創作整数問題#70解法&創作整数問題#71

大分暑さが引いてきましたね! 秋の足音を感じ始める季節になりました。季節の変わり目は体調を崩しやすくなるので、今まで以上にウイルス対策に気を遣って過ごしましょう!

先日まで2週間にわたって開催された「数学夏祭り」が盛況のうちに閉幕しました。Twitter上でのオンライン開催となりましたが企画への反響は凄まじく、全国各地に沢山の数学愛好家が居るのだと改めて思い知らされました。当サイトも漏れなく参加し、なんと解説賞を2つも受賞することができました! 今回の催しを企画された運営の皆様に感謝申し上げます。

今後もますます数学の愛好の輪が広がっていくことを祈念しつつ、今日も今日とて創作整数問題を投稿します…!


創作整数問題#71


《問題#71》

$1$を$70$個並べてできる数 $N=\underbrace{111 \cdots 111}_{70\text{個}}$ は$71$で割り切れることを示せ。

(創作問題)


レピュニット数に関する問題です。もちろん愚直に割り算しても良いのですが、スマートに証明してみて下さい!

 

» ヒント

フェルマーの小定理を利用するのが簡単でしょう。これを利用すれば、素数$p$と任意の自然数$n$に対して $n^{p}-n$ が常に$p$の倍数となることが言えます。この補題の使い所は皆さんお分かりですよね・・・?

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証明問題につき、解答例は次回掲載します。


創作整数問題#70(解き方)


$\dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の$1$の位の数字を求めよ。

「下一桁」というところがポイントです。整数部分を上手く取り出せるように式変形していきます。合同式で考える場合は $\text{mod}$ $10$ を使いましょう。

解答例

 

$n=2^{70}+1$ と置けば $2^{70}=n-1$ となるから、与式は $\dfrac{(n-1)^{10}}{n}$ と変形できる。ここで$$\begin{align}(n-1)^{10}&=\displaystyle \sum_{k=0}^{10}{}_{10}\mathrm{C}_k n^{10-k}(-1)^k \\ &=\displaystyle nN+1 \cdots (*) \end{align}$$と展開して整理できる。ただし $N=\small \displaystyle \sum_{k=0}^{9}{}_{10}\mathrm{C}_k n^{9-k}(-1)^k$ である。ここで、$1 \leqq k \leqq 9$ のとき ${}_{10}\mathrm{C}_k n^{9-k}(-1)^k$ は$10$の倍数となるから、$N$の下一桁の数字は $k=0$ としたときの$n^{9}$の下一桁の数字に等しくなる。

 

ここで $2^{10}=1024 \equiv 4 \pmod{10}$ より、$$2^{20}=(2^{10})^2\equiv 6 \pmod{10}$$ $$2^{40}=(2^{20})^2\equiv 6 \pmod{10}$$ $$2^{60}=2^{20} \cdot 2^{40}\equiv 6 \pmod{10}$$ $$2^{70}=2^{10} \cdot 2^{60}\equiv 4 \pmod{10}$$となるから、$$n=2^{70}+1\equiv 5 \pmod{10}$$と分かる。これより$n$の累乗の下一桁の数字は常に$5$となるから$n^{9}$の下一桁の数字は$5$であり、$N$の下一桁の数字は$5$と分かる。

 

$(*)$より、$$\dfrac{(n-1)^{10}}{n} =N+\dfrac{1}{n}$$となるが、$0<\dfrac{1}{n}<1$ より $N+\dfrac{1}{n}$ の$1$の位の数字は整数$N$の下一桁の数字に等しくなる。

 

よって $\dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の$1$の位の数字は$$\color{red}{5}$$である。

 


(コメント)

与式の分母が微妙な形をしているので上手く式変形して整理する必要があります。初見だと手強い印象を受けますが、なかなか面白い整数問題です。類題(というかオリジナル)としては1989年の東大理系に出題があるので、こちらも確認してみて下さい。(参考:1989年東京大学理系数学第4問

 

因みに、$\small \dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の整数部分は以下のようになります。

 

4455508415646675018200495183766869205613805106199449061891370704088472525086286629219181341483946730895434206903160168083602154751686868363153027734337019078899889349973348162965114103791615

 

ところで、$\small \dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の小数点以下には$0$が何個並ぶのでしょうか。$\small \dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の小数点以下第$j$位の数字を調べるには、$\small \dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}\times 10^j$ の$1$の位の数字を調べればよく、つまり$$\small M=10^j \cdot N+\dfrac{10^j}{n}$$の$1$の位の数字を求めることで調べられます。

 

$10^j \cdot N$は$10$の倍数なので$M$の$1$の位の数字は比較的小さい多くの$j$について$0$となります。$M$の$1$の位の数字が$0$でなくなるのは$\dfrac{10^j}{n}$の値が$1$以上となる場合であり、$$2^{70}=1.18059… \times 10^{21}$$より、そのような最小の$j$は$22$です。このとき$$\small \begin{align} \dfrac{10^{22}}{n}&=\dfrac{10^{22}}{1.18059… \times 10^{21}+1} \\ &\approx \dfrac{10}{1.18059…} \\ &= 8.47032… \end{align}$$となるので、$\small \dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の小数点以下には$0$が$21$個並び、小数点以下第$22$位に$8$が現れます。

 

実際、$\small \dfrac{2^{700}}{2^{70}+1}$ の小数部分は以下のようになります。

.000000000000000000000847032947…

 


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