今回は27の倍数判定法と81の倍数判定法について取り上げます。
$27$の倍数判定法
2種類の方法を紹介します。
$27$の倍数判定法①
下$1$桁の数の$8$倍を残りの数から引いた値が$27$の倍数なら元の数は$27$で割り切れる。
これを繰り返していけば桁が小さくなるので倍数判定が容易になります。例えば $19297035$ が$27$で割り切れることを示すには、以下のようにします。
$1929703-40=1929663$
↓
$192966-24=192942$
↓
$19294-16=19278$
↓
$1927-64=1863$
↓
$186-24=162$
↓
$16-16=0$(←$27$の倍数)
1桁になるまでやる必要はありませんが、この方法を使えば巨大な数でも倍数判定が可能です。この仕組みは以下のように説明できます。
整数$a$、$b$が $a \geqq 1$、$0 \leqq b \leqq 9$ を満たすとして、割られる数を $N=10 \times a+b$ と置きます。この両辺に$8$を掛けると$$\begin{aligned} 8 \times N &=80 \times a+8 \times b \\ &=81 \times a-(a-8 \times b) \\ &=27 \times (3 \times a)-(a-8 \times b)\end{aligned}$$となるので、$a-8 \times b$ が$27$で割り切れるなら右辺は$27$の倍数となるので、$8$と$27$が互いに素であることから、$N$も$27$の倍数であることが従います。
よくある勘違いが$9$の倍数判定法の類推から「各位の数の和が$27$(の倍数)なら$27$の倍数」としてしまうものですが、例えば$73863$は各位の数の和が$27$ですが$27$では割り切れません。
また、次のような倍数判定法もあります。
$27$の倍数判定法②
一の位から順に$3$桁ずつに分けた数をすべて足し合わせた数が$27$の倍数なら元の数は$27$で割り切れる。
これは $1000=1+999=1+27 \times 37$ と分けられることから成立します。実用上はこちらの方法が便利ですね。
81の倍数判定法
$81$の倍数判定法も全く同じです。
$81$の倍数判定法①
下$1$桁の数の$8$倍を残りの数から引いた値が$81$の倍数なら元の数は$81$で割り切れる。
先ほどと全く同様に割られる数を $N=10 \times a+b$ と置いて両辺に$8$を掛けると$$\begin{aligned} 8 \times N &=80 \times a+8 \times b \\ &=81 \times a-(a-8 \times b) \end{aligned}$$となるので、$a-8 \times b$ が$81$で割り切れるなら右辺は$81$の倍数となるので、$8$と$81$が互いに素であることから、$N$も$81$の倍数であることが従います。
先ほどの結果から、$19297035$は$81$でも割り切れることが分かりますね。
こちらも「各位の数の和が$81$(の倍数)なら$81$の倍数」と考えてしまいがち(?)ですが必要十分ではありません。(反例:$9999899892$)
また、比較的桁の大きな数に対しては次のような倍数判定法も有効です。
$81$の倍数判定法②
一の位から順に$9$桁ずつに分けた数をすべて足し合わせた数が$81$の倍数なら元の数は$81$で割り切れる。
これは $10^9 \equiv 1 \pmod{81}$であることを利用した倍数判定法です。これを使えば$$\begin{aligned} & \quad \ 41367419495185388859 \\ &\equiv 41+367419495+185388859 \pmod{81} \\ &= 552808395 \\ &= 81 \times 6824795 \end{aligned}$$と計算できます。
$10^8 \equiv -8 \pmod{81}$であることを利用する次のような方法も考えられますが、やや計算が面倒です。
$81$の倍数判定法③
一の位から順に$8$桁ずつに分け、小さい方から $(-8)^{k}$($-1$、$8$、$-64$、$\cdots$)を掛けていく。これらをすべて足し合わせた数が$81$の倍数なら元の数は$81$で割り切れる。
掛け合わせる $(-8)^{k}$の符号は互い違いになっていればよいので、あまり神経質になる必要はありません。計算は倍数判定法②の方がラクだと思います。
使う機会に恵まれなさそうな倍数判定法ですが、$27$や$81$にも倍数判定法が存在するというのは面白い事実です。ただ、筆算で割り算するのとどちらが早いかと言われると微妙なところではありますが。
倍数判定法①について補足しておきます。割られる数 $N=10a+b$ に対して$N$を何倍かして得られる上2桁以上の数に$b$を何倍かした数を足したり引いたりすれば、2桁以下の整数を法とする$\bmod$の値が変わらないように1桁落とすことができます。この方法を使えば任意の「倍数判定法」が構成できますが、3桁以上の整数を法とする$\bmod$は計算できません。例えば$243$以上の$3$の冪の倍数判定法を得るには、$N$の上3桁の数も相手にしなければなりません。また、手計算の効率を求めるのであれば、$N$の上3桁以上の数を相手にする必要があるので、割る数が十進法と相性が良くないと簡単にはなりません。
1377 → 1+7+7 = 15 = 3× 5
1377 → 1+3+7+7 = 18 = 9× 2
1377 → 13+7+7 = 27 = 27× 1
1377 → 1+3+77 = 81 = 81× 1
よって、1377は1,3,9,27,81 の倍数。
3ⁿ の倍数判定法は、敵等に位を分けてその分割した位の数字の和が3ⁿ の倍数である。
ということです。