対象:化学基礎・化学/前提:化学反応式、イオン、物質量
酸化還元では、電子を失う変化を酸化、受け取る変化を還元と呼びます。酸素が出入りしない反応でも酸化還元は起こります。たとえばFe²⁺→Fe³⁺+e⁻では、鉄が電子を一つ失うので酸化です。
✎酸化数は電子の移動を数えるための形式的な値
単体の酸化数は0、単原子イオンでは電荷に等しい値です。化合物では酸化数の合計が全体の電荷になるように数えます。酸素を通常−2とすれば、MnO₄⁻中のMnはx+4×(−2)=−1から+7です。
酸素が常に−2とは限りません。H₂O₂では酸素は−1、OF₂では+2です。水素も通常+1ですが、NaHでは−1です。既知の規則を適用する際は、過酸化物や金属水素化物などの例外に該当するか確認します。
✎酸化剤自身は還元される
相手を酸化する物質が酸化剤で、酸化剤自身は電子を受け取って還元されます。還元剤は電子を与えて自身が酸化されます。「酸化剤だから酸化数が増える」と逆に覚えないように、電子を受け取る側を反応式上で確かめます。
✎例題:酸性条件の過マンガン酸イオンと鉄イオン
Fe²⁺の酸化はFe²⁺→Fe³⁺+e⁻です。一方、MnO₄⁻がMn²⁺になる半反応式は、まず酸素をH₂Oで、水素をH⁺で合わせ、最後に電子で電荷を合わせます。
左辺の電荷は−1+8−5=+2で右辺と一致します。鉄の半反応式を5倍して加えると、電子が消えて次の式になります。
電子の収支をそろえる方法はOpenStaxの酸化還元反応の解説でも扱われています。反応条件が変わりMnO₂など別の生成物になる場合は、同じ半反応式を使えません。
✎反応式から滴定の濃度を計算する
十分な酸性条件でFe²⁺試料25.0mLを滴定し、0.0200mol/LのMnO₄⁻を12.5mL要したとします。ほかに酸化される成分はなく、当量点を正しく捉えた条件です。MnO₄⁻は0.000250molなので、Fe²⁺はその5倍の0.00125molです。濃度は0.00125/0.0250=0.0500mol/Lとなります。
5倍する根拠は、酸化剤の酸化数が+7だからではありません。Mnが+7から+2へ変化する際に受け取る5個の電子を、Fe²⁺が一つずつ供給するためです。
✎確認問題
SO₄²⁻中の硫黄の酸化数は?
x+4×(−2)=−2なので+6です。イオン全体の電荷−2を忘れずに右辺に置きます。
Zn+Cu²⁺→Zn²⁺+Cuでは、酸化剤と還元剤はどれ?
Znは酸化数0から+2となり、電子を与える還元剤です。Cu²⁺は+2から0となり、電子を受け取る酸化剤です。やり取りする電子は反応式一組につき2個です。
✎発展:酸化数は実際の電荷と同じか
共有結合の電子を電気陰性度の大きい側へ形式的に割り当てた値が酸化数です。分子内に、その整数と同じ実際の電荷が必ず局在しているという意味ではありません。形式電荷も別の割り当て規則に基づきます。形式電荷と有機化合物の酸化数を比較すると、何を数えるための規則かが明確になります。
