創作整数問題#37解法&創作整数問題#38

2018年の入試も一段落しましたね。昨年の大阪大、京都大の出題ミスは大きな問題となりましたが、今年も多数の大学で出題ミスが発生してしまいました。文科省主導で対策や救済措置の検討が行われていますが、出題ミス自体は一向に減る気配がありません。

出題ミスが起きるということは、当然採点ミスも起き得ます。哀しい哉、入試とは運の要素もかなり大きく関わってくるものなのです。合格ラインギリギリを狙うとロクなことが起きません。


創作整数問題#38


《問題#38》

$2018^{90}+2018^{60}+2018^{30}+1$ は$5$で最大何回割り切れるか。

(創作問題)


今年の一橋大で和暦と西暦の数字を絡めた出題があったので乗っかってみました。

 

 

 

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答えは $\color{red}{3}$ 回です。

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創作整数問題#37(解き方)


複素数 $\sqrt[3]{2+\sqrt{-121}}+\sqrt[3]{2-\sqrt{-121}}$ が整数値をとるとき、その整数値を求めよ。

この問題には当初不備があり、一度問題文を改めているのですが、やることと言えば$$\sqrt[3]{2+11i}+\sqrt[3]{2-11i}$$の取り得る整数値を求めることだけです。ここでは与式の取り得る複素数値をすべて求めてみます。

●   ●   ●

複素関数 $f(z)=z^{\frac{1}{3}}$ は多価関数であり、具体的に以下のように表されます。$$z^{\frac{1}{3}}=\sqrt[3]{r}\exp\left( \dfrac{(\theta+2n\pi)i}{3} \right)$$ここで$n$は整数、$r$は$z$の大きさ、$\theta$は$z$の偏角です(※$\exp$は指数表記で $\exp{x} \equiv e^x$ です)。$z$に $2+11i$ を代入してみますと、$\left|2+11i\right|=125$ より、$$\sqrt[3]{2+11i}=\sqrt{5}\exp\left( \dfrac{(\theta+2n\pi)i}{3} \right)$$となります。ここで$\theta$は $\sin \theta=\dfrac{11}{\sqrt{125}}$、$\cos \theta=\dfrac{2}{\sqrt{125}}$ を満たす角としています。同様に $z=2-11i$ とすれば$$\sqrt[3]{2-11i}=\sqrt{5}\exp\left( \dfrac{(-\theta+2n\pi)i}{3} \right)$$と表せます。この$\theta$は先程定義したものと同じものです。

これより、$$\begin{align}&\ \ \ \ \ \sqrt[3]{2+11i} \\ &=\begin{cases} \sqrt{5}\left( \cos\dfrac{\theta}{3}+i\sin\dfrac{\theta}{3}\right) \\ \sqrt{5}\left\{ \cos\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{2\pi}{3}\right)+i\sin\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{2\pi}{3}\right)\right\} \\ \sqrt{5}\left\{ \cos\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{4\pi}{3}\right)+i\sin\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{4\pi}{3}\right)\right\} \end{cases} \end{align}$$および、$$\begin{align}&\ \ \ \ \ \sqrt[3]{2-11i} \\ &=\begin{cases} \sqrt{5}\left( \cos\dfrac{\theta}{3}-i\sin\dfrac{\theta}{3}\right) \\ \sqrt{5}\left\{ \cos\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{2\pi}{3}\right)-i\sin\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{2\pi}{3}\right)\right\} \\ \sqrt{5}\left\{ \cos\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{4\pi}{3}\right)-i\sin\left(\dfrac{\theta}{3}+\dfrac{4\pi}{3}\right)\right\} \end{cases} \end{align}$$というそれぞれ3種類の値を得ます。これらの値を求めるには $\sin\dfrac{\theta}{3}$や $\cos\dfrac{\theta}{3}$の値を求める必要があります。

$\theta$は $\sin \theta=\dfrac{11}{\sqrt{125}}$、$\cos \theta=\dfrac{2}{\sqrt{125}}$ を満たす角なので、$$0<\theta<\dfrac{\pi}{2}$$が言えます。よって3倍角の定理から$$\cos\dfrac{\theta}{3}=\dfrac{2}{\sqrt{5}},\ -\dfrac{2+\sqrt{3}}{2\sqrt{5}},\ -\dfrac{2-\sqrt{3}}{2\sqrt{5}}$$を得ますが$\dfrac{\theta}{3}$は第1象限の角なので、$\cos\dfrac{\theta}{3}=\dfrac{2}{\sqrt{5}}$ に限ることが分かります。なお、このとき $\sin\dfrac{\theta}{3}=\dfrac{1}{\sqrt{5}}$ です。

これより、先程の3種類の値をそれぞれ加法定理などを用いつつ求めると、以下のようになります。

$$\sqrt[3]{2+11i}=\begin{cases} 2+i \\ -\dfrac{2+\sqrt{3}}{2}+\dfrac{2\sqrt{3}-1}{2}i \\ -\dfrac{2-\sqrt{3}}{2}-\dfrac{2\sqrt{3}+1}{2}i \end{cases}$$ $$\sqrt[3]{2-11i}=\begin{cases} 2-i \\ -\dfrac{2+\sqrt{3}}{2}-\dfrac{2\sqrt{3}-1}{2}i \\ -\dfrac{2-\sqrt{3}}{2}+\dfrac{2\sqrt{3}+1}{2}i \end{cases}$$※これらの式をよく見るとそれぞれ共役複素数の関係にあることが分かります。偏角を異符号にした複素数同士は互いに共役なので、この事実は検算としても利用できます。

これより、3×3=9通りの値を求めると$$\sqrt[3]{2+11i}+\sqrt[3]{2-11i}=\begin{cases} 4 \\ -2 \pm \sqrt{3} \\ -2 \pm 2\sqrt{3} i \\ \dfrac{2+\sqrt{3}}{2} \pm \dfrac{3+2\sqrt{3}}{2}i \\ \dfrac{2-\sqrt{3}}{2} \pm \dfrac{3-2\sqrt{3}}{2}i \end{cases}$$となります。以上より、求める整数値は$$\color{red}{4}$$と分かります。


(コメント)

3次方程式の解の公式である「カルダノの公式」を背景にした整数問題はそれなりの頻度で見かけますが、本問のように根号の中身が複素数値であるようなケースは高校数学の範囲を超えているので、大学入試では(多分)出題されないでしょう。

類題としては2017年和歌山大や2015年横浜市立大、2009年東北大後期、2002年大阪教育大後期などが挙げられます。整数問題というわけではありませんが2011年の上智大(経済)でも似たタイプの出題があります。

 

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