京都大学2016年文系前期数学第3問

今日、12月21日は「遠距離恋愛の日」らしいです。 由来には諸説あるようですが、「1221」の両側の「1」が、遠距離で離れている恋人の「1人」を表し、内側の「2」が近づいた恋人の「2人」を表すように見える、・・・という説が有力だそうです。数年前まで無かったような気がする記念日ですが・・・(笑)。

というわけで(?)、今回は「1221」ではなく「1331」の話題を取り上げることにします。


 

$n$を$4$以上の自然数とする。数 $2$、$12$、$1331$が全て$n$進法で表記されているとして、$$2^{12}=1331$$が成り立っている。このとき$n$はいくつか。十進法で答えよ。

(京都大学2016年文系 前期第3問)

 

 考え方

$n$進記数法とは$2$以上の整数$n$を用いて、ある実数$x$を$$\begin{align} x =a_k n^k &+a_{k-1} n^{k-1}+\cdots \\ &+a_1 n+a_0+\dfrac{a_{-1}}{n}+\cdots \end{align}$$と表す記法のことです。例えば$n$進法で表された$1331_{n}$は十進法に直すと $1331_{n}=n^{3}+3 n^{2}+3 n+1$ と表されます。このようにして方程式を十進法の世界に「翻訳」していくのが、この手の問題を解く際の常道です。当然ながら、解答は十進法で行います。


解答例

 

$n$進法で表記された数 $2_{n}$、$12_{n}$、$1331_{n}$を$10$進法に変換すると、

 

$2_{n}=2$、$12_{n}=n+2$、$1331_{n}=n^{3}+3 n^{2}+3 n+1=(n+1)^3$

 

となるので、与方程式は$$2^{n+2}=(n+1)^3$$と書き直せる。左辺は素因数を$2$しかもたないので、右辺の素因数も$2$に限る。故に整数 $k\ (\geqq 3)$ を用いて $n=2^k-1$ と置けるから代入して、$$2^{2^k+1}=2^{3k}$$を得る。よって$$2^k+1=3k$$となる。

 

ここで $k \geqq 4$ のとき、$2^k+1 > 3k \ \ \cdots (*)$ となることを$k$についての数学的帰納法で示す。

 

$k=4$ のとき $17>12$ であるから$(*)$式は成り立つ。$k=l$($l$は $l>4$ を満たす整数)のとき$(*)$式が成り立つとすると、$$\begin{align} 2^{l+1}+1-3(l+1) =& 2^{l+1}-3l-2 \\ >& 2^{l+1}-2^{l}-3 \quad (\because \text{仮定}) \\ =& 2^{l}-3 > 0 \quad (\because l>4) \end{align}$$よって $k \geqq 4$ のとき、$2^k+1 > 3k$ となることが示された。

 

よって $k=3$ に限られ、このとき $n=7$ となるので与方程式を満たす。以上より、求める自然数$n$は$\color{red}{7}$である。

 


 

「指数 Vs 多項式」型の不定方程式を解かせるタイプの整数問題がよく出題されますが、このタイプの問題では多項式よりも指数関数の方が非常に速く増大することを利用して必要条件を絞り込みます(不等式の利用)。

解答例では素因数に着目して絞り込みを掛けましたが、与方程式を直接相手にしてシラミ潰しで $n=7$ を見つけ、$n \geqq 8$ のとき $2^{n+2}>(n+1)^3$ が成り立つことを示しても良いでしょう。

「十進法」を「じゅっしんほう」と読む人が多いですが、正しくは「じっしんほう」です。最近は「じっしんほう」の方がマイナーになったかもしれませんが。

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