36の倍数になる条件(2021年札幌医科大学前期数学第1問(2))

今回は札幌医科大学の数学から、多項式に関する典型的な整数問題を扱います。


 

自然数nに対してN=(n+2)3n(n+1)(n+2)36の倍数になるようなnをすべて求めよ。

(2021年札幌医科大学 前期第1問(2))

 

 考え方

展開しても良いですが、上手く因数分解して積の形にするのが見通し良好です。N2の倍数、3の倍数になるようなnの条件を探っていきましょう。小問集合のうちの1題なので手際良く解きたいところ。


解答例

 

N=(n+2)3n(n+1)(n+2)=(n+2){(n+2)2n(n+1)}=(n+2){(n2+4n+4)(n2+n)}=(n+2)(3n+4)と整理できる。nが奇数のとき、n+23n+4 はともに奇数となるからN36の倍数になることはない。よってnは偶数であることが必要である。

 

そこで n=2kkは正の整数)と置くと、N=4(k+1)(3k+2)と表せる。これは4の倍数であるから(k+1)(3k+2)9の倍数になるようなkの条件を調べればよい。

 

kが整数のとき 3k+23で割った余りが2であるような整数となるから3の倍数にならない。よって k+19の倍数になるときN36の倍数になるから、k=9l1l は正の整数)と置いてn=18l2を得る。この形の式で表されるすべての正の整数nが求めるような自然数である。

 

与式の形をそのまま利用する解法も考えられます。

別解

 

n(n+1)(n+2)は隣接する3つの整数の積であるから、任意のnに対して6の倍数である。よってN6の倍数となるためには、(n+2)3もまた6の倍数であることが必要となる。これを満たすような自然数nは正の整数kを用いてn=6k2と表せる。これをNの式に代入して整理すると、N=12k(9k1)となる。N36の倍数となるためにはk(9k1)3の倍数となる必要があるが、9k13の倍数にならない。よってk3の倍数となることが必要である。そこで正の整数 l を用いてk=3lと置くと、n=18l2を得る。この形の式で表されるすべての正の整数nが求めるような自然数である。

 


 

N36の倍数となるためには、少なくとも2の倍数(偶数)であることが必要、少なくとも3の倍数であることが必要…というように考えていけば自ずとnの条件が絞り込まれていきます。上手い式変形を思いつく必要は必ずしもありません。

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