とある不等式の問題

拾い物の不等式の問題についてメモ。


《問題》

実数$a,b,c$について$$\small (a ^{2020} – a ^{2} + 2 ^{2}) (b ^{2020} – b ^{2} + 2 ^{2}) (c ^{2020} – c ^{2} + 2 ^{2}) > (a ^{2} + b ^{2} + c ^{2})^{3}$$を示せ。


任意の実数$x$について$$\small \begin{align} & x ^{1010} -x+4 \\ =\,& \left(x ^{1009} -1\right) \left(x-1\right) +x ^{1009} +3 \\ \geqq\,& x ^{1009} +3 \quad (\because \left(x ^{1009} -1\right) \left(x-1\right)\geqq 0)\end{align}$$であるから、$x=a^2$、$y=b^2$、$z=c^2$ と置くと与不等式の左辺について、$$\small \begin{align} & (x^{1010} – x + 4)(y^{1010} – y + 4)(z^{1010} – z + 4) \\ \geqq\,& (x^{1009} +3)(y^{1009} +3)(z^{1009} +3)\end{align}$$となる。これより、$$\small (x^{1009} +3)(y^{1009} +3)(z^{1009} +3)> (x+y+z)^{3} \quad \cdots (*)$$を示せば十分である。

ここで $M=\dfrac{x+y+z}{3}$ と置くと、$$\small \begin{align}
& \left(x^{1009}+3\right)\left(y^{1009}+3\right)\left(z^{1009}+3\right) \\
=\,& x^{1009} y^{1009} z^{1009} + 3 (x^{1009} y^{1009} + x^{1009} z^{1009} + y^{1009} z^{1009}) \\ & \ \ \ \ \ \ + 9 (x^{1009}+ y^{1009} + z^{1009}) + 27 \\
\geqq \,& 9\left(x^{1009}+y^{1009}+z^{1009}\right)+27 \quad (\because x,y,z \geqq 0) \quad \cdots ① \\
\geqq \,& 27\left(M^{1009}+1\right) \quad \cdots ②\\
& \quad \quad \left(\because \dfrac{x^{1009}+y^{1009}+z^{1009}}{3} \geqq \left(\dfrac{x+y+z}{3}\right)^{1009}\right)  \\
\geqq \,& 27\left(M^{1006}+M^{3}\right) \quad \cdots ③\\
\geqq \,& 27 M^{3} \quad \cdots ④\\
=\,& (x+y+z)^{3}
\end{align}$$となる。

ここで $M=0$ のとき$①$、$④$で等号が成立するが、このとき$③$で等号不成立。

また、$M=1$ のとき$③$で等号が成立するが、このとき$④$で等号不成立。

$x=y=z$ のとき$②$で等号が成立するが、そもそもこのとき不等式$(*)$の左辺は$$\small x^{3027} + 9 x^{2018} + 27 x^{1009} + 27 \quad (>27 x^{3} \ (\because x \geqq 0))$$となり右辺より大きくなるから等号は不成立。

以上より不等式$(*)$が示されたから、与不等式の成立も示された。

ただし、式変形の途中で関数 $Y=X^{1009}\ (X \geqq 0)$ の凸性および関係式$$M^{1009}-M^{1006}-M^{3}+1 \geqq 0$$即ち$$(M^{1006}-1)(M^{3}-1) \geqq 0$$を用いた(これは $M \geqq 0$ のとき成り立つ)。

 

※文字の対称性を考えて、$x \geqq y \geqq z \geqq 0$ などと大小関係を設定しても良いでしょう。



最近はコロナウイルス対策としてテレワークが全国的に推奨されていますが、管理人は毎日勤務先に出掛けています。自宅警備のできる職場が羨ましい限りです(笑)

 

“とある不等式の問題” への2件の返信

  1. x=a^2,y=b^2,z=c^2 (a,b,cは任意の実数)ですので,
    x,y,zはすべて非負ですが,
    そのことは,論証全体に強く関わっています.
    (Y=X^1009の凸性もそうですし,他に,例えば,
    一般にはP≧p,Q≧q,R≧rからPQR≧pqrを結論することはできません.
    0*0*20」とあるのは正しくなく,
    「x≧0,y≧0,z≧0」であるべきですね.

    さらには,M=0(すなわち,x=y=z=0)の可能性もあり,
    「…>9(x^1009+y^1009+z^1009)+27」や
    「27(M^1006+M^3)>27M^3」にも等号を付けるべきであると思います.

    結局,M=1,M=0 (つまりx=y=z=0) の両方の可能性を残したまま議論を進めると,
    (x^1009+3)(y^1009+3)(z^1009+3)から(x+y+z)^3への式変形で,
    「=」を否定できるステップはなく,
    「M=0のときは,27(M^1009+1)と27(M^1006+M^3)の間の等号は不成立,
    M≠0のときは,27(M^1006+M^3)と27M^3の間(他にもありますが)の
    等号は不成立」
    などと論述することになりそうな気がします.

    出勤は,こういう事態になると気が重いですね.
    ご自愛くださいとしか言いようがありません.
    かく言う私も,そもそもテレワークはほぼ無理な職種で,
    仕方なく(などと言っては怒られますが),せっせと通勤しています.
    マスクはしてるけど,それで安心できるものなのかはわかりません.
    まあ,なるようにしかならないのでしょうが,心もとないことではあります.

  2. たけちゃん さん

    コメントありがとうございます。
    この記事自体、雑にしか書いていなかったので、ご指摘の部分について修正しました。

    幸い(?)私は関東圏におりませんので少し余裕はあるように感じていますが、出張等はほぼ取り止めになっています。報道の通り医療崩壊や感染爆発はもはや時間の問題で、もし最悪の事態になればテレワークせざるを得ないでしょうが、営業や製造業の方はどうしようもありませんよね…。せめてまともな休業補償が給付されることを願っています。
    マスクもエチケットとして重要ですが、特に最近はこまめに手洗いうがいをするよう心掛けています。建物を移動したり、ドアノブや手すりなどに触れたりしたら、できる限りその都度手洗い・アルコール消毒をするように気を付けています。ただ、消毒用アルコールもマスク同様ほとんど品切れ状態で滅多に手に入りません。恐らく全国的にそうなのでしょうね。
    特効薬が行き渡るまでの辛抱だと思って個人的に色々と自粛しているところです。たけちゃんさんもどうぞご自愛下さいませ。

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