創作整数問題#21解法&創作整数問題#22


前回の投稿から大分日数が開いてしまいました。実は本日、8月8日は「発酵食品の日」らしいですね。因みに私の好きな発酵食品はワインです(笑)。


《問題#22》

等式 $3^x+9^y=12^z$ を満たす正の整数$x$、$y$、$z$の組をすべて求めよ。

(創作問題)


誘導設問が無い分、少し難しめでしょうか?

 

 

» 答えはこちら

答えは $\color{red}{x=y=z=1}$ です。

» 閉じる


創作整数問題#21(解き方)


$[x]$は$x$を超えない最大の整数を表すとする。

$\alpha=4+\sqrt{13}$とし、数列$\{a_{n}\}$を$$a_n=[{\alpha}^{n}]+[{\alpha}^{n+1}]$$によって定める。このとき数列$\{a_{n}\}$のすべての項はある正の整数$d$の倍数になっているという。$d$の最大値を求めよ。

(前問の投稿のコメントに関して)
管理人のうっかりによる単なる出題ミスでした。ご覧になって頂いた方には申し訳ないです・・・。現在は編集済みで、難度がかなり下がりました(笑)。指摘して下さった たけちゃん さんに感謝致します。


《考え方》

まずは少し実験してみましょうか。

$\begin{align} a_1 &=[4+\sqrt{13}]+[{(4+\sqrt{13})}^{2}] \\ &=[4+\sqrt{13}]+[29+8\sqrt{13}] \\ &=[4+\sqrt{13}]+[29+\sqrt{832}] \end{align}$

$3<\sqrt{13}<4$、$28<\sqrt{832}<29$ より、$a_1=7+57=\color{red}{64}$

$\begin{align} a_2 &=[{(4+\sqrt{13})}^2]+[{(4+\sqrt{13})}^{3}] \\ &=[29+8\sqrt{13}]+[220+61\sqrt{13}] \\ &=57+[220+\sqrt{48373}] \end{align}$

$219<\sqrt{48373}<220$ より、$a_2=57+439=\color{red}{496}$

以上より、数列$\{a_{n}\}$を求めるためには$[{\alpha}^{n}]$を求めていけば良いことが分かりますね。ではどうやって求めれば良いのかを考えるところが最初の関門です。

$[{\alpha}^{n}]$を調べるためには${\alpha}^{n}$を調べる必要があります。そこで発想したいのが「次数下げ」の要領です。

$\alpha=4+\sqrt{13}$ の形を見れば二次方程式による次数下げができそうだと勘付けます。これがすぐに思い付かなかった人でも、まずは${\alpha}^{2}$を何とか$\alpha$で表せないかを考えましょう。これを考えているうちに気が付けるはずです。

$\alpha$を解に持つ二次方程式は$${\alpha}^{2}-8\alpha+3=0$$ですから、$${\alpha}^{2}=8\alpha-3$$という関係式が得られます。この等式の両辺に${\alpha}^{n-2}$を掛けてやると$${\alpha}^{n}=8{\alpha}^{n-1}-3{\alpha}^{n-2} \tag*{(1)}$$となりますから、次数下げの準備はできました。しかしこのままガウス記号を付けても簡単になりそうもありません。

そこで先程の二次方程式に再び着目します。この方程式は $4+\sqrt{13}$ を解に持ちます。ということは $4-\sqrt{13}$ もまたこの方程式の解になっています。これを$\beta$としましょう。すると$\alpha$と全く同じ関係式が導けます。$${\beta}^{2}=8\beta-3$$という関係式の両辺に${\beta}^{n-2}$を掛けてやると$${\beta}^{n}=8{\beta}^{n-1}-3{\beta}^{n-2} \tag*{(2)}$$が得られます。そして$(1)$式と$(2)$式を辺々足し合わせますと、$${\alpha}^{n}+{\beta}^{n}=8({\alpha}^{n-1}+{\beta}^{n-1})-3({\alpha}^{n-2}+{\beta}^{n-2}) \tag*{(3)}$$を得ます。${\alpha}^{n}+{\beta}^{n}=p_n$ と置いてやれば$(3)$式は$$p_n=8p_{n-1}-3p_{n-2} \tag*{(3)’}$$と簡単になります。

