$10^{3} \equiv 1000$$ $$10^{4}=10000 \equiv -100$$ $$10^{5}=10 \cdot 10^{4} \equiv 19200 \equiv -1000$$ $$10^{6} =10^2 \cdot 10^{4} \equiv -10000 \equiv \color{red}{\underline{100}}$$となるから、2以上の整数$n$について$10^n$を$2020$で割った余りは周期4で繰り返す。
よって$10^{10}$を$2020$で割った余りは$$\color{red}{100} \quad \cdots (\text{答}) $$である。
(1)別解
$$\small \begin{align}
10^{4}&=10000 \\ &=2020 \cdot 5-100 \\ &\equiv-100
\end{align}$$より、$$\small \begin{align}
10^{10}&=10^{2}\left(10^{4}\right)^{2} \\ &\equiv 10^{2} \cdot(-100)^{2} \\ &=10^{2} \cdot 10^4 \\ &\equiv 100 \cdot(-100) \\ &=-10^4 \\ &\equiv 100 \end{align}$$となる。よって$10^{10}$を$2020$で割った余りは$$\color{red}{100} \quad \cdots (\text{答}) $$である。
(2)
求める$100$桁の正の整数を$N$とすると、
(ア)$N=2 \cdot 10^{99}$ のとき
(イ)$N=1 \cdot 10^{99}+1 \cdot 10^{k}$ のとき($k$は $0 \leqq k \leqq 98$ を満たす整数)
の2通りの場合が考えられる。
(ア)のとき、$$\small \begin{align}
10^{99} &=(10^{10})^{9} \cdot 10^{9} \\ &\equiv 100^{9} \cdot 10^{9} \\ &\equiv 10^{27} \\ &\equiv (10^{10})^{2} \cdot 10^{7} \\ &\equiv 100^{2} \cdot 10^{7} \\ &\equiv 10^{11} \\ &\equiv 100 \cdot 10 \\ &=1000
\end{align}$$より、$N$を$2020$で割った余りは$2000$となるから、$N$は$2020$で割り切れない。
(イ)のとき、$$N = 1 \cdot 10^{99} + 1 \cdot 10^{k} \equiv 1000+10^{k}$$より、$N$が$2020$で割り切れるのは$$10^{k} \equiv -1000 \quad \cdots (*)$$の場合に限る。ここで(1)より、2以上の整数$n$について$10^n$を$2020$で割った余りは周期4で繰り返すから、$(*)$となるような整数$k$は$$k=5,9,\cdots,97$$の$24$個存在する。よって対応する整数$N$も$24$個存在する。
以上より、求める整数の個数は$$\color{red}{24} \quad \cdots (\text{答}) $$である。
(コメント)
そこまで複雑な問題ではありませんでした。数え上げの際にミスが無いようにしましょう。
法が大きな合同式を考える際は負の剰余まで考えるとスッキリすることがあります。$-100 \equiv 1920$、$-1000 \equiv 1020$ となっており、式の本質的な意味は変わりません。