創作整数問題#44解法&創作整数問題#45

この頃、日本で大きな災害が立て続けに発生しています。先週には北海道胆振地方で震度7を観測する巨大な地震が発生しました。地震大国の日本において、北海道は比較的地震の頻度が少ない地域とされていただけに、インフラへの打撃はかなり大きかったようです。苫東厚真発電所が機能不全に陥り、一時は全道が停電するという前代未聞の事態が発生しました。現在も全面復旧に向けた努力が続けられており、現場で作業されている方々には頭が下がります。

全国の他地域にも同様のリスクを孕んでいる箇所がありそうですが、北海道内の電源のリスク分散は喫緊の課題です。現在運転を停止している泊原子力発電所が稼働していれば今回の大規模停電は防げた、との見方もあるようですが、災害の頻発する日本において、原子力は夢のエネルギーとは程遠い代物です。一刻も早い再生可能エネルギーを中心とした分散型電力システムの構築が望まれます。


さて、本シリーズも45問目となりました。余談ですが、$45$は「カプレカ数」です。2乗すると $45^2=2025$ となりますが、$20+25=45$ が成り立ちます。このような性質をもつ数を「カプレカ数」と言います。2桁のカプレカ数は$45$、$55$、$99$の3個だけです。


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創作整数問題#45


《問題#45》

(1)等式 $a^2+b^2+c^2=d^2$ を満たす素数$a$、$b$、$c$、$d$は存在しないことを示せ。

(2)等式 $a^2+b^2+c^2=2d^2$ を満たす素数$a$、$b$、$c$、$d$は存在しないことを示せ。

(創作問題)


ありがちな問題ですね。素数絡みの整数問題では「素数」という条件を読み替えることが突破口となることが多々あります。

 

 

 

証明問題につき、解答例は次回掲載します!


創作整数問題#44(解き方)


$\displaystyle \sum^{n}_{k=1}k^p=S_p(n)$ と表すとき、$\dfrac{S_5(n)}{S_3(n)}$が平方数となるような正の整数$n$は無数に存在することを示せ。ここで平方数とは、ある整数の二乗になる整数をいうものとする。

3乗和の公式と5乗和の公式が必要になりますが、これらは先日公開した記事「総和公式の簡単な導出法」で紹介している方法によって簡単に得ることができます。

$$\displaystyle \sum^{n}_{k=1} k^3=\dfrac{1}{4}n^2(n+1)^2$$であり、$$\displaystyle \sum^{n}_{k=1} k^5=\dfrac{1}{12}n^2(n+1)^2(2n^2+2n-1)$$であるので、$$\begin{align} \dfrac{S_5(n)}{S_3(n)} &=\dfrac{\dfrac{1}{12}n^2(n+1)^2(2n^2+2n-1)}{\dfrac{1}{4}n^2(n+1)^2} \\ &=\dfrac{1}{3}(2n^2+2n-1) \end{align}$$となります。これがある平方数$k^2$に一致するとき、$$k^2=\dfrac{1}{3}(2n^2+2n-1)$$ $$\therefore 6k^2=4n^2+4n-2$$ $$\therefore 6k^2=(2n+1)^2-3$$ $$\therefore (2n+1)^2-6k^2=3\tag{♣}$$と変形できます。

ここで $x=2n+1$、$y=k$ と置き直せば、方程式$(♣)$は$$x^2-6y^2=3\tag{♠}$$と簡潔に書き表すことができます($x$が奇数であるという条件はちゃんと残っています。式を見れば分かりますよね?)。よって私たちの目標は、方程式$(♠)$の相異なる整数解が無数に存在することの証明となります。

そこでまず、$$x^2-6y^2=1\tag{♦}$$の整数解を調べます。

・・・おや、よく見ると方程式$(♦)$の右辺が$3$ではなく$1$になっていますね。管理人のタイプミスでしょうか?(笑)

 

・・・茶番はさておき、実は$$x^2-Dy^2=M$$という形の方程式($M$は整数、$D$は平方数でない整数)の整数解は、右辺が$1$の方程式$$x^2-Dy^2=1$$の整数解を用いて与えることができるのです。

●   ●   ●

$$\begin{cases}x^2-6y^2=1 \ \ \cdots(♦)\\ x^2-6y^2=3 \ \ \cdots(♠)\end{cases}$$本問の証明は、大きく分けて以下の2つからなります。