さて、いきなり$\beta$が登場して訳が分からないという方のために少し解説しておきます。$(1)$式の各辺は整数ではないため、そのままガウス記号を付けて議論するのは大変です。そこ$\alpha$に縁のある整数を持ち出そうということで登場したのが$\beta$です。実は(?)$\alpha$と$\beta$は共役な関係*1にあり、その和、積はともに整数です。これは$n$乗した${\alpha}^{n}$と${\beta}^{n}$でも成り立ちますから、$\beta$を持ち出すのは無理な話ではありません。$p_n$はこうした背景があって導入された整数だったのです。($p$は”pair”のpから取っている(はず))

さて、$p_n$という新しい数列の定義より、$${\alpha}^{n}=p_n-{\beta}^{n}$$が成り立ちます。当たり前ですね。しかしここに数列$\{p_n\}$の真髄があるのです。ガウス記号を付けてみると、$$[{\alpha}^{n}]=[p_n-{\beta}^{n}]$$となります。右辺に注目すると、

$[($整数$)-{\beta}^{n}]$

という形になっています。${\beta}^{n}$の大きさが分かれば、これがどんな整数になるのかが決まります。ここで$\beta=4-\sqrt{13}$ であったことを思い出すと、$0<4-\sqrt{13}<1$ですから、すべての自然数$n$について、$$0<{\beta}^{n}<1$$が成り立ちます。これより$$p_n-1<p_n-{\beta}^{n}<p_n$$となるので、$$[{\alpha}^{n}]=[p_n-{\beta}^{n}]=p_n-1$$と求めることができました。

つまり、$a_n$は

$$\begin{align} a_n &=[{\alpha}^{n}]+[{\alpha}^{n+1}] \\ &=(p_n-1)+(p_{n+1}-1) \\ &=p_{n+1}+p_n-2 \end{align}$$

という整数になることが分かりました。題意をもう一度確認すると、数列$\{a_{n}\}$のすべての項は$d$の倍数になるため、$d$はすべての自然数$n$について $p_{n+1}+p_n-2$ の約数にならなければなりません。

冒頭で$a_1=64$、$a_2=496$を確認しましたね。$64$と$496$の最大公約数は$16$ですから、$d=16$ (?)と見当が付きそうです。では本当に $p_{n+1}+p_n-2$ は常に$16$の倍数になっているのでしょうか?

そこで$a_3$を計算してみますと、

$$\begin{align} a_3 &=p_{4}+p_3-2 \\ &=3346+440-2 \\ &=3784 \\ &=2^3 \cdot 11 \cdot 43 \end{align}$$

となり、$16$の倍数ではないことが分かりました。そこで $d=8$ と予想できそうです。$p_n$の漸化式は$$p_n=8p_{n-1}-3p_{n-2} \tag*{(3)’}$$でしたから、$p_n$が$8$の倍数かどうかは$p_{n-2}$を$8$で割った余りで決まることが分かります。

$$\begin{cases} p_1=\alpha+\beta=8 \\ p_2={\alpha}^{2}+{\beta}^{2}=58 \end{cases}$$

より、$p_1$が$8$の倍数ですから$p_3$も$8$の倍数となります。次に$p_4$ですが、$p_2$は$8$で割った余りが$2$となる数なので、$3p_2 \equiv 6 \pmod{8}$ となります。従って$$p_4 \equiv 0-6 \equiv 2 \pmod{8}$$となるので、$p_4$は$8$で割った余りが$2$となる数であることが分かりました。これを繰り返していくと、$m$を自然数として

$$\begin{cases}  p_{2m-1} \equiv 0 \pmod{8} \\ p_{2m} \equiv 2 \pmod{8} \end{cases}$$

となることが言えますから、連続する$2$項の和 $p_{n+1}+p_n$ は$8$で割った余りが$2$となる数です。従って$a_n$、即ち $p_{n+1}+p_n-2$ は常に$8$で割り切れるので、求める正の整数$d$は$$\color{red}{d=8}$$となります。



*1 について補足

「共役な関係」というのは、$a+\sqrt{b}$ と $a-\sqrt{b}$ の関係のことを指しています。こういうものを二次体における互いに共役な元と言ったりしますが、こんなものは覚えなくても差し支えありません。複素数の世界での共役と同じようなものだと認識しておけば問題ないでしょう。


(コメント)

できるだけ分かりやすく説明しようとしたため、かなり息の長い文章になってしまいましたが、お分かり頂けたでしょうか? 誘導設問を削除すると、自分自身で気付かなければいけないポイントが多くて非常に大変ですが、その分味わい深い問題になりますね。誘導設問の有難さがしみじみと感じられたのではないかと思います。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です