今回は今年の京大理系の整数問題です。素数絡みの定番問題です。
$n$を$2$以上の整数とする。$3^n-2^n$ が素数ならば$n$も素数であることを示せ。
(2021年京都大学 前期理系大問6問1)
考え方
対偶が真であることを証明して示します。素数でない整数(合成数)は$2$以上の整数の積で表されます。この置き換えにより $3^n-2^n$ の因数分解を試みます。
解答例
対偶を示す。即ち、$n$が合成数ならば $3^n-2^n$ は合成数であることを示す。そこで、$a$、$b$を$2$以上の整数として $n=ab$ と置く。
このとき$$\small \begin{aligned} 3^{ab}-2^{ab} &=\left(3^{a}\right)^{b}-\left(2^{a}\right)^{b} \\ &=\left(3^{a}-2^{a}\right)\left\{\left(3^{a}\right)^{b-1}+\left(3^{a}\right)^{b-2} 2^a+\cdots+\left(2^{a}\right)^{b-1}\right\} \end{aligned}$$と因数分解できるが、$a$、$b$は$2$以上の整数なので、$$\small 3^{a}-2^{a}>1$$ かつ $$\small \left(3^{a}\right)^{b-1}+\left(3^{a}\right)^{b-2} 2^a+\cdots+\left(2^{a}\right)^{b-1}>1$$となるから $3^{ab}-2^{ab}$ は合成数である。
したがって対偶が真であるから、$3^n-2^n$ が素数ならば$n$も素数であることが示された。
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京大数学としては簡単な証明問題でした。対偶証明法によって間接的に示すのが素直な解法だと思います。
昨年とは打って変わって今年の京大数学では方針に困る問題が出題されませんでした。正確に答案を作成できたかどうかが合否の分かれ目になったでしょう。