創作整数問題#27解法&創作整数問題#28


久々の更新となりました。しばらく時間に余裕ができそうです(嬉)。


《問題#28》

等式$$m^2+4^n=n!$$を満たすような非負整数$m$、$n$の組をすべて求めよ。

(創作問題)


本格的なディオファントス方程式です。着眼点がものを言います。

 

 

 

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答えは $\color{red}{(m,n)=(0,0)}$ です。

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創作整数問題#27(解き方)


等式$$x^3+y^3-3xy=0$$を満たすような整数$x$、$y$の組をすべて求めよ。

公約数、素因数に着目した解法をご紹介します。(2017/12/03追記 HN:たけちゃん様より「解答例1」について誤りをご指摘頂きましたので解答を差し替えました。ご指摘に感謝致します)

《解答例1》

与式は自明な解 $(x,y)=(0,0)$ を持ち、$x,y$の一方が$0$のときは他方も$0$となるから、以下 $xy \ne 0$ とする。

$x,y$の最大公約数を$g$とし、$x=ga$、$y=gb$ と置く(ただし$a,b$は互いに素な$0$でない整数である)。これらを与式に代入すると$$g^3a^3+g^3b^3-3g^2ab=0$$ $$\therefore a^3+b^3=\dfrac{3ab}g \tag*{・・・(A)}$$を得る。ここで$a,b$の素因数に着目する。右辺がある素因数$p$を持つとして、$p$が$a$に由来する素因数だとすると、$a^3$は$p$の倍数であるため$b^3$も$p$の倍数となり、$a,b$が互いに素であることに反し不合理である。$b$の素因数であるときも同様に不合理である。

故に右辺が素因数$p$を持つとするならば、$p$は$a$および$b$の素因数ではないため$3$に限り、このとき$a,b$はいずれも$3$を素因数に持たない。したがって右辺の取りうる値は$\pm1$または$\pm3$に限り、$g=\pm ab$ または $g=\pm 3ab$ となる。このとき$(\text{A})$式より$$a^3+b^3=\pm3$$または$$a^3+b^3=\pm1$$となるが、いずれも $a \ne 0$ かつ $b \ne 0$ の下では整数解を持たないため、このような整数$a,b$は存在しない(※下記の注を参照)

以上より、与式の整数解は$$\color{red}{(x,y)=(0,0)}$$である。

※注

$a^3+b^3=\pm3$ や $a^3+b^3=\pm1$ が整数解を持たないことが自明だと思われない方向けに解説しておきます。例として$$a^3+b^3=3 \ \ \cdots (\ast)$$の場合で説明します。

《$(\ast)$式が整数解を持たないことの証明》

$a<0$ かつ $b<0$ では明らかに整数解を持たない。また、$a>0$ かつ $b>0$ のとき、$(\ast)$式の整数解は存在しない。次に$a,b$が異符号のときを調べるが、$(\ast)$式は$a,b$に関して対称なので一般性を失うことなく $a>0$ かつ $b<0$ と置ける。そこで $b=-c \ (c>0)$ と置くと$(\ast)$式は$$a^3-c^3=3$$ $$\therefore (a-c)(a^2+ac+c^2)=3$$と変形できる。$a>0$ かつ $c>0$ であるから $a^2+ac+c^2 \geqq 3$ であり、左辺が$3$なので$$a^2+ac+c^2=3$$が必要である。これより $a=1$ かつ $c=1$ でなければならないが、このとき $a-c=0$ となり不合理。故にこれを満たす整数$a,b(=-c)$は存在しないから$(\ast)$式は整数解を持たない。

右辺が$\pm 1$や$-3$のときでも同様もしくは類似の議論で整数解が存在しないことを証明できます。ここまで論証しておけばケチの付けられない解答になるでしょう。


次に対称性を利用した解法を示します。

《解答例2》

$$\begin{cases} x+y=a \\ xy=b \end{cases} \ (a,b \in \mathbb{Z})$$と置くと、$$x^3+y^3-3xy=0$$ $$\therefore (x+y)(x^2-xy+y^2)-3xy=0$$ $$\therefore (x+y)\{(x+y)^2-3xy\}-3xy=0$$ $$\therefore a(a^2-3b)-3b=0$$ $$\begin{align} \therefore 3b &=\dfrac{a^3}{a+1} \\&=a^2-a+1-\dfrac{1}{a+1} \end{align}$$(※$a=-1$ は解でないので $a+1 \ne 0$)

左辺は整数であるから右辺も整数でなければならず、特に$\dfrac{1}{a+1}$が整数であることが必要である。これより $a=0,-2$ に絞られる。

$a=0$ のとき $b=0$ となるから、$x=y=0$ を得る。

$a=-2$ のとき $3b=8$ となり不適である。

よって求める整数解は$$\color{red}{(x,y)=(0,0)}$$である。


本問では因数分解を利用した解法も考えられます。ただし因数分解できる形にするためには少し工夫が要ります。

《解答例3》

与式の両辺に$1$を加えて、$$x^3+y^3+1^3-3xy=1$$ $$\therefore (x+y+1)(x^2+y^2+1^2-xy-x-y)=1$$ と変形できる。これより、$$\text{①}\begin{cases} x+y=0 \\ x^2+y^2-xy-x-y=0 \end{cases}$$または$$\text{②}\begin{cases} x+y=-2 \\ x^2+y^2-xy-x-y=-2 \end{cases}$$が必要であるが、①のとき $y=-x$ より、$$3x^2=0$$ $$\therefore x=y=0$$

