地下街の地図を、分かりやすく描くのが難しい理由

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地下街の地図では、目的地が近く見えるのに、思った通りに到着できないことがある。平面上の位置が近くても、同じ階でつながっているとは限らない。地下街の案内には、距離と方向に加えて、階層と接続関係を伝える必要がある。

上から見た位置だけでは歩けない

二つの通路が地図上で交わっていても、片方が地下二階なら、その交点では曲がれない。階段やエレベーターの位置を経路に組み込む必要がある。地上へ出る出口も、建物の入口や反対側の歩道へ自由につながるとは限らない。

階ごとの図は同じ高さの移動を読みやすくするが、階をまたぐつながりが分かりにくい。立体図は上下関係を示せるが、奥の通路が隠れたり、店名が重なったりする。どちらの表現にも、強調しやすい情報と読み取りにくい情報がある。

現在地と向きを結び付ける

地図上の現在地を見つけても、自分がどちらを向いているか分からなければ歩き出せない。地下では遠くの山や高層建築のような目印を使いにくく、似た通路が続くこともある。見えている店、出口番号、柱などと、地図の記号を対応させる手掛かりが必要になる。

大規模地下街の研究では、案内表示の連続性や空間認知が検討されている。入口に一枚だけ詳しい地図があるより、分岐点で次の行動を確認できることが重要となる。地図と矢印の案内は、異なる役割を受け持っているのである。

正確さと使いやすさを両立する

すべての壁や店舗を細密に描けば、経路が見やすくなるわけではない。目的に応じて通路、改札、上下移動、出口を目立たせ、必要な情報に優先順位を付ける。車椅子やベビーカーを使う場合には、階段を通らない接続も経路の条件になる。

国土交通省のPLATEAUでは、地下街や建物の三次元モデルを使い、地上と地下をつなぐ案内が実証されている。地下街の地図の難しさは、複雑な空間を一枚に縮めることだけにない。「今いる場所から、どの接続を通れば歩いて行けるか」を、利用者の条件に合わせて示すことにある。

地図上の最短距離と、歩ける経路の最短距離は異なる。改札内外、施設の開閉、階段の有無などによって、同じ位置関係でも利用できる経路は変わる。

参考資料

参考資料確認日:2026年10月14日。

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