①方程式$(♦)$の整数解が無数に存在する

②方程式$(♦)$の整数解から方程式$(♠)$の整数解が構成できる

●   ●   ●

①に関して次の事実が知られています。

×   ×   ×

方程式 $x^2-Dy^2=1$ の解$(x_n,\,y_n)$は、ある(正の)整数解を$(x_1,\,y_1)$とすると$$x_n+y_n\sqrt{D}=\left(x_1+y_1\sqrt{D}\right)^n$$として求めることができる。

×   ×   ×

これは数学的帰納法によって示すことができますが、ここでは概略だけ示しておきます。


» 《証明の概略》

 《証明の概略》

組$(x_1,\,y_1)$は方程式$$x^2-Dy^2=1\ \ \ \cdots(\text{I})$$の解であるから $n=1$ で成立する。一般の$n$で
$$x_n+y_n\sqrt{D}=\left(x_1+y_1\sqrt{D}\right)^n$$が成り立つという仮定の下、$$x_{n+1}+y_{n+1}\sqrt{D}=\left(x_1+y_1\sqrt{D}\right)^{n+1}$$となることを証明すればよい。仮定より、右辺について$$\begin{align}& \ \ \ \ \left(x_1+y_1\sqrt{D}\right)^{n+1} \\ &=\left(x_n+y_n\sqrt{D}\right)\left(x_1+y_1\sqrt{D}\right) \\ &=(x_1 x_n+y_1 y_n D)+(x_1 y_n+y_1 x_n)\sqrt{D} \end{align}$$となるので、$$\begin{cases} x_{n+1}=x_1 x_n+y_1 y_n D \\ y_{n+1} = x_1 y_n+y_1 x_n \end{cases}$$と表せる。これを方程式 $(\text{I})$ の左辺に代入すると、$$\begin{align}& \ \ \ \ (x_1 x_n+y_1 y_n D)^2-D(x_1 y_n+y_1 x_n)^2 \\ &=(x_1 x_n)^2+2(x_1 y_1 x_n y_n)D+(y_1 y_n)^2 D^2 \\ &\ \ \ \ -D\{(x_1 y_n)^2+2(x_1 y_1 x_n y_n)^2+(y_1 x_n)^2\} \\ &=(x_1^2-Dy_1^2)x_n^2-D(x_1^2-Dy_1^2)y_n^2 \\ &=x_n^2-Dy_n^2 \ \ \ (\because x_1^2-Dy_1^2=1) \\ &=1 \ \ \ (\because x_n^2-Dy_n^2=1) \end{align}$$となるから$(x_{n+1},\,y_{n+1})$は方程式 $(\text{I})$ の解である。よってすべての自然数$n$について、$$x_n+y_n\sqrt{D}=\left(x_1+y_1\sqrt{D}\right)^n$$で与えられる組$(x_n,\,y_n)$は方程式 $(\text{I})$ の解である。

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これによって方程式$(♦)$の整数解は無数に存在することが示されます。

次に②を示すため、次の補題を証明しましょう。

×   ×   ×

方程式$$x^2-Dy^2=1\ \ \ \cdots(\text{I})$$の任意の解を$(x_n,\,y_n)$とし、方程式$$x^2-Dy^2=M\ \ \ \cdots(\text{II})$$の任意の解を$(X_N,\,Y_N)$とするとき、組$(X_N x_n + Y_N y_n D,\,X_Ny_n+Y_Nx_n)$もまた方程式 $(\text{II})$ の解となる(ただし$M$は整数)。

×   ×   ×

数学的帰納法によって示しても良いですが、ここではすべての組$(x_n,\,y_n)$が方程式 $(\text{I})$ を満たすことは既に分かっているので、式変形して成り立つことを確認すれば十分でしょう。

