2026年ノーベル生理学・医学賞を解説:光で神経細胞を動かす「光遺伝学」

2026年10月5日、ノーベル生理学・医学賞の受賞者として、カール・ダイセロス(Karl Deisseroth)氏、ペーター・ヘーゲマン(Peter Hegemann)氏、ゲオルク・ナーゲル(Georg Nagel)氏の3人が発表されました。受賞理由は「光で開くイオンチャネルと光遺伝学に関する発見」です。[1]

光を当てて、狙った神経細胞を動かす。そんな実験を可能にしたのが、光遺伝学(オプトジェネティクス)です。細胞に光で動く「スイッチ」を取り付け、その細胞を働かせたときに、動物の行動がどう変わるかを調べます。出発点になったのは、脳とは縁遠く見える、小さな藻類の研究でした。 “2026年ノーベル生理学・医学賞を解説:光で神経細胞を動かす「光遺伝学」” の続きを読む

2026年ノーベル化学賞を解説:分子の「右手・左手」の偏りを増幅する仕組み

2026年10月7日、ノーベル化学賞の受賞者として、フランスのアンリ・B・カガン(Henri B. Kagan)氏と、東京理科大学名誉教授の硤合憲三(そあい・けんそう、Kenso Soai)氏が発表されました。受賞理由は「不斉有機合成における非線形効果と自己触媒の発見」です。[1]

私たちの右手と左手は、鏡に映すと同じ形に見えますが、向きを変えるだけではぴったり重なりません。分子にも、このような「右手型」と「左手型」があります。今回の研究が示したのは、両者のごくわずかな量の差を、化学反応によって大きく増幅できるということです。分子の形の違いから、反応の仕組み、生命との関係までを順に説明します。 “2026年ノーベル化学賞を解説:分子の「右手・左手」の偏りを増幅する仕組み” の続きを読む

2026年ノーベル物理学賞を解説:南極の氷で宇宙を観測するIceCube

2026年10月6日、ノーベル物理学賞が、米国ウィスコンシン大学マディソン校のフランシス・ハルゼン(Francis Halzen)氏に授与されました。受賞理由は、IceCubeニュートリノ観測施設への決定的な貢献と、天体に由来する高エネルギーニュートリノの発見です。[1]

IceCube(アイスキューブ)は、南極点付近の氷を使った巨大な観測装置です。星の光をレンズで集める望遠鏡とは仕組みが違いますが、宇宙から届く粒子を調べ、遠くの天体で何が起きているかを探ります。本記事では、ニュートリノの性質から観測の方法、今回評価された成果までを順に説明します。 “2026年ノーベル物理学賞を解説:南極の氷で宇宙を観測するIceCube” の続きを読む