前回の投稿からかなり時間が空いてしまいました・・・。少しずつホームページの方も増築していきたいですね。さて、前回解説した問題#14は互いに素なピタゴラス数の生成方法がテーマでしたが、問題#15は一筋縄ではいきません。剰余に着目して解の有無を論じます。
《問題#16》
$a_1=1$、$a_2=1$、$a_{n+2}=a_{n+1}+a_{n} \ (n=1,2,3,\cdots)$ で定められる数列$\{a_n\}$が$12$の倍数となるような自然数$n$の条件を求めよ。
(創作問題)
今回はかの有名なフィボナッチ数列に関する話題にしてみました。まずは剰余の規則性を調べましょう。
» 答えはこちら 答えは $\color{red}{n=12k \ (k \in \mathbb{N})}$ です。 » 閉じる
創作整数問題#15(解き方)
等式 $3p^2+4q^2=5r^2$ を満たす互いに素な自然数 $p$、$q$、$r$ の組は無数に存在するか。 |
3平方の定理に似た等式ですが、この等式、実は自然数解を持ちません。$3$で割った余りを考えます。
$3p^2+4q^2=5r^2$ を次のように変形します。
$$\begin{align} 3p^2&=5r^2-4q^2
\\ \therefore 3p^2&=3(r^2-2q^2)+2(r^2+q^2)
\\ \therefore 3(p^2+2q^2-r^2)&=2(r^2+q^2) \end{align}$$
これより、$r^2+q^2$は$3$の倍数でなければなりません。ここで自然数の二乗$n^2$が$\text{mod} \ 3$で$0$または$1$しか取り得ないことを思い出しましょう。この事実を考えると$q$および$r$はいずれも$3$の倍数でなければなりませんから、等式により$p$も$3$の倍数でなければなりません。よって$$\begin{cases} p=3P \\ q=3Q \\ r=3R \end{cases} \ (P、Q、R \in \mathbb{N})$$と置くことができます。これらを等式に代入して整理すると$$3P^2+4Q^2=5R^2$$を得ます。これは文字が元の式と違うだけで形は全く同じですから、先程と同様の議論ができて$P$、$Q$、$R$もまた$3$の倍数でなければならないことが言えるため、これらも同様に置き換えることができます。これを繰り返して次々に置き換えていくと$p$、$q$、$r$は素因数として$3$を無限個持つことになりますが、そのような自然数は存在しません。よって題意の等式を満たすような自然数$p$、$q$、$r$の組は存在しませんので、
「無数には存在しない」
あるいは
「1つも存在しない」
が答となります。
(コメント)
上記のような証明法は「無限降下法」などと呼ばれます。他にも証明の仕方はありますが、いずれにしても素因数の数や種類に着目して解答しましょう。これで題意の等式を満たす整数解は自明な $(p,q,r)=(0,0,0)$ しか存在しないことが示されました。こういうタイプの問題で解法に困らないように訓練しておきたいですね。
因みに無限降下法を歴史上初めて用いたのは「フェルマーの最終定理」で知られるフランスの数学者ピエール・ド・フェルマーであると言われています。フェルマーについては過去の投稿(「整数第4章を追加しました」)でも少し触れています。