組$(X_N x_n + Y_N y_n D,\,X_Ny_n+Y_Nx_n)$を方程式 $(\text{II})$ の左辺に代入すると、$$\begin{align}& \ \ \ \ (X_N x_n + Y_N y_n D)^2-D(X_Ny_n+Y_Nx_n)^2 \\ &=(X_N x_n)^2+2(X_N Y_N x_n y_n)D+(Y_N y_n)^2 D^2 \\ &\ \ \ \ -D\{(X_N y_n)^2+2(X_N Y_N x_n y_n)^2+(Y_N x_n)^2\} \\ &=(X_N^2-DY_N^2)x_n^2-D(X_N^2-DY_N^2)y_n^2 \\ &=M(x_n^2-Dy_n^2) \ \ \ (\because X_N^2-DY_N^2=M) \\ &=M \ \ \ (\because x_n^2-Dy_n^2=1) \end{align}$$となるので、組$(X_N x_n + Y_N y_n D,\,X_Ny_n+Y_Nx_n)$は確かに方程式 $(\text{II})$ の解となっています。

これにより、組$(x_n,\,y_n)$から、任意に大きな解を生成できるので、方程式 $(\text{II})$ の解が1つでも見つかれば、無数の解を構成できることが分かります。

●   ●   ●

以上で前置きは終了です。それでは実際に、方程式$$x^2-6y^2=1\tag{♦}$$の解を用いて、方程式$$x^2-6y^2=3\tag{♠}$$が相異なる整数解を無数に存在することを証明しましょう。

方程式$(♦)$は解$(5,\,2)$をもつので、整数解は$$\left(5+2\sqrt{6}\right)^n$$を展開して整理することによって幾らでも得ることができます。

一方で、方程式$(♠)$は解$(3,\,1)$をもつので、方程式$(♦)$のある整数解を$(x_n,\,y_n)$とし、$$\begin{cases} X_n=3x_n+6y_n \\ Y_n\,=x_n+3y_n \end{cases}$$と置くと、組$(X_n,\,Y_n)$はすべて方程式$(♠)$の解となります。組$(x_n,\,y_n)$は無数に存在するので、これを用いて得られる組$(X_n,\,Y_n)$もまた無数に存在します。

以上により、方程式$(♠)$の相異なる整数解は無数に存在することが示されました。これより、$\dfrac{S_5(n)}{S_3(n)}$が平方数となるような正の整数$n$は無数に存在することが示されます。


(コメント)

実は方程式$(♦)$の解$(5,\,2)$は最小解なので、$(5+2\sqrt{6})^n$によって方程式$(♦)$のすべての解が得られます。また、解$(3,\,1)$も最小解なので、組$(3x_n+6y_n,\,x_n+3y_n)$によってすべての整数解が網羅できます。

ペル方程式の解の構造に関して、次の事実が知られています。

×   ×   ×

ペル方程式 $x^2-Dy^2=1$ の最小解$(x_1,\,y_1)$を用いて、$$x_n+y_n\sqrt{D}=\left(x_1+y_1\sqrt{D}\right)^n$$として求められる組$(x_n,\,y_n)$の集合は、ペル方程式 $x^2-Dy^2=1$ のすべての解からなる集合に一致する。

×   ×   ×

この内容はしばしば難関大学の入試問題の題材となりますので、頭の片隅に入れておいて損は無いでしょう(cf. 京都大1967年、東工大1985年、明治大1995年など)。

なお、ペル方程式 $x^2-6y^2=1$ の一般解$(x_n,\,y_n)$は三項間漸化式を解くことで求めることができます。具体的には以下の連立漸化式を解くことになります。$$\begin{cases} x_{n+1}= 5 x_n + 12 y_n \\ y_{n+1} = 2 x_n + 5 y_n \end{cases}$$この解を用いることで、方程式$$(2n+1)^2-6k^2=3$$の一般解は $\alpha=5+2\sqrt{6}$、$\beta=5-2\sqrt{6}$ と置けば、$$\begin{cases} n=\dfrac{1}{4}\left\{(3+\sqrt{6}){\alpha}^{i-1}+(3-\sqrt{6}){\beta}^{i-1}-2\right\} \\ k=\dfrac{1}{4}\left\{(2+\sqrt{6}){\alpha}^{i-1}+(2-\sqrt{6}){\beta}^{i-1}\right\} \end{cases}$$と表すことができます。このことからも、題意を満たす整数$n$が無数に存在することが示せます(仰々しい見た目をしていますが、上記の式の$i$に自然数を代入すればちゃんと整数になります)。


当サイトでは「雑題ログ」にて、ペル方程式に関する大学入学問題を蒐集したページ「雑題ログ:ペル型数列の問題」を公開しています。難関大学の整数問題として毎年どこかで必ず見かける頻出の題材ですので、是非覗いてみて下さい!

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