②のとき $(x+y)^2-3xy-(x+y)=-2$、$x+y=-2$ より、$$3x^2+6x+8=0$$を得るが、これは整数解を持たないので不適。

よって求める整数解は$$\color{red}{(x,y)=(0,0)}$$である。


本問の場合だと少し回り道になりますが、係数や次数に着目すれば剰余類での絞り込みも可能です。

《解答例4》

$\bmod 9$ で考える。与式より、$$x^3+y^3=3xy$$であるから、$$x^3+y^3 \equiv 3xy \pmod 9$$が成り立つ。ここで$ \bmod 9$ において、$$\begin{cases} x^3+y^3 \equiv 0,1,2,7,8 \\ 3xy \equiv 0,3,6 \end{cases}$$となるから与式が成立するためには、$x^3+y^3 \equiv 0$ かつ $3xy \equiv 0$ が必要である。したがって$x、y$のいずれか一方は$3$の倍数でなければならないが、式の形より、このとき残りの一方も$3$の倍数となる。故に $x=3X \ (X \in \mathbb{Z})$、$y=3Y \ (Y \in \mathbb{Z})$ と置くことができるから与式は$$X^3+Y^3-XY=0$$となる。

(以下、解答例1~3と同様の方法で解答可能なので省略)


(コメント)

今回の題材は自明な解しか持たない不定方程式ですが、解法がワンパターンという訳ではありません。是非、解法の引き出しを増やして欲しいと思います。

 

6 Replies to “創作整数問題#27解法&創作整数問題#28”

  1. #27の解答例1ですが,
    「$y^3=x(3y-x^2)$」からは,「$y$ が $x$ の倍数」とは
    結論できないのではないでしょうか.
    (もし言えるなら,以下は大変易しく,
    「対称性より,$x$ は $y$ の倍数でもあり,$y=\pm x.$
    与式に代入して,$2x^3-3x^2=0$ または $3x^2=0$ となり,
    いずれの場合も,整数 $x,y$ はともに $0$ に限る.」
    で終了ですが,そうはいかないと思います.)

    ここから言えるのは,
    「$x$ が持つ素因数は $y$ も持つ」であり,対称性から,
    「$x$ が持つ素因数の集合と $y$ が持つ素因数の集合は一致する」
    となりますが,以下の進め方は思いつきませんでした.

    代わりに,このアイディアを元にした別解を考えてみました.

    $x,y$ の一方が $0$ のときは,明らかに他方も $0$ である.
    以下では,$xy\neq0$ の場合を考える.
    $x,y$ の最大公約数を $g$ とし,$x=ga,\ y=gb$ とおく.
    与えられた等式に代入して,
    $g^3a^3+g^3b^3-3g^2ab=0$,すなわち $a^3+b^3=\dfrac{3ab}g$ を得る.
    右辺が素因数 $p$ を持ち,それが $a$ の素因数であるとすると,
    $b^3$ も $p$ の倍数となり,$a,b$ が互いに素であることに反する.
    $b$ の素因数であるときも同様に矛盾.

    よって,右辺が素因数を持つとすればそれは $3$ に限り,
    そのとき $a,b$ はともに $3$ で割り切れない.

    したがって,右辺は $\pm1$ または $\pm3$ に限り,
    $g=\pm ab$ または $g=\pm 3ab.$

    これは,$x=\pm a^2b,y=\pm ab^2$(複号同順)
    または $x=\pm3a^2b,y=\pm3ab^2$ (複号同順)を意味する.

    与式に代入すると,
    $a^3+b^3=\pm3$ または $a^3+b^3=\pm1$ となり,
    いずれも0でない整数解を持たない.

    以上より,$xy\neq0$ なる整数解はなく,
    結論は,$(x,y)=(0,0).$

    1. たけちゃんさん、コメントありがとうございます。

      ご指摘ありがとうございます。
      どうも私はこういうタイプの早合点をしやすい性質なのだと思います。お恥ずかしい限りです・・・(-_-;)。

      「解答例(?)1」の流れに添うのであれば、ご提示頂いた解法がベストですね。素因数に着目するのは個人的に苦手な手法なので、お見事!と言う外ありません。

      多少手を加えた上で、是非とも当欄に転載させて頂きたいのですが宜しいでしょうか?

  2. 当然ながら,投稿コメントはどう活用いただいても結構です.
    ただし,私もミスが少ない方とは言えませんので,
    その点だけはお含みください.
    よろしくお願いします.

  3. あと,右辺の値の候補が出た後についてはいささか冗長でしたね.
    直接にa,bの方程式が得られているので,
    元の方程式を経由する必要はありませんでした.

    今さら気付いた私でした.

    1. お心遣い感謝致します。

      お言葉に甘えて解答例を差し替えさせて頂きました。
      最後に得られる不定方程式の整数解が存在しないことに関してですが、自明か否か微妙なところだったので一応注釈を付けておきました。

  4. 分かりやすく書き直していただき,ありがとうございました.

    最後が自明としてよいかどうかは確かに微妙なところです.
    私の認識としては,
    $a^3+b^3=k$ ($k=\pm1,\pm3$) が $ab\ne0$ なる整数解を持たない理由は,
    ・方程式が「$\pm\{a^3-(-b)^3\}=|k|$」と変形できること
    ・0を除く異なる2つの立方数の差は,2もしくは7以上であること
    でしたが,説明が不十分でした.

    書いていただいた理由は手堅い方法であり,
    これなら文句のつけようがありませんね.
    ありがとうございます